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あさひてらすの詩のてらす

朽草に添える18篇の詩(25年7月)

蛍はその昔、夏の暑さで朽ちた草から生まれると考えられていたそうです。それでは、都会ではすっかり見かけなくなった蛍の代わりに、街の枯草のからは何が生まれるのでしょう。厳しい暑さのために、ふとそんなことを考えてしまう今日この頃、投稿された作品の中から18篇を掲載いたします。ご一読ください。


 

朽草に添える18篇の詩

・滑走する

・少年と海

・コケコッコーはもう鳴かない

・顔

・豪邸

・21

・梅干しの嫌いな女の子

・ざわめくはこ

・散歩

・脳内のAIチャット的なものについて

・霊界小説家

・再会

・残火

・ホリーゴライトリーは、悲しい女

・運命

・例えば花は

・ふたり暮らし

・遺言

 

滑走する

草笛螢夢

 

道標の向きに従って

てくてくと歩いていると

”まだスピードがつけない!”と

脅かすように翳んだ声が

背後から薄気味悪く 囁く

 

可能性の路は見えないが

自分の感だけで歩き続ける

 

一体何処へ 到達するというのか?

分からないまま 早足から助走に変わっていく

 

きっと何かが待って

周りの景色も楽しみながら

成りたかった自分に変わる事を信じ

このまま よりスピードを増し

この地を踏み切れるのだろうと

大地を蹴り より高くジャンプする

 

少年と海

SilentLights

 

きよらかな水のながれ

すみわたる風

 

きせきれいが

川辺で さえずる

 

チチッ チチチッ

 

少年のつくった

草の 小舟が

しずかに

川をくだってゆく

 

優雅に

そして なめらかに

 

やわらかな想いをのせて

 

さえぎるものは 何もなく

 

川をくだり

草原をこえて

 

少女の海へ

 

母の胸へと

 

コケコッコーはもう鳴かない

yasui

 

クックドゥー、を知ってるかい

 

知らないだろう、いや知らないよ

 

今の電子レンジ、魔法のランプだよ

 

とっても不思議な話さ

 

少し複雑なだけだよ

 

見せてあげたいね

 

きっとレンジじゃないか

 

そう言うよ

 

昨日のテレビの話だよ

 

シンヤ サタケ

 

 

顔は意識の一部

 

人は僕の顔見てる

 

鏡は僕の顔写す

 

でも みんな 嘘っぽい

 

全てが虚像なら

 

現実がまぼろしならば

 

この意識すら 当てにならない

 

そして水を飲んでみた

 

身体を流れる気はした

 

でも それすら 怪しい

 

手の震えすら  怪しい

 

豪邸

つくし澪

 

粗末なその家に忍び込み

ありったけの財宝を盗むがいい

くまなく探し

身につけられるだけゴッソリと

そして逃走中

盗んだモノは

方々に投げ捨て

路上の片隅で

ひざを抱える者たちに

持っていってもらえ

すると

手ぶらになったわたしを

遠く窓から見ていた

粗末なその家の主が

追いかけてくる

財宝はまだまだあると言って

追いかけてくる

もっと持ってゆけと言って

神は追いかけてくる

 

21

とし

 

初めてのバー

初めてのカクテル

初めて成人と認められた夜

 

期待と興奮の入り混じった笑顔に

今日まで育て上げた自分への誇りを感じる

 

初めての自動車運転免許

初めての一人暮らし

初めての確定申告

 

不安と緊張を周囲に支えられながら

一歩ずつ大人になる準備を進めてきた

 

ようこそ、大人の世界へ

楽しい事ばかりではないかもしれない

大変な事も沢山あるかもしれない

でもきっと、素晴らしい未来が待っている

 

お誕生日おめでとう。

 

梅干しの嫌いな女の子

ナカタ サトミ

 

さっき 朝礼台の下でひざを抱いたまま座っていた私に

Jの声が上から降ってきて

死んだ犬の匂いがした

カミナリ 曇天に旗が揺れている

 

あの赤は太陽ではなかった

父の腹を裂いた夜の血であり

母の口を縫った記念日の火だった

「国家の名において歌え」

私は忘れたふりをして音程だけを怒鳴った

 

ざわめくはこ

ヨージーマ

 

ざわざわざわ

おおきなおおきなはこ

なかからきこえる

 

ざわざわざわ

ゲラゲラゲラゲラ

たくさんのこえ

あかりがついてる

まぶしいまぶしい

よるもひるも

みんなみてる

ちいさなめをむいて

じっとみる

 

ペラペラペラ

ことばがとびかう

あたまのなかで

なにかがぐるぐる

どこへゆくのか

だれのためなのか

 

ざわざわざわ

やむことのないこえ

あめがふる

しずかなしずかなあめ

つちをうるおす

 

わたしはしってる

しずけさが

いちばんつよいこと

 

でもあのはこは

いつもざわざわ 

 

 

 

散歩

雨村大気

 

問題も解決も曖昧なまま

それらを安心して放置している

 

最近自分の中に秘密の灯火を見つけた

下心でいっぱいの

くだらなく燃え続ける灯火を

 

多くの事を軽やかに諦める

灯火だけを隠して

 

だらしのない空気に

虚しさは揮発し続ける

腑抜けたように笑っている

 

手垢が沢山が付いた言葉が連れてくる

いつも通りの心地いい幸福

 

何も持っていなくても

僕は意味もなく満たされている

それはかつて苦しみが住んでいた穴ぼこに

降り注ぐ陽射しのようだ

 

気楽の寄せ集めでできた

静かに凪いだ空っぽのやる気で

僕はゆったりと歩む

 

脳内のAIチャット的なものについて

倉橋 謙介

 

亡くなってから1年半

洗濯物の乾き具合や

夜に食べるお弁当まで

ことあるごとに頭の中の

バーチャル母さんに

アドバイスを求めてきたけど

最近はオリジナルの

ちょっといたずらな感じも

薄まってきてしまって

このまま今年中には

マリア様みたいになっていそうだ

あら、それでいいじゃないの

そう言って

遠慮なく笑っているけども

 

霊界小説家

長谷川 哲士

 

想い出に浸る間もない、

そんな事は自明の事実である。

 

皮膚を擦られる様な、テレパシー、を、

感じた。ちょっと下階に降りてみよう。

 

バッティングセンターの反響音。

詩は悲劇、真冬の海に浮かぶ屍。

 

階下に、空気を掴む様に、

手をばたつかせている盲目の女が居た。

そいつは、盲にも関わらず、

手に持った、金色のガンで、

俺の心臓を捕らえようとしている。

 

ああ、阿呆らしい、無謀だ、不毛だ。

俺は、ゲラゲラ笑いながら、

俺の、心臓はここだ、と、手を取り教えてやった。

 

女の脈は速いが、俺の鼓動も、負けずに速いぞ。

 

フォークダンスの様に戯れ合って、暫し。

 

盲目の女は、血の涙を流しながら、

アイラブユーだったのよ、と、囁いて、

俺の心臓を、これまた上手に、撃ち抜いた。

 

神よ、心眼流銃術の使い手、

そんな盲目の女に、俺は、撃たれて、

死んだ。

 

そして、死後、そいつに惚れた。

 

再会

槻結糸

 

数十年の時が流れ 二人は再び出逢う

 
蘇えるあの頃のときめき 
恋文 繋いだ手 見つめあう眼差し 交わす言葉 交わす体
同じ時を見る二人
来し方へと戻される二人

齢を重ねる体の変化 
白い髪 薄くなった頭髪 刻まれる顔の皺 ごつごつとした節節
同じ時を見る二人
今へと戻る二人

肩を並べて歩く 同じ歩調 あの頃のように
触れ合う腕 触れ合う手の甲
そして   
繋ぐ手 通い合う心 あの頃の想い
ときめきを超えた懐かしさ お互いの優しさ お互いの想い
柔らかな心地よい 今の時
来し方が創り出した今の時

別れが創った 今の時

 

残火

南野 すみれ

 

昇る煙がゆれながら
影のようにきえてゆく

蚊取り線香が中心に向かう
じりじり音がする

火は勢い止まずに
渦をすすむ

風に抗うように
ときどき赤く熾った

勾玉のような先が
ふるえだす

体の芯に残っていた熾火が
白い炎をあげる

 

ホリーゴライトリーは、悲しい女

鏡ミラー文志

 

ホリーゴライトリーは、悲しい女

ダイヤモンドの輝きと、屍のような身体を併せ持つ

ホリーゴライトリーは、悲しい女

人はみんな自分のために生きて、他人を利用する

ホリーゴライトリーは、悲しい女

マンハッタンの太陽と、アイスクリーム

ニューヨークの陽射しを受けて、ココナッツオイルで身体を潤す

ホリーゴライトリーは、悲しい女

ハリウッドの夢と、俗人の海 その中を駆け抜ける

ホリーゴライトリーは、悲しい女

真珠の涙と、淡い唇 煤けて仕舞えば、それもお仕舞いか?

ホリーゴライトリーは、悲しい女

すべての弱者、哀れ人、親に依存する人々 障害者に、彼女の人生を捧げよう

貴方がいなくても、私は生きていける

私がいなくても、貴方は生きていけ

 

運命

セルゲイ

 

ある時仲良しの友達と

その時期よく集まっていた場所で遊んでいたら

一陣の風が吹いた

 

その時私にある不思議な感情が湧き起こった

とても大きな感情だった

崇高で偉大ではあるが偉ぶるところがない

その場とその状況を非常に客観視したような

畏怖が一番近いかもしれないが怖くはなかった

快く前向きなのは確かだが明るいというのでもない

 

風が吹いた

まるで大きな誰かがその場を抱きしめたように

 

それからの私は風がすっかり好きになった

あの感情をもう一度味わいたかった

私は広い場所に行って一人になりたくなった

あの感情が私を導いた

 

あの時のような美しい瞬間を探し求めた

経験を重ねるうちにわかったのは

それは身の回りの中にある

素直でいれば

魂は美しい瞬間を創出する

 

例えば花は

小村咲

 

茶色に萎びた葉を切り取り

水を入れ替えて

花に告ぐ

こんなにも長く咲いてくれて

君という強さを

また探して生けるからと

 

土から去り

茎を切られてからの長旅

想いを込めて選ばれて

柔らかな笑みを受けては

一輪一輪別れを告げゆき

早何日目

 

さらさらと溶けゆく

シリカがあれば

清らかな水さえあれば

嵐の最中も卓上に

故郷を離れて

目一杯咲く

逞しき美

 

生まれの言葉も

育ちの空の色も

海を越えて

山を越えて

小さな部屋にて

私は今あなたと

頬杖をついて

 

この花は

夏が行けども

色を失いそうにない

そんな気がした

 

ふたり暮らし

南野 すみれ

 

日曜日
世界中がシェスタを貪っている
のったりと
首を振る扇風機に
からだがゆるむ

コロナがあったので
君にこの前会ったのは五年前
ふたりだけで過ごすのは初めてだね

オレンジ色に染まった
昼下がり
氷が涼やかに鳴る
水滴がグラスをすべり落ちて
コースターが濡れる

一週間だけのふたり暮らし

明日は帰る君を
空港に送る

 

遺言

七海独

 

これらは全て、わたしの遺言。

百年後も千年後も、
絶対に消えることのない遺言。

紙には書かない、書けない遺言。
だって紙は、いつか灰になるから。

消そうとしても、絶対に消えない遺言。

これらは全て、わたしの遺言。

名前のないわたしが、
力のないわたしが、
声のないわたしが、
流れる血を存分に使って書いた遺言。

詩。


 

 

世話人たちの講評

千石英世より

滑走する

励ましの詩で、感じるものがありました。貴重な感情ではないでしょうか。

少年と海

可憐な言葉が可憐に並ぶ詩です。「少年」「少女」「母」の関係がわかるようでわからない。これはどう受けとればいいのか。このもどかしさが可憐なのかもしれない!

コケコッコーはもう鳴かない

飛躍の多い詩です。謎めいています。何人の人の声が聞こえてくるのだろう? どこで語り合っているのだろう?

「そして水を飲んでみた」の転換以後が素晴らしいと思います。短いけれど感じるところがある詩だなと思います。

豪邸

おもしろいとおもいます。好きになれます。真っ直ぐな感があって好きになります。

21

だれがだれに向かって言っているのかが不明ですけど、そこが不明でも問題ない感じもします。

だれかの美しい心根があらわているのは確かなのだから!

梅干しの嫌いな女の子

強烈な詩です。はげしい心のホトバシリ! 最後の1行がまたすごい。感服しました。これはちょっと普通では書けない詩です。それが実現しているように感じました。

ざわめくはこ

いいですね。「あのはこ」は何できているのかを考えさせます。どれくらいの大きさなのかも。地球大なのかもしれない。良い詩ですね。

散歩

終わりの2つの連が刺さります。刺さったからといって元気が出るわけではないですが、ササリマス。この緩さは重い! 大胆不敵で。挑発的で。これは強い。

脳内のAIチャット的なものについて

せつない。状況はよくわからないですけど、何かせつない。語り手は肉親をうしなった人? そうであってもなくても切なさがでているとおもいます。

霊界小説家

タイトル、抜群! 熱い作品です。とぼけているのにアツイ! プロレスか何か、格闘技を見ている感じの詩だと思う。汗が飛び散っている。しかも、ジーンとくるものがある。

再会

ドラマのシナリオを読む思い。キャスティング、どうしよう? キャスティング、主役、女性は? 女優A。男性は? 男優B。Aの少女時代はだれに演じさせる? Bの少年時代はだれに? 背景はどの町? それはこころのなかか。監督はだれに? そんなことを思わせる力作、でも、肩に力が入っていないところが素晴らしい。自然な感じがすばらしい。そう思いました。

残火

嘱目がドラマになってゆく。短い詩ですが、短さが生きている。完成度がすごい!

ホリーゴライトリーは、悲しい女

ゆったりとしたブルースを聴いている感じがしてきました。曲の最後でぐっと盛り上がるような。

運命

「風が吹いた/まるで大きな誰かがその場を抱きしめたように」

この2行で決まりましたね。重要な詩情がありますね。外の世界の風と内の世界の決意決断。外界と内界が出会うときですね。神秘的ですらあります。これを2行に分けたところも詩ですね。 

例えば花は

「私は今あなたと/頬杖をついて」、ここグッときます。ここで詩を終えるのはどうでしょう? 終わり4行は作のまとめに入っているので捨てる。まとめず、状態を宙づりにして終わる。余韻に任せる。立ち入ったことを言いました。贅言御免。

ふたり暮らし

好きになれる詩ですね。とくに、3連目、いいですね。水滴の描写が何とも言えずいいなあ。全体がリラックスした感じの詩ですが、だからかえって迫ってくるものがあります。空港の空までみえてくる。

遺言

最終行の「詩。」の「。」が生きているなあと思いました。その直前の行の「存分に」も、たっぷりとしていていいですね。迫ってきます。草野心平の「冬眠」という詩を思い出しました。

 

平石貴樹より

滑走する

 人生を開始する心意気ですね。

少年と海

 「少女」と「母の胸」。むずかしいですね。

コケコッコーはもう鳴かない

 Cook Do のような商品名があるということでしょうか。

 どこか覚醒剤的な認識でしょうか。

豪邸

 不思議な力の寓話ですね。

21

 おめでとうございます。

梅干しの嫌いな女の子

 日本が嫌いということでしょうか。それはぜんぜんかまわないんだけど……。

ざわめくはこ

 おもしろい発想でした。

散歩

 このあと「灯火」はどうなるのでしょう。

脳内のAIチャット的なものについて

 鮮やかな切り口ではないでしょうか。

霊界小説家

 なかなかにしゃれてますね。

再会

 よかったですね。

残火

 蚊取り線香の描写としてなんとなく疑問かな。

ホリーゴライトリーは、悲しい女

 最後の「貴女」はホリーとは別人でしょうね?

運命

 人生のコツを掴まれたようですね。

例えば花は

 切り花たちとの会話、見事です。

ふたり暮らし

 いやあ、いいですねえ。

遺言

 さしあたり詩集の序文でしょうか。

 

渡辺信二より

滑走する

人生に前向きの作品だと読む。ただ、いくつか言葉の選択でいくつか疑問があって、例えば、「感だけで」(7行目)というが、「感」と「声」(4行目)はどういう関係なのか、そもそも、「声」はどこからくるのか、タイトルが「滑走」だが、本文中の「ジャンプ」とどういう関係だろうか...など、いろいろ戸惑う。

少年と海

詩的イメージに溢れている。疑問としては、「小舟」が「草原をこえ」るだろうか? また、最終行の「母」という言葉は、この詩の論理から必然と言えるか、などです。ヘミングウェイの有名な小説『老人と海』にも少年が出てくるが、関係なさそうだ。

コケコッコーはもう鳴かない

一種のナンセンス詩でしょうか。設定が不明なので、評価が難しいが、これにさらに、例えば、小倉百人一首の一つ「夜をこめて」なども示唆されると、さらに面白みが深まるかもしれない。

心身一如の悟りに向かう途上で必ず現れる疑問のようにも読めるが、この読みは、作者の意図と違うだろうとは思う。本文全体を読み終わって振り返ると、タイトルは「顔」でいいだろうか。

豪邸

メッセージは面白い。タイトル「豪邸」と第1行目「粗末なその家」の関係が釈然としない。

21

自分で自分の誕生日を祝う、非常に前向きな詩です。気になるのは、タイトルの「21」。歳か、誕生日か、それとも何か別の意味があるのか? 日本だと、成人は20歳だと思うが...。

梅干しの嫌いな女の子

「Jの声」ですか。日本では、確かに、暗喩でしかいえないことがたくさんありますね。タイトルの「梅干し」も、赤くて丸い。アメリカ合衆国第24代桂冠詩人は、エイダ・リモン(Ada LimÓn 1976- ) という人で、メキシコ系アメリカ人ですが、彼女には、”The Star-Spangled Banner”への嫌悪感を示した” A New National Anthem”という作品がありますね。

ざわめくはこ

ナンセンス詩の結構を利用しながら、自然の静寂を「雨」に託し、対比的に、喧騒の社会を「箱」として批判しているのでしょう。

散歩

「灯火」への気づきを気づきのままに放置するのは、気づいていないのと同じか。ちょっと、惜しいのではないか。

霊界小説家

言い方が失礼かもしれないが、霊界アニメの原作のポイントをダイジェストしたように読める。

再会

会話のできない関係となった後に再会するのは、確かに、懐かしい「二人」であって、かつ、こちらは、いつまでも「一人」でもあり続けるのでしょう。

残火

言葉も形もよく整っている。「火」のモチーフで一貫しており、1連2行の6連構成で、全体、破綻がない。細かいところだが、「中心に向かう」(3行目)のは「線香」なのだろうか? 「体の芯」(11行目)とあるが、「体」という言葉がこの作品の論理に整合するのだろうか?

ホリーゴライトリーは、悲しい女

先行する文学作品(この詩の場合には『ティファニーで朝食を』)への敬意が、文学を未来へ繋げます。なお、一般的には、ホリー・ゴライトリーという表記でしょう。 

運命

「一陣の風」(3行目)が事実としても比喩としても効いている。

第2連は、散文的な文章に聞こえる。また、最終連で、前出の「風」や「「感情」を止揚すると、「運命」として、さらに良いのだが。

例えば花は

「花」の生命力への賛歌として。全体、よくまとまっている印象です。

細かいところで気になるのは、「告ぐ」(3行目)や「告げゆき」(11行目)という言葉使い。「花」に「君」と呼びかけつつ、別の第二人称「あなた」を第4連に導入している点。見る立場から「頬杖をついて」いる「私」と「あなた」を作品に含める効果は何か、など。 

ふたり暮らし

全体、よくまとまっている。特に第3連は、事実の描写でありながら、比喩にもとれる秀逸な表現です。気になるのは、2点。表記「シェスタ」(2行目)は、シエスタと表記するのが日本では一般的か。タイトルが「ふたり暮らし」であり、本文中にも「一週間だけのふたり暮らし」(14行目)とあるが、「暮らし」という言葉が読者に与える生活感は、ほとんど、感じられない。

遺言

「詩」への信頼がよく表明されている。

確かに今はもう、詩でも、紙には書かない方が多いですね。

 

 

 


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