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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.7「英作文の勉強法」、Q.8「英会話学校には行くべきか?」

この連載では、英語学習に悩みを抱える読者の方のご質問に、横本先生が懇切丁寧にお答えしていきます。

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Q.7「英作文の勉強法」

私の志望する大学の入試のテストでは、与えられたテーマに対して50字ほどで自分の意見を述べる試験があります。現在は、対策として過去の問題集に載っている解答を参考にしながら、自分で作った答えを学校の先生に見てもらっています。ですが、自分でどんどん勉強していける方法はないかと思ったりもします。何かいい方法はないでしょうか。

(コウイチ、18歳、高校生)

 

A:書くプロセスを強化しましょう。

英作文もスピーキングと同じで自分の考えをうまく整理して、相手にわかりやすく表現するということが重要なポイントです。特に、英作文では、表現、構文等を選ぶ時間があるため、読み手が読み返すことなしに、はっきり意見が伝わるように書く能力が要求されます。

 

 読み手に分かり易い文章を書くには、書き始める前にしっかりと準備をする必要があります。実際に作文を書き始める前に、どんな意見を述べたいのか、その意見を裏付ける理由、経験、事例は何かをしっかり探して置き、それらをどの順で述べるかを決めます。この書く準備により、内容について考える時間と英語について考える時間を分けることができます。書く準備は、実際に書く作業をスムーズにしてくれますし、首尾一貫とした内容の作文を書くには必要だといえます。

順番までしっかり決まったら、最初の文で、自分の意見を分かり易く伝えましょう。そして、2文目から裏付けの理由、経験、事例をできるだけ詳しく書きましょう。そして、最後に、1文で、全体の要点を述べたり、何かを提案したり、将来起こり得ることを予測したりします。

過去問題集のトピックを使って、実際に時間を計って書いてみましょう。そして、数日後に必ず自分が書いた文章を見直してみましょう。自分が書いた文章なので、読む前から内容が分かってしまうため、読み手になりきるように意識して読みましょう。そこで、意見ははっきりわかる文で書かれているか、理由、経験、事例などは、その意見を直接裏付ける役割を果たしているかどうか、最後のまとめの1文は、文章全体をうまくまとめているかをチェックしましょう。

新しく使ってみたい単語や表現、構文などにも慣れが必要です。様々なトピックについて作文が書けることも重要なスキルですが、同じトピックについて何度も文章を書くことも同様に重要です。自分が書いた文章を読み返した後、再度同じトピックについて書いてみましょう。一回目ではうまく表現できなかったアイデアをしっかり表現できるように心がけましょう。

 

その表現力を身に着けるには、やはり読むことが重要です。過去問題集の解答例などにある手本となる文章をしっかり読み込んで、どのように意見が述べられていて、その意見を裏付けるために、どのように理由、経験、事例が使われているのか、分析しながら多くの文章を読むといいでしょう。

 

 

Q.8「英会話学校には行くべきか?」

元号が変わったこともあって、何か新しいことを始めたいと思い、昔断念した英語の勉強にもう一度チャレンジしようと思っています。前回(10年ほど前)は、駅前の英会話学校に通っていたのですが、その場ではすごく勉強になった気がするのに、しばらくするとあまり身についていないような気がしてやめてしましました。とはいえ勉強の仕方もわからないので、もう一度通ってみようかなと思うのですが、英会話学校のうまい使い方のようなアドバイスがあれば、ぜひ頂きたいです。

(サチエ、43歳、会社員)

 

A:英会話学校に頼りすぎない

英語学習を再開したいという学習者はおそらく多くいらっしゃいます。そして、英会話学校に行っても、結局上達した実感もなく、結局続かなくなるという話もよく耳にします。英会話学校に通っても、英会話が上達した実感がわかないのには、いくつか理由が考えられますが、その中でも絶対忘れてはいけない理由が、「量」が圧倒的に足りないことです。

 英会話学校やカリキュラムにもよると思いますが、実際に英語に触れる時間がどれくらいかということをもう一度考えてみたいと思います。1回90分の授業に週2回通うコースに登録したとして、1週間で180分、3時間です。1日18時間起きているとして、1週間で126時間ありますが、そのうち123時間は日本語の練習に費やしていて、3時間だけ英会話に費やしていることになります。

 周りにいる、英会話が堪能な方々は、1日のうち数時間英語に費やして英語を身につけているので、いわばオリンピックアスリートのようなものです。1日数時間練習をするアスリートと、週2回、1回90分の練習をする趣味のスポーツとでは、能力に差が出て当然なことです。

 

幸運にも、英会話には才能が不要です。

継続して毎日やることで、少しずつですが、上達することは間違いありません。英会話学校で習った表現は、毎日どこかで使って練習しておくと忘れずに定着していきます。英会話学校で学習する表現には限りがあるとはいえ、表現が増えれば、聞いて理解できる内容も増えてきて、だんだん楽しくなり、海外ドラマや映画を観て、楽しめるようになってきます。

 

学習を習慣づけるのにはある程度の時間が必要です。英会話のような学習となると、2か月くらいの継続ができれば、あとは習慣となってあまり苦痛ではなくなるようです。食事の前、寝る前、起きてすぐ、など、毎日行う行動に合わせて、毎日英語表現を復習し、練習する時間を設けて、継続学習を心がけてください。

 

 

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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 特任准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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