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マニマニ教えて!今の韓国ヨギヨギ~

「エゴマの葉論争」~恋人の友人、どこまで親切にするのが正解?~

#エゴマの葉論争 #깻잎논쟁 #BTS #방탄소년단 #香港飯店0410 #홍콩반점0410


皆さんの「そうそう!これ、聞きたかったぁ~」に答える連載『マニマニ教えて!今の韓国ヨギヨギ~(たくさん教えて!今の韓国こっちこっち~)』です。韓国で、または日本で韓国関連分野を研究している先生たちが今の韓国についてやさしく解説してくれます!韓国語版おまけ付きで、言葉の勉強もできるなんてチョアヨ(素敵です)>_< 連載を読み終える頃には、あなたも韓国通になっているかも?!

第11回は、崔銀景先生(長崎外国語大学)です。韓国料理屋さんでもよく見かける「エゴマの葉」。この身近な食べ物をめぐって、食文化や社会的慣習そして経済問題までが複雑に絡み合った論争を、楽しく解説していただきました!


 執筆者: 崔銀景 河正一 飯倉江里衣  

      金根三 朴天弘 鄭敬珍    


 皆さん、「エゴマの葉論争」という言葉を聞いたことがありますか?「エゴマの葉論争」については、BTSが公式YouTubeチャンネルで一度熱く語っていたことがありました。「エゴマの葉論争」とは、自分と友人がダブルデートで食事をしている時、友人が自分の恋人のためにエゴマの葉をはがすのを手伝うことはアリかナシか(以下、アリ派とナシ派)、という議論から来ています。

写真1 エゴマの葉(缶詰・カルディで購入)   写真2 くっついているエゴマの葉っぱたち 

 写真1 エゴマの葉(缶詰・カルディで購入)                      写真2 くっついているエゴマの葉っぱたち

 たとえば私が、友人とダブルデートでご飯を食べているとします。私の恋人がエゴマの葉を食べようとしたら、上の写真2のように、葉っぱが複数枚くっついている状態でした。その様子を見た友人が、私の恋人の取ったエゴマの葉っぱたちの片方を箸で一瞬抑えてくれました。そのおかげでうまくエゴマの葉をはがすことができた、という状況です。

 BTSのジョングクさんはナシ派で、「仲良くエゴマの葉を取っていたら、手もつないで、そのうち結婚もするのではないか」という非常に斬新な意見を披露しました。その気持ち、実は私も同感です。だって、その場には私もいるのだから、自分の恋人のエゴマの葉を私が取ってあげることもできるじゃないですか・・!しかも、隣には友人の恋人もいるわけなので、ちょっと誤解の種になりそうな気がします。

 一方、J-HOPEさんやVさんのようなアリ派の中では「エゴマの葉くらいは取ってあげてもいいだろう」という意見も多いようです。友人の恋人だから、それくらいは親切にしてあげられるという感覚です。むしろ、「友人の恋人が困っているのに助けないのもちょっと・・」という考え方ですね。(たしかに・・)

 この論争が盛り上がっていた時、料理研究家ペク・ジョンウォンさん(香港飯店0410の社長さん)は本人のYouTubeチャンネルで、「エゴマの葉論争は経済的問題」であると新たな視点を提示しました。エゴマの葉を取ってくれるのは下心があるからではなく、一人が2枚のエゴマの葉を持っていってしまうのを阻止するためということです。エゴマの葉ではなく、お肉だったなら、相手が誰であろうと構わずくっついたおかずを取ってくれるはず、ということです。(なるほど・・)

 日本は韓国と違って、二人が同じおかずを同時につかむ、ということはタブーとされていると聞きました。そのため、皆さんの中にはこの論争に共感しにくいと思われる方も多いでしょう。もしよければ、一度韓国料理屋さんや輸入食品店などで、エゴマの葉を買ってみてはいかがでしょうか。友人や家族と食卓でエゴマの葉を一緒に食べながら、「韓国ではエゴマの葉論争があるんだって」などと話題を振るのもいいでしょう。エゴマの葉がくっつく様子を体験しながら、自分はアリ派なのかナシ派なのかを考えてみるのも面白そうです!お互いに違うところを理解するということは、まさに異文化理解の第一歩ですよね!ぜひ、皆さんの感想も聞いてみたいです!ではでは、また次回の連載でお会いしましょう!アンニョン~

崔銀景(長崎外国語大学)

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著者略歴

  1. 崔 銀景(チェ・ウンギョン)

    交換留学をきっかけにホテル経営から言語関連に進路変更。夙川(兵庫県西宮市)の桜に惚れ、関西学院大学院に入学。日本で韓国語を教えたいという夢をもって、言語科学・言語教育学を専攻し今に至る。オーシャンビューとマウンテンビューの美しい長崎外大で、学生たちとワイワイ授業している。このコラムは、ペンス(EBS韓国教育放送公社(NHK教育テレビ相当)のペンギン)のあふれる研究室で書いている。現在、長崎外国語大学 外国語学部 国際コミュニケーション学科、特別任用外国人講師。

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