第13回 言わないことを言う
小説や演劇、映画、音楽、漫画や絵画など、あらゆる作品の「内容」はほとんど問題にせず、主に題名「だけ」をじっくりと考
第13回は、好きなことで生活していきたい人の指南書としてベストセラーとなった本と、子どもにも大人にも人気の絵本の題名です。(編集部)
テレビCMだったろうか。タレントの高田純次が美しい女優(佐々木希だった気がする)に向かって「(自分と)似てますよね?」と真顔で尋ねた。
女優は戸惑い、周囲も「なにをいってるんですか高田さん!」みたいなムードになるが、そこにすかさず言を重ねる。
「えー、だって目が二つあってここに鼻があって口でしょ?」と指で顔のパーツを示しながら。それでどっと笑いが起きる。
これは高田純次のとぼけた言い方や間の取り方が絶妙だから笑えるのではあるが、この説明の言葉だけを、彼の個性や技術と切り離したらどうなるだろう。
笑いはなくなったとしても、ある種の感銘を残すのではないか。言われれば我々は(みんな)たしかに「似ている」のだ。
解像度を著しく下げたり、過剰にズームインしたり、単純化したり、当たり前すぎるから言わない前提を言ってみたりすることで題名が輝くという例を今回はみていきたい。
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本連載は終了しました。加筆・改稿のち書籍化します( 新たな読み物、対談など盛りだくさんでお届けします。 |
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