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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.5「スピーキング力をぐっと高める練習法」、Q6「英語初心者がはじめにすること」

この連載では、英語学習に悩みを抱える読者の方のご質問に、横本先生が懇切丁寧にお答えしていきます。

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Q.5 「スピーキング力をぐっと高める練習法」

以前、イギリスに住んでいたことがあり、現地にいた時はすらすら英語を話せていたのですが、帰国してからは話す機会がめっきり減って、スピーキング力が落ちているのをひしひしと感じています。一人で出来るお勧めのスピーキングの勉強法にはどんなものがありますか?

(えりおっと、26歳、会社員)

 

A:毎日英語を口に出して反復練習しましょう!

 日常的に英語を使う環境でなくなってしまうと、スピーキング力が低下してしまう気がしてとても不安ですよね。ただ、「帰国してからは話す機会がめっきり減って…」とおっしゃっていることから、何が必要か明確にわかっていらっしゃるようです。つまり、話す機会が増えさえすれば、スピーキング力は維持できるはずです。

 単純に言えば、話せば話すほど、スピーキング力は伸びるので、とにかく量を重視で話すことが重要です。しかもこれは独り言でも構いません。しかし、ただの独り言では、あまり効率のよい学習法とは言えません。そこでおススメなのは、録音です。現代では、スマホの録音機能や無料アプリを利用すれば、機材を取り出す手間もありません。毎日、簡単に使用できる環境にあり、継続し易いということを考えれば、むしろ好都合だといえます。

 さて問題は、どのようにスマホを利用して学習するかです。まずはトピック探しです。レベルによって違いますが、えりおっとさんでしたら、例えば、「英語を身につけたら将来何に生かすか」など、4分間話し続けられるトピックを自分で考えてみてください。難しい単語や表現を必要とするトピックは学習効果が半減してしまうので、現在のレベルで4分間話し続けられるトピックということが重要なポイントです。トピックが決まったら、次の手順で3回録音してください。

1.4分間―そのトピックについて、できるだけ早く、ノンストップで話します。

2.3分間―同じ内容を繰り返し話しますが、1回目より早く話します。

3.2分間―同じ内容を再度話しますが、できるだけ早く話します。

1回目では4分間要した内容を、3回目に2分間で話し終えることを目標に頑張ってみてください。この練習に要する時間は約10分間ですので、手軽に継続できると思います。また、時間がそれほどない日には、3分間、2分間、1分間の3回でも効果が見られます。

 これをただ繰り返すだけでも効果はありますが、さらに効果を高める方法があります。まず、録音を3回終わったら、言いたかったのに言えなかった表現について調べてみます。辞書、インターネットなどを使って、表現方法の学習をします。そしたら、2~3日後に録音した音声を聞き返してみてください。1回目から3回目のレベルアップを実感することも継続の糧となりますし、先日の3回目からさらにレベルアップを目指して、学習した表現を使ってみてください。新しく学習した表現がある場合、2分間を2回(4回目と5回目)の録音を行ってください。このように、簡単なトピックを、時間制限を設けて、反復練習し、言えなかった表現を学習することで、スピーキング力は上がります。

 

 

Q.6 「英語初心者がはじめにすること」

 英語を学ぼうと思い立ってから早10年になります。年に何度も英語を学ぼうと思い、その度に新しい参考書を買うのですが、すこしめくってそれきり開かないことが多いです。

文法はまったくわかりません。単語もYESとNO、HELLOなどの誰でもモノしか知っているものしかわかりません。こんな私が英語の勉強をする場合、まずはどんなことから始めれば良いでしょうか?お勧めの参考書や勉強方法なども教えて頂ければ幸いです。

(ちえこ、58歳、自営業)

 

A:基礎力を身につけて、目標を持ちましょう!

 英語学習を始めようとして、結局は長続きせずに挫折する方は少なくはありません。新しい参考書を買った時点でかなり満足してしまって、本棚に並んだ参考書の背表紙だけを眺めることはよくあることだと思います。

私にもそういう時代がありました。コツコツ継続する学習が苦手だった私をやる気にさせたのは、ずばり目標でした。

私の場合には、TOEFLのスコアでしたが、目標はテストでなくても大丈夫です。単語を100個覚えるとか薄いテキスト一冊やりきるなど、目標は自分が達成したことが分かるものであれば何でも構いません。

 

とはいっても最初に多少の基礎力がないと、学習した実感が湧かないので継続にはなかなかつながりません。特に基本的な語順、品詞についてしっかり学習すると、今後の英語学習にかなり役立ちます。

最近では中学英語で〇〇などというテキストが数多く出版されていますし、学年別に作成された英文法の参考書などもあります。実際に書店に行って、中身を見て、薄目のテキストの中を実際に見てみてください。まえがきと実際の学習用のページを数ページ見て、しっかり理解できて、継続できそうなテキストを1冊だけ選んでください。

 

おすすめのテキストですが、私は個人的には山田暢彦先生のテキストがわかりやすいと思います。『中1英語をひとつひとつわかりやすく』などから始めてみてはどうでしょうか?英語が苦手な方ように、各項目が丁寧に説明されていて、練習できるようにできています。比較的薄めのテキストですし、最初の1冊にピッタリだと思います。これが終われば中2そして中3というようにステップアップできるのも、継続学習に向いたテキストだと思います。

 

1冊を選んだあとは、その1冊を完璧に学習できるような計画を立てます。1日1ページ、それが多すぎると感じるなら2日で1ページでも構いません。自分が無理せずに毎日続けられる分量を設定することが重要です。初日は大いにやる気になっているので、頑張ってしまいがちで、何ページも学習しがちですが、頑張りすぎると力尽きて継続につながりませんし、1日に効率よく学習できる分量もそれほど多くないので、毎日無理なく続けられる分量を設定して、とにかく続けることが重要です。海外の研究でも1日10分の継続学習が、1週間に1度の2時間の学習より学習効果があることが実証されています。

継続は力なりです!

 

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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 特任准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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