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Q.91「ワーホリに行きたい!でも、英語はどうしたらいい?」

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Q.91「ワーホリに行きたい!でも、英語はどうしたらいい?」

就職して5年が経ち、コロナが終息したら、一度仕事をやめてワーキングホリデーでオーストラリアに行こうと考えているのですが、英語がほとんど出来ないので、どうしようかなと思ってます。知り合いのワーホリに行った人に聞くと、「しゃべれなくてもなんとかなるよ」と言ってるのですが、私の場合、英語が全然得意ではなく、学生の時もあまり勉強したこともありません。若いうちに海外で暮らしてみたいと思っていて、今しかできないとも考えています。今は話せなくても、行ったら自然としゃべれるようになるのではないかとも思います。やっぱり甘い考えですか?勉強するとしたら、どんな風に勉強したらいいでしょうか?T O E ICとかの勉強をすればいいでしょうか?(ミク、25歳、会社員)

 

表現は自分で使えるようになるまで練習しましょう!

 仕事を辞めてワーキングホリデーに行かれるというのは、人生を大きく変えるような決断になると思います。その節目に英語力が心配になる気持ちもとてもよく分かります。私自身はワーキングホリデーの経験もないですし、ワーキングホリデーに行くための準備をお手伝いさせていただいたこともありません。しかし、ワーキングホリデー経験者の友人が何人かいますので、その経験とその方々の英語力を踏まえて個人的な見解を述べさせていただきたいと思います。 

まず、ワーキングホリデーに行く時期ですが、国によって年齢制限があるようなので、行く可能性のある国の年齢制限を調べておくと良いと思います。現在25歳ということなので、大体のワーキングホリデーの受け入れ国ではあと数年は大丈夫だと思いますが、念のために調べておくことをオススメします。

次に英語力に関してです。結論からいいますと、ワーキングホリデーに行く前から英語力をある程度付けて準備をした人は、現地の人と積極的に交流ができたり、現地の人に囲まれて仕事をする環境を選べたりすることが可能です。そのおかげで現地でさらに英語力、とくに対話力が向上するように思います。ワーキングホリデーに行く前と後で比べると、かなり不自由なく会話ができるようになって帰国する方が多いように思います。

このような経験者の共通点は、現地で日本語を話す相手がいなかったことです。最初は孤独な思いをしたようですが、現地の会社や農場などで地元の方々と知り合って、毎日仕事上のやり取りをすることで、自然に対話力が身についたようです。 

 

英語が得意でない人がワーホリに行った時の二つのパターン

逆に、日本で準備をあまりせず、行ってからすべてを学ぶつもりで行く場合、大きく二つのパターンに分かれているような印象があります。

まず、周りに日本語が分かる人がいない環境を選んだ場合、長期に渡って苦労するようですが、それなりに会話力が身につくような印象があります。現地では仕事上英語を避けられない環境があり、それだけでもかなり英語のコミュニケーション力が身につくと思います。私の知り合いの場合、仕事以外にも、空き時間にテキストを使って勉強をしたり、現地で知り合いになった人との交流の時間を増やす努力をしていたようなので、その影響もかなり大きいと思います。

もうひとつのパターンは、日本語に囲まれた環境を選んだ場合です。その場合は、それほど英語力アップに期待できないようです。これは留学にもとても似ていますが、日本人に人気のワーキングホリデー先には日本人が大勢いて、語学力の準備不足の日本人の方も少なからずいらっしゃると聞きます。すると、そのような環境で仕事を見つけても、日本人同士が集まって日本語での生活が大半を占めることになります。中には、英語力アップはそもそも目指しておらず、「とにかく現地で働ければ、周りが全員日本人でも構わない」という方もいらっしゃるようです。最近ではインターネットさえあれば、日本語の情報が簡単に手に入るので、日本語を絶つ努力をしない限り、結局は日本語に頼る生活になってしまい、英語力アップという目標を持っている方には、あまりいい結果が残せず帰国となるケースもあるようです。

目標や目的は人それぞれですが、英語教師のひとりとしては、やはり勿体ない気がします。折角のワーキングホリデーですから、できる限り現地の人と交流できる環境を選ぶことを強くオススメします。

 

現地で英語力をアップさせるためにも、ワーホリ前に準備を!

多くの現地の人と交流できるような環境で仕事をするには、やはり日本で英語を学んでいくと良いでしょう。テスト対策で、実際の仕事上に直結した英語力の準備をするのには限界があると思いますが、TOEICであれば、スコアアップを目指すための学習というよりは、問題で使用されている表現を一つでも多く使えるようにすることを目標とする学習が適していると思います。会話表現やメール、広告も、現地で触れる英語に近い表現が多く含まれているので、とても役立ちます。スコアアップには、受験テクニックのようなものを身につけたり、時間配分力を身につけたりするべきだと思いますが、実際に使う英語力の基礎を身につけることを目的とするなら、登場する表現を一つ一つしっかり覚えて、聞いて分かる、読んで分かるレベルに留めず、自分でそれらの表現を使えるようになるまで練習しましょう 

何からはじめていいか分からないかも知れませんが、TOEIC受験の経験がおありなら、ご自分のスコアプラス100~200点レベルのテキストを使って、表現の学習をするとちょうど良いと思います。受験経験がないなら問題集を解いて、予想スコアを計算するのでも構いません。あくまでも目安ですが、600点程度以上あればワーキングホリデーで得られる経験も英語力も相当変わってくると思います。できるだけ早い段階から準備を始めてください。

 

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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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