英国流のディナーパーティー
イギリス人は、相手と相当仲良くならないと一緒にお茶を飲んだり、飲みに行ったり、ご飯を食べに行ったりしません。家に招き合うのにも、かなり時間がかかります。人見知りが多いので、仲良くなって心地よい関係になったら自分の私的なスペース(家)に来てほしい、というのが理由のようです。
家に招かれるほど親しくなると、dinner party に来てくださいねと、お招きを受けます。この dinner party とは、sit down dinner party という意味です。つまり、テーブルに着席してコース料理を食べるという意味で、立ったままピザを食べるとか、カクテルを飲んで80年代の曲でブイブイ踊るとか、BBQ(バーベキュー)をやるという意味ではありません。
host がパーティー開催にあたり、最も気を遣うのは人選です。共通の話題がありそうな人、年齢、職業、おしゃべりな人、無口な人、などを注意深く選びます。お招きする際に、相手の dietary requirement (食事上の注意)、つまり「何は食べられるか、何はダメか」を聞くのがものすごく重要です。
食事は通常 starter(前菜)、main(主菜)、pudding(デザート)の 3 course dinner(3品のコース料理)です。伝統的なイギリスメニューなら、starter は prawn cocktail(エビのカクテル )、main は roast beef(ローストビーフ)、pudding は Eton mess(イートンメス)など。すべて手作りする家庭も多いです。飲み物はビールではなく、ワインが一般的です。
(写真:onetallchef / Flickr)
エビのカクテル:エビをレタスの千切りなどに乗せ、オーロラソース(マヨネーズとトマトケチャップで作る)をかけたもの。
(写真:Foodista / Flickr)
イートンメス:イチゴと生クリームとメレンゲのパフェ。英国の男子校、イートン・カレッジのクリケットの試合で伝統的に出されていた。mess は「ごちゃ混ぜ」という意味。
食後には、伝統的なイギリスチーズ(通常はチェダーやブルーチーズ。チャツネ を付け合わせます)か、ポートワインなどの食後酒をいただきます。
(写真:vanessa lollipop / Flickr)
チャツネ:インド料理で使われるソースまたはペースト状の調味料。野菜や果物に香辛料を加えて作る。
食事中は食べるだけではなく、会話に花が咲きます。会話の内容は、不動産の値段、休暇の話、時事問題、環境、文学、最近見に行ったミュージカルやオペラ、いろいろな国の人がいるなら母国の習慣など、さまざまです。重要なのはユーモアのセンスで、どこでもちょっと気の利いた「大人の笑い」を披露できれば大喜びされます。 dinner party はお互いと親しくなり、楽しむための機会なので、シリアスな仕事の話や愚痴はご法度です。イギリスのホームパーティーではこのようにさまざまな会話を楽しむので、普段から時事問題や文学などに触れておくのが大事です。