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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.110「自己分析からはじまるTOEICのスコアアップ」

先日大学のテストでTOEICのIP試験を受けたのですが、手応えがなく、来年就活も始まるので、なんとかしたいです。英語はそんなに得意ではなく、たぶん中学レベルも怪しいかもしれないです。まずはどんなことから始めればいいでしょうか?(マホ、20歳)


 

まずは、自己分析からはじめましょう

大学生が就職活動のためにTOEICの学習を始めることは、珍しいことではないようです。実際に多くの企業ではTOEICのスコアを選考基準に設けていると聞きます。就職活動を優位に進めるためにも、できるだけ高いスコアを目指したいところです。

ご自身の印象では中学英語レベルも怪しいということなので、就職活動前に目標スコアへ達成するために、今すぐ対策を始めましょう!

まず、他の検定対策にも共通することですが、最初は自分の弱点を知ることが大切です。先日IPテストを受験したとのことですが、スコアシートが手元に届いたら、リスニングスコア、リーディングスコア、トータルスコアの3つのスコアを見るのではなく、Abilities Measuredという項目をしっかり確認してください。このAbilities Measuredには、問題のタイプ別の出来が表示されているので、ご自身の得意な問題、不得意な問題がある程度わかります。ただ、中学レベルということを考慮すると、全問しっかり解答できた可能性が低いので、こちらを多いに参考にするのはスコアが500点前後くらいになってからでもいいかもしれません。

 

解説の丁寧な問題集を、3回解きましょう!

受験しなくても自己分析をする方法があります。書店にはTOEICの問題集が数多く並んでいます。どの本が対策に良いのか分からないと思いますが、とくに解説が丁寧なものを選びましょう。解説が簡潔な教材は、高得点を目指す学習者向けと思ってください。中学英語レベルの英語力だと、解説を読んでもどの選択肢がどうして正解で、他の選択肢がどうして不正解なのか分からないままになってしまいます。学習の際に、解説をしっかり読んで、正解かつ不正解の根拠を正確に理解する学習したいので、解説を理解できないのであれば、その問題集を学習してもあまり意味がないでしょう。

解説の詳しい問題集を手に入れたら、収録されている複数の模試のセットのうち、まず1セットのみを使用します。それを使用して、1回目は時間を計かり、本番と同様の条件で受験してください。その後、答え合わせだけをします。この答え合わせの時には、まだ解説は読まないで、ただ正解と不正解の数を数えて下さい。これによって、現時点での獲得スコアの予想がわかります。

続いて、まだ解説を読まずに、2回目の受験に入ります。2回目は時間制限なしで解いてください。2回目は日を跨いでも構いので、とにかく辞書などを使わず100%自力で解いてください。それが解き終わったら、答え合わせしてみます。この2回目の獲得予想スコアが、現時点の実力で獲得できる最高得点になります。つまり、時間制限さえなくなれば、2回目の予想スコアレベルまでは、現在の英語力で獲得できるということになります。

 

解説の熟読が、着実なスコアアップにつながる

それでもまだ目標スコアとしては物足りないと思います。そのために、自力で正解できる問題を増やしていく必要があります。ここでいよいよ解説の熟読をしていきます。

2回目の結果をみながら、正解した問題も正解の根拠が合っているかどうか確認して下さい。もちろん、不正解だった問題は、どうして不正解だったのか、正解はどうして正解なのかをしっかり理解していきながら、一問一問しっかり解説を読んで下さい。

このときに、合わせて語彙の学習も進めていきましょう。解説や訳を見ても分からない単語は、ぜひ辞書を使って調べて、単語ノートや単語カードなどを利用し、すき間時間に学習できるようにしておきましょう。そして、何より重要なのが、その単語が登場した元の英文を見ただけで、意味が解釈できることを確認しましょう。この確認を怠ると、語彙力が伸びない恐れがあります。訳して、日本語で解釈して終わるのではなく、必ず英文として読めるかどうかの確認をすることが肝心です。

この方法で解説を使用した学習が終わったら、3回目の受験です。今度は1回目と同様に、本番と同じ条件で受験します。休憩等を取らないように、しっかり時間通りに解いてみてください。おそらく1回目、2回目よりも正解数が多いと思います。3回目で不正解だった問題は、再度解説をしっかり熟読して、どうして不正解だったのかをしっかり理解するようにしましょう。 

通常、書店で購入できる模試は2~3セット収録されているので、まずは、模試を1セット使用して、この学習方法を試してみてください。解説が詳しく書いてある問題集の場合、問題をタイプ別に分けているものも多くあります。3回目あるいは2回目の正解と不正解を見て、自身の得意な問題タイプと苦手な問題タイプを見極めておきましょう。その問題タイプの見極め方も書いてあることが多いので、それを読むことで、得意な問題タイプを優先的に解くのがスコアアップに繋がります。

 

目標レベルの問題を把握し、取りこぼさないように学習を!

TOEICは非常に簡単な基礎的な問題から、上級者にとっても難しい問題まで、さまざまなレベルの問題が混在しています。つまり、目標レベルに見合った問題のみを正解すればいいので、上級者用の問題は時間すら掛けず適当にマークし、自分が解ける問題に時間を掛けるのが最大のコツです。

また、目標スコアに合った問題集やリスニングだけの問題集や、リーディングだけの問題集などがあります。今回紹介した方法で、模試をやって自己分析をして、自分には何が必要なのかを見極め、弱点を強化するための問題集を購入することをお勧めします。上級者が薦めてくれたテキストや問題集も悪くはないかもしれませんが、自己分析によって、例えばリーディングが苦手だとした場合、リーディングを強化するための練習をしたいので、必ず自己分析の結果を問題集選びの参考にしてください。今すぐ自己分析をして、弱点を強化して、スコアアップを目指しましょう。

 


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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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