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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.112「中学英語も怪しいレベルから、1年で英検2級を取り、ネイティブとも話せるようになりますか?」

タイシと言います。これから英語の勉強をはじめようと考えているのですが、勉強するにあたって英語コーチングと語学留学どちらがオススメでしょうか?他にいい方法もありますでしょうか?
勉強は10月スタートを考えていますが、現在の英語のレベルは、中学英語も怪しいです。

【学習スケジュール】
今のところ考えているのが、
①10月に英語コーチングの体験をして、勉強方法や英語を勉強するノウハウを聞いてみる。
②12月まで独学で中学レベルまで勉強する。
③2023年1月から3月まで、英語コーチングを受けつつ、英検と3ヶ月の語学留学(旅行?)の準備をしておく。
④2023年4月から6月まで、語学留学をする。
※留学先の候補:アメリカ(理由は特になし。強いて言うなら音楽が好き)の他には、ポーランド、ウィーン、フランスも可能。
⑤7月から10月まで独学で勉強
⑥11月、12月に英検2級受験
※1発合格したい

【特記事項】
1.目標は、英検2級取得と、ネイティブと問題なく意思疎通ができる会話力の取得
2.2023年末には英検2級を取得しておきたい(毎年11~12月に英検をやると聞いているので、そこがボーダーライン)。
3.現在、20歳で個人事業主をしているので、毎日朝から晩まで英語の勉強は出来ます。
英語力は0ですが、外国人と話せる自信があり、発音なら負けません。絶対に飽きないで勉強できる自信もあります。
4.実を言うと、1ヶ月でも良いので「海外に居た」というステータスが欲しいです。出来れば、英語の勉強に活用したいです。

以上、よろしくお願いします。
(タイシ、20歳、Webサイト運営)


 

信頼できる指導者に頼り、基礎固めに注力を!

中学英語も怪しいレベルだと自覚がありながら、それでも英語力を身につけたいという心意気がとても嬉しいです。高い目標を持っていて、モチベーションもあり、英語学習の計画もしっかり立てていらっしゃいます。英語学習のための時間もしっかり確保できるようですので、英検2級合格、そしてネイティブと問題無く意思疎通ができるレベルという二つの目標達成に少しでも近づけるよう、微力ながらアドバイスさせてください。

まず、ご質問には英語学習の目標が2つおありなので、それぞれどのレベルを目指すべきかを整理させてください。ここで、世界的に広く使用されている語学力を表す指標の一つ、Common European Framework of Reference (CEFR)を使って説明させていただきます。

この指標は下からA1、A2、B1、B2、C1、C2の6レベルで表されますが、一つ目の目標である英検2級合格は、B1レベルに相当します。このB1というのは、「仕事や学校や余暇などでよく耳にする英語表現が理解でき、旅行中に出くわす大概の場面もなんとかできるレベル」だと言えます。また、馴染みのある話題や個人的な意見などであれば比較的簡単な表現を使って、理由などもつけて説明しながら話をしたり、書いたりすることが出来るレベルです。

一方、もうひとつの目標である問題無くネイティブと意思疎通ができる程度となると、更に上のB2レベルを目標に学習するべきだと考えられます。B2レベルでは、自分の専門分野であれば、専門的な内容もある程度理解できるようになりますし、ネイティブとのやり取りもそれほど大きな問題なくできるようになります。様々な話題について、相手に分かりやすい英語で自分自身の意見だけでなく、多角的な考え方を表現できるようなレベルです。

したがって、ネイティブと問題無く意思疎通できるレベルというのは、最低でもこのB2レベルに達していることが必要になります。

 

どれくらい勉強すれば、英語で意思疎通できるのか?

では、B1、B2それぞれのレベルに達するまでにどれくらいの学習をすればいいのでしょうか。ケンブリッジ大学が公開している目安によると、A1レベルに達するのに90~100時間、そこからA2に達するのに100~150時間、またそこからB1に達するのには160~240時間、そして、B2に達するには更に180~260時間を要すると言われています。

しかし、この目安は、母国語が英語と同様のアルファベットを使用する言語で、言語学習に対するモチベーションが高く、また、しっかり言語教育の訓練を受けた教師の指導の下で学んだ場合の目安です。モチベーションが高いことは問題ないとしても、まず日本語話者であるということからすれば、英語のアルファベット表記を読んだり書いたりすること、また、文字を読んで発音することもかなり難しくなります。そしてなにより、日本語と英語では語順が大きく異なるので、日本人にとって英語学習はかなりの時間を必要とします。

これはデータに基づくものではありませんが、日本人が英語学習するのであれば、ケンブリッジ大学の目安の最低でも1.5倍程度の時間を要すると考えられます。つまり、A1までに150時間、A2までに更に225時間、B1までに更に360時間、そして、B2までには更に390時間必要だと考えられます。これを合計して、1,125時間ほどでB2レベル、つまり二つの目標を達成することが期待できそうです。

 

教える力を持った先生を見つけよう!

もうひとつ重要なのが、この学習時間の目安には条件があり、英語教育の訓練をしっかり受けた教師の指導の下で英語学習をしているということです。逆を言えば、そのような教師の指導を受けられない場合には、さらに時間を要することが予想されます。この学習時間の目安を算出しているのがケンブリッジ大学なので、世界的に認知されている英語教育の資格を持っている指導者を指している可能性が高いです。有名なところでは、大学などの専攻でTEFL※1やTESOL※2というのがありますし、大学ではありませんが、CELTA※3という資格があります。これから英語学習を始める際に、これらの資格を持った指導者を探すことを強くオススメします。

「〇〇メソッドで学習効果が期待できる」というような広告を時々目にしたりしますが、それらの指導方法が、実際に効果があるかどうかを科学的に立証されているかどうか、気を付けなくてはいけません。それぞれの会社や団体が独自の方法で立証した研究結果は信憑性があまり期待できないので注意する必要があります。TEFL, TESOL, CELTAなどの資格を持つ指導者ですと、英語教育、第二言語習得、応用言語学という分野の専門的な研究者が行った研究において、効果が認められた指導法を使って指導する可能性が高いです。指導者の資格を確認することは、指導者を探す上でポイントの一つになります。

※1 TEFL:Teaching English as a Foreign Language、英語を母国語としない人に対して、外国語として英語を教える教授法のこと。
※2 TESOL:Teaching English to Speakers of Other Languages、英語を母国語としない人に対して、第二言語として英語を教える教授法のこと。
※3 CELTA:Certificate in English Language Teaching to Adults、英語を母国語としない大人へ英語を教える教授法に関するケンブリッジ大学が認定する証明書のこと。

 

まずは先生に習い、独学はある程度のレベルに達してから!

信頼できる指導者がみつかったら、まずは基礎固めです。中学レベルの英語はとても大切な基礎です。この基礎をしっかり身につけることが、英語学習ではとても重要です。ビルを建設することを想像すると分かりやすいと思いますが、基礎がしっかり固まっていないと高いビルは建ちません。英語学習も全く同様で、基礎を疎かにすると後の学習に影響します。しっかり基礎を学ぶことに注力することを強くオススメします。

基礎ができていないうちに、独学で英語学習をすると、まず教材選びで失敗します。様々な学習方法がありますが、それぞれの目的に合った教材を選ぶ必要があります。比較的簡単な英語で書かれている教材を使う学習と、少しレベルを上げて難しめの英語で書かれている教材を使う学習とを使い分けていくことになると思います。ですが、どの学習でどの教材を使用するのがいいのかという判断は、基礎レベルの学習者には難しく、自分のレベルにあった教材を見つけるのも上手くはいきません。

B1レベル、欲を言えばB2レベルに達した学習者であれば、それまでの学習経験があるので、指導者がいなくてもある程度教材選びもできるようになりますし、英文を目にしたときに、自分には何が理解できて何が理解できていないのかが分かります。そうすれば、なにを克服すればいいのかが明確になるので、独学で学習を進めることができるようになります。

学習計画の中に独学で中学英語を学習するとありましたが、中学英語をすべて学習してもA1レベルです。初級者の域であるA1やA2レベルより上、つまりB1レベルに達するまでは、指導者に頼って学習を続けることを強くオススメします。お気づきかもしれませんが、B1レベルに達するということは英検2級合格レベルということです。独学での学習は、今回の目標の一つである英検2級を合格したレベルになってから、始める方が良さそうです。

 

留学前に基礎力を付けて、日本人のいないところへ行こう!

では、留学はどうでしょうか。留学先では、英語で英語を学びます。なので、英語での説明が理解できるレベルになってから、つまり最低でもA2、できればB1レベルに達してから行く方が賢明です。また、留学先は生活上英語が使える場所を選ぶべきです。英語圏であればどこでも構いませんが、有名都市などは、留学先として人気があるので、日本人留学生も多く、結局現地で毎日日本語を使用する生活を避けるのは簡単ではありません。英語を使用する場面を少しでも増やしたいので、できれば、日本人留学生がほとんどいないような田舎にある語学学校を選ぶといいでしょう。留学先を決める際、相談するエージェントに現地の様子をしっかり聞いて、日本人があまりいない地域を希望していることを伝えてみてください。

計画には3ヵ月の語学留学とありましたので、日本語の分からないホストファミリーを見つけて、ESL※4語学学校に通ってみてはいかがでしょうか。英語圏にあるESL語学学校では、有資格の教師を雇っていることも多いですし、安心して学ぶことができると思います。ただ、ESL語学学校は大学などに付属していることもありますが、大学のキャンパスに設置されていても大学とは無関係だったりするなど、形態が様々です。どの学校に行くかは、留学エージェントによく相談してみて下さい。いずれにせよ、日本人があまりいない地域の学校であれば、寮生活を通して、とても良い学習機会に恵まれると思います。

また、クラスメートはネイティブではありませんが、様々な国から来た留学生と交流しながら、英語の練習ができます。ある研究によれば、英語を練習する話し相手がネイティブであってもネイティブでなくても学習効果は変わらないことが分かっています。ですから、日本語に頼らず、なんとかして自分の意思を伝える練習ができる相手が近くにいることは、とてもいい学習環境となります。

※4 ESL:English as a Second Language、第二外国語としての英語のこと

 

英検合格のために、必ず試験対策を!

このような環境で英語学習を継続していけば、A1からA2、そしてB1というように英語力は必ず向上していきます。ただ、問題は英検2級合格です。こちらは検定なので、それなりの対策をするべきです。

英検では、出題される問題や使用されている語彙のレベルが各級によって異なります。学習をはじめて間もない頃からこちらの対策をするのはあまり賢明とは言えません。どれくらい上達しているのかにもよりますが、英検2級を受験するレベルに達している時に試験対策を始めた方がいいと考えています。本来は余裕を持って試験対策をしたいのですが、これから英語学習を始めることもありますし、英検2級を受験するレベルに近くなってから対策を始めたいので、実際に受験する3ヵ月ほど前からしっかり試験対策をすればなんとか間に合うと思います。

英検は過去問題集が出版されています。過去問題をまず1セット、本番の試験と同じ条件で受験してみてください。この1回目の受験が終わったら、答え合わせはしますが、解説や日本語訳はまだ読まず、辞書も使わず、もう一度、2回目の受験をします。2回目は制限時間なしで構いません。とことん自力で最後まで全力で解いてください。2回目の答え合わせを終えたら、スコアを比較してみてください。このスコアの差が制限時間によって作られる差です。本番ではこの2回目のスコアを制限時間内に出すのが目標です。

そして、2回目のスコアが合格点に達成していてもいなくても、解説と日本語訳をしっかり読んで、どの問題をどう間違えたのか確認した後、再度英文に戻ってその部分をしっかり英語のまま理解できているか確認をしてください。このプロセスがとても重要です。日本語のまま解釈を終わらせないで、必ず英文で理解できるかどうかを確認してください。それが終わったら、本番同様、時間を計って3回目の受験をしてください。もちろん、再度間違えた問題は解説等を読んで次に同じ箇所で間違えないように気をつけてください。このようなやり方で過去問題集を数年分すれば十分な試験対策になるはずです。

このようにして英語学習を進めていくのが、二つの目標達成の近道だと思います。全力で頑張ってください。応援しています。

 


●編集部より:英語学習に質問やお悩みのある方は、ぜひ横本先生にご質問をお寄せください。一人で考えて答えが出る悩みもあれば、悩み続けて時間が経ってしまうことも多いと思います。ご質問はこちらから。ぜひお気軽にお聞かせください!
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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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