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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.127「IELTSリスニングの勉強方法について」

イギリスの大学院へ留学を考えている者です。今、IELTSの勉強をしているのですが、リスニングパートに苦労しています。イギリス英語の聞き取りが苦手で、問題文全体をちゃんと聞き取って、理解することができません。現在のリスニングパートのスコアは、5.5なのですが、1年後には6.5を取りたいと思っています。BBCのポッドキャストを聞いたりはしているのですが、公式問題集などをひたすら解くほうが良いでしょうか。効果的な勉強法があれば、教えて頂きたいです。(クミコ、24歳、社会人)


 

聞こえ方の特徴を体系的に学習して、発音練習をしましょう!

慣れていない英語を聞き取るのは、それほど簡単ではありません。私はアメリカとイギリスの両国で大学院を経験していて、やはり同じような苦労がありました。イギリスの大学院へ留学するためにIELTSを学習されていることと、自己評価ではイギリス英語の聞き取りが得意ではないとのことですので、それぞれについて私なりの考えを紹介させてください。

 

IELTS対策は、まず解答に求められるスキルの確認を!

まず、IELTS対策についてです。これはIELTSに限ったことではありませんが、英語試験には、それぞれの特徴があります。実際に受験経験があるようなので、問題形式等はおそらくご存知だと思いますが、もう一歩踏み込んでIELTSのリスニングセクションの特徴、問題タイプ、また、それぞれの問題タイプがどんなスキルを評価しようとしているのか調べてみてください。

たとえば、電話での会話を聞き取って、適切な語句を書き入れるタイプの問題があります。文中に語句を書き入れる問題ですと、文法上、そこに名詞が入るのか動詞が入るのかなど、判断することができますし、それも正解を導くスキルの一つです。また、正しいスペルで書くということも必要なスキルです。そして、穴埋めの問題は会話の詳細を聞き取ることが必要となることが多いため、「話されている内容の細かい部分を正しく聞き取る」というスキルも必要です。

このように問題タイプによって、正解を導くために要求されているスキルが異なります。問題集を選ぶ時には、解説にそのような必要なスキル説明のあるものを選ぶと、きっと役に立つと思います。

そして、問題タイプと必要とされるスキルが理解できたら、次は自己診断をしましょう。実際の試験を受験しても、どの問題が正解でどの問題が不正解だったのかわからないので、問題集などを使用し、本番と同じ条件で受験してみましょう。そして、その結果を分析して、自分の得意なスキルと苦手なスキルを理解しましょう。それを基に苦手なスキルに重点をおいて練習すれば、効率良くスコアアップに繋がります。バンドスコア6.5が目標ということなので、正解数は40問中26~29問でしょうか。その目標を達成するのに、どのタイプの問題を何問正解すればいいのかという具体的な戦略を立てて臨んでください。

 

イギリス英語の特徴を体系的に学ぶのもおすすめ!

次にイギリス英語の聞き取りについてです。日本で出版されている英語の教材はアメリカ英語のものがほとんどですので、日本人の学習者にとっては、イギリス英語はあまり馴染みがないかもしれません。

ただ、IELTSに限らず英語の試験で使われる英語は、アメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語などのそれぞれの地域特有の発音や表現が聞き取りや理解に影響しないレベルに抑えられているはずです。試験で耳にするレベルの英語であれば、難なく理解できるようにしておくことが重要です。留学先では、現地のいるさらに強い訛りのある英語を耳にすることになりますから、その時のコミュニケーションを円滑にするためにも、多少訛りのある英語に慣れておくことが必要です。

BBCを使って聞き取りの練習をされているということですが、とてもいいアイデアです。一度ご自身で判断していただきたいのは、BBCのポッドキャストを聞いている際にアメリカ英語のCNNなどを聞いている時より聞き取りが難しいと感じるようであれば、一度イギリス英語の特徴について体系的学習することをおすすめします。全てを一般化するのは難しいのですが、アメリカ英語とイギリス英語の違いを理解する、あるいはイギリス英語の発音の特徴を理解することは、後の学習に役立ちます。

たとえば、よく知られているのはtの発音です。イギリス英語話者はこのtの音を比較的しっかり/t/と発音することが多いです。

それによって、聞きなれているアメリカ英語話者がbetterを「ベラー」のように、Yes, it is. を「ィエスィリィズ」と発音するのに対して、イギリス英語話者はそれぞれ「ベター」「ィエスィティズ」と発音します。

このような特徴を学習するのに役立つのは、イギリス英語の発音の特徴を紹介してくれているテキストです。それほど多くはありませんが、イギリス英語の発音を専門とされている方もいらっしゃいますし、発音の特徴を上手くまとめたテキストもあります。著作の経歴などを確認し、信頼できそうなテキストを購入してみてください。イギリス英語をひたすら聞いて慣れるのみの練習より、特徴を理解して聞き取りに活かす方が、効率よく耳が慣れていきます。

 

発音練習でリスニング力向上を目指そう!

さらに有効的なのが、発音練習です。これをきっかけに少しイギリス英語の発音を練習してみてください。ご自身がイギリス英語の発音ができるようになっていくと、聞き取りも格段に楽になります。イギリス英語の発音に関するテキストを使用して基本練習をしたら、BBCなどを利用してシャドーイングしてみるなど、文章レベルで発音練習をすると、イギリス英語のリズムやイントネーションの練習にもなるので、さらに効果が期待できます。

 

これまで学習してきたアメリカ英語の基礎はそのまま使えるので、慣れるためにはそれほど苦労はしないと思います。一度体系的に学習して、発音練習してみてください。そして、イギリスでの大学院留学を成功させてください。

 


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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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