【春のK-POPコラム】「モッパン」は韓国料理界の「BTS」!?(八田靖史/コリアン・フード・コラムニスト)
K-POPの基本的な戦略のひとつに、YouTubeの積極的な利用がある。最新情報をダイレクトにファンのもとへと届け、億の単位にまでのぼる再生回数はそのままプロモーションになり、国境を越えて海外での人気をも高める。その爆発的な拡散力はK-POPの分野だけにとどまらず、K-カルチャー全体を盛り立て、韓国発の動画コンテンツをある種のブランドに押し上げている。
韓国料理の分野においても、近年は動画発の流行が目立つようになっている。テレビ番組のグルメバラエティも人気だが、YouTubeやSNSで拡散する個人の動画から派手に火が付くことも多い。記憶に新しいところでは、2020年のステイホーム期間に人気を集めた「タルゴナコーヒー」が好例だろう。インスタントコーヒーをクリーム状にホイップし、ミルクにもったりと盛る、一連の過程が動画映えするとして世界中で好評を博した。
手軽にマネできる調理動画は人気のジャンルだが、韓国発としてその上をゆくのは「モッパン」(食事系動画)であろう。韓国語で「食べる放送」の略だが、日本語においても「モッパン動画」「モッパン系YouTuber」「モッパンセット」(チキンやチーズ系の揚げ物など流行韓国料理の盛り合わせ)のように定着している。それどころか「Mukbang」として世界の共通語にもなりつつある。
「モッパン」は、トレンドの料理を紹介したり、料理の美味しさを伝えたりするだけでなく、美味しそうに食べる、見ていて気持ちよいほどにたくさん食べる、咀嚼音を楽しむ(ASMR)など、食べる姿そのものも見せるコンテンツだ。YouTuberやインフルエンサー、K-POPアイドルなどが「モッパン」を配信することで、韓国料理のトレンドもK-POPと同じように世界に向けて同時代的に届けられている。
その発信力と拡散力を考えると、「モッパン」は韓国料理界の「BTS」と表現しても過言ではないように思う。視線の先が「Army」(BTSのファンダム)か、「Yummy」(美味しい)かの違いに過ぎない。
八田靖史(はった・やすし)
コリアン・フード・コラムニスト。慶尚北道、
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