朝日出版社ウェブマガジン

MENU

書店員さんから感想をいただきました

『グググのぐっとくる題名 なぜこのタイトルに惹かれるのか』へ送っていただいた書店員さんたちの熱いコメントを全文公開させていただきます!(編集部)


 

 題名の鑑賞はお金のかからない娯楽である旨が記されていて、確かにそうだな、とおもう。書店で背表紙を目で追うていて時間を忘れて夢中になることがある。
 読書の術を説くことには意味があり、需要もあるだろう。が、この本はあくまでタイトル鑑賞の手引きなのである。 
 おもしろく読めて、かつ実用的。内容を吟味することなく、純粋にタイトルだけを味わう。コピーライティングの入門としても実に行き届いているようにおもわれる。
 そして何気なく命名されているような題名にも作家の技巧が凝らされていることを知るだろう。その分析がかなり精緻に図解まで駆使してなされていることに唸った。
 特に著者は音感を重視している。読んだときに頭でどのように響くのかを慮る。それは俳句の鑑賞に近いものなんじゃないか、とおもった。著者が俳人でもあることは確実に偶然じゃない。とすると題名というのはある種の短詩に近接してくることが感じられる。

 本書の凄味はネーミングの作り手と受け手の両方に開かれていて、双方を育む力を持っていることだ。
 題名の世界はとても奥が深い。迂闊にはダイブできないものでもある。でも本書を読んでいれば安心だ。安心だし、世界の見え方がちょっとだけ変わってくる
 どんなものにも名前が付いていて、そこには由来があり、工夫もあったりする。立ち止まって推理する目が養われると解像度が違ってくる。となると生きてるだけで自動的にいろんなことが愉快になる。
 植物をスマホで撮影して、その品種等の情報を判定してくれるアプリがあり重宝しているのだが、私はブルボンアプリが欲しい。題名を読み込ませると、即座にブルボン小林による鑑賞に導かれるようなものだ。開発してほしい。そしてそのアプリのネーミングがどうなるか気になる。

 本書で圧巻なのは終章に置かれた古賀及子とのポッドキャストをネーミングする舞台裏について書かれたものだ。その遣り取り、クリエイティブの現場が極めて生々しいのだ。
 アイデア出しについてブルボンはこのように書く。
最初の提案でまず大事なのは「いいか悪いか」ではなく「臆さない」ことだ」
まさにそうだよなあ、とおもった。
 古賀及子という新しい「言葉使い」(←魔法使い、みたいなニュアンスです)の才人と百戦錬磨の「言葉使い」であるブルボンによるメールでの繊細な遣り取りがママ収録されていて、「これは読んでいいやつなんですか・・・?」と震えまくった。
 題名本の真打ち。マスターピース。

◆今野書店 花本武さん◆

グッときたか、ググっときたか、
はたまた、それとも、グググときたか?
小説、漫画、映画、音楽…縦横無尽に「題名」を分析し、その魅力をわかりやすく解説。
読み手も書き手も、売り手も買い手も、誰もが学べて楽しめる。どこから読んでも問題なし!
たとえピンとこなかった題名も、読めば途端にぐっとくる。
題名の見方が変われば、世界はもっとおもしろくなる
顔つきや姿勢にはその人の心が表れるというが、題名にも同じことが言える。
本書で挙げられている作品たちは、どれも素晴らしいものばかり。新しい出会いにも、もってこいだ。
「題名よければ、すべてよし」、こんな言葉もあるとか、ないとか。

◆青山ブックセンター本店 文芸書担当 神園智也さん◆


本の新刊をチェックしていると「お。」と感じる書名がある。本書はその直感が解説されるような、わくわくする面白さが次々とやってきます。「そうそう、いいと思っていたんだよ、この題名!」と共感し、驚いたり、笑ったり、感嘆したりしながら想像を重ねていく。タイトルだけで中身にまで迫っていくのだから、書店員力の筋トレにも適した本だなと思いました。本の背表紙を眺めることが楽しい人にぜひおすすめしたい!

◆TOUTEN BOOKSTORE 古賀 詩穂子さん◆

 

本屋で働いていて1番楽しい仕事は棚入れ作業だと思っています。いろんな本の背表紙にある題名を眺めながら、おもしろそうな本だなぁと手に取り少し立ち読んだりする瞬間のために、本屋で働いているのかもしれません。
しかしながら、題名に対して「どうしてこうも惹かれるのか」ということを今まで深く考えてくることはありませんでした。ブルボンさんの題名に対する様々な考察を目の当たりにし、かなり打ちのめされた気分です。今自室に並んでいるわたしが手に取ってきた本の題名には、こんな仕組みがあったのか…と夢中になって読みました。言葉や短いテキストを目にしてただ面白がるだけでなく、それらに考えを巡らせることの楽しさに、何度もときめいてしまう1冊です。言葉って楽しい
また、ありとあらゆるカルチャーがひっきりなしに登場するのでこれから読みたい観たい聴きたいものが山のように増えて困ります。要注意です

◆丸善 髙島屋大阪店 宮﨑 優花さん◆

 

読みながら、こんなにも音読したくなった(というかした)本は初めてかもしれません。
「ハァ~ビバノンノン」に「パイア」がこんなにぴったりハマるんなんて。
「ババンババンバンバン!パイア!」
くふくふ笑いながら繰り返し発しているうちに、笑いが止まらなくなりました。
明日から職場の本棚を見回して、ぐっとくる題名とともに楽しい日々を過ごしたいと思います

◆いか文庫店主 粕川ゆきさん◆


書店員として働いているとタイトルの大事さを痛感する

覚えやすいもの、変わったもの、インパクトのあるもの、そして誰も正確には覚えられないタイトルのもの。
中身でなくタイトルで売れるもの。
ぜひ手に取って見てください、書店でのタイトルとの出会いにきっと運命を感じますよ

◆八重洲ブックセンター 京急上大岡店 狩野大樹さん◆

 


 

ジャンル

タグ

お知らせ

ランキング

閉じる