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Empire State of Mind NYから英語小話

意外と知らない、本場のハロウィーン事情

*こちらは朝日出版社メールマガジン『英語を“楽習”しましょ』記事のバックナンバー連載です

 

ハロウィーンについてはこれまでにも紹介してきましたが、今回はすっかり日本でも定着したこのハロウィーン文化について、いくつか気がついたことを書いてみます。

まずは発音。日本では「ハロウィン」と表記されることもあるほど「ハ」にアクセントがついているかのように呼ばれているようですが、英語では「ウィ」にアクセントがあるため「ハロウィーン」になります。語源はAll Hallows' Eveであり、11月1日に行われた古代ケルト文化の収穫祭であるAll Hallows' Dayの「イブ」にあたるというわけです。

そして、アメリカではハロウィーンは基本的に子どものための1日だけのお祭りです。思い思いの仮装で近所の家を訪問し、「Trick or treat(お菓子をくれないといたずらするぞ)」と言って駄菓子をもらうのが習わしで、キャンディーやチョコレートなどの駄菓子に興味を示さなくなったら卒業。いい歳をした大人が仮装してパレードをするのは、ニューヨークなど一部の地域だけです。

(写真:Ralph Bean / Flickr)

 

日本ではハロウィーンにちなんだありとあらゆるスイーツが出回りますが、本場では欠かせないcandy cornというお菓子だけは、日本で見たことがありません。これは、円すい形を少し潰したようなトウモロコシをかたどった甘いお菓子で、収穫祭の名残が見られるものです。

(写真:Juushika Redgrave / Flickr)

 

さらにもう一つハロウィーンに欠かせないのがpumpkin spice風味。アメリカではハロウィーンの時期に出回るお菓子や飲料には、シナモン味を効かせてオレンジ色をつけるのですが、これも日本では見ませんね。

pumpkin spice味の商品が陳列されている様子

(写真:Mike Mozart / Flickr)

 

そしてテレビではハロウィーンの夜はslasher filmと呼ばれるホラー映画一色となります。その中でも人気の、旧式のアイスホッケーマスクをつけた殺人鬼マイケル・マイヤーズが活躍(?)する映画『ハロウィーン』[注1]は、シリーズで通算10作以上が作られ、コミックやゲームにもなっています。こちらは1978年にジョン・カーペンター監督によって初代『ハロウィーン』がリリースされました。そして40周年目に当たる昨年には、主人公マイヤーズと、襲われ役のローリー・ストロードらのオリジナルキャストが復帰した最新作が公開されました。


[注1]『ハロウィーン』:1978年に初作が公開され、スプラッター映画の原点ともされる人気作。後に殺人鬼と化す少年マイケル・マイヤーズが家族をあやめてしまうところから物語は始まる。

ハロウィーンは基本的に10月31日だけのお祭りなので、日本のように9月からデコレーションをずっとしているのは不思議です。アメリカではハロウィーンが終われば、次は11月後半のサンクスギビングの祝日になりますが、日本では、これから2ヶ月みっちりクリスマスのデコレーションで溢れかえるのでしょうね。どれだけ輸入したお祭りが好きなんだ?という気がしますが。

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著者略歴

  1. 大原ケイ

    日本の著作を欧米の出版社に売り込む文芸エージェント。 自称・
    元祖帰国子女。講談社のアメリカ法人やランダムハウス・ジャパン
    など、ハイブリッドな出版社勤務の後、エージェントとして独立。
    著書に『ルポ電子書籍大国アメリカ』(アスキー新書)など。ブロ
    グサイトBooks Beyond the BrinyDeep(海の向こうの本の話)で海
    外出版ニュースを中心にあれこれ書いている。
    note→https://note.mu/lingualina
    ブログ→https://oharakay.com

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