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RED, WHITE, AND BOOM!

7月4日はアメリカの243回目の最大の祝日、独立記念日(Independence Day:  The Fourth of July; July 4th; The Fourth)。1776年のこの日、イギリス(大英帝国)統治下にあった13植民地の代議士が集まり、課税や法律で支配強化するイギリスからの独立宣言(Declaration of Independence)を全会一致で採択し、アメリカ合衆国が誕生しました。全国各地で星条旗(The Stars and Stripes; The Star-Spangled Banner; Old Glory; Red, White, and Blue)が溢れ、祝賀行事や1777年から続く伝統行事の打ち上げ花火が盛大に行われます。


写真:{Salt of the Earth} / flickr

打ち上げ花火の擬音語「ドーン」はKaboomやBoomと言い、星条旗の“Red, White, and Blue”を“Red, White, and Boom!” に替えたこの表現は「独立記念日の打ち上げ花火」を指すこの日特有の表現です。

多くの人は午前中にパレード、午後から家族や友人とBBQ、夜は花火観賞をします。私は毎年やってくる移動遊園地で絶叫し、友人のお父さんが焼くステーキやハンバーガーにホットドッグをたらふく頂き、この日だけ合法になる花火を楽しみました。


The Army Band Parade
写真:Department of Defense/Wikimedia Commons


移動遊園地
写真:Andrew Dunn/Wikimedia Commons

 
Wikimedia Commons


写真:Camera Operator: SSGT. LONO KOLLARS/Wikimedia Commons

独立宣言は1776 年6月7日に提案され、ジョン・アダムズ、ベンジャミン・ フランクリン、トマス・ジェファソンなど5人の代議士が起草し、17 世紀の哲学者ジョン・ロックらが提唱した「自然権」と「個人の自由」の理念を重視してジェファソンが執筆しました。独立宣言の2文目が有名で「すべての人は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」と述べています。独立戦争はこの後1783年に終結しました。

多民族国家のアメリカでは、独立記念日を祝わない人もいます。先住民のネイティブ・アメリカン(インディアン)の人々は、祖先が入植者に虐殺され略奪にあったため、独立宣言の「すべての人は生まれながらに平等」には有色人種は含まれていないと訴える人もいます。私が通ったアメリカの学校にも一人ネイティブ・アメリカンの女学生がいましたが、いつも独りで存在感を消すように片隅にいたことを思い出します。

アフリカ系アメリカ人の多くは「7月4日はアメリカの白人がイギリスから自由になった日で黒人には関係ない」と、6月19日をJuneteenth(June 19thの短縮)と呼び祝います。南北戦争終結後アメリカ全土で奴隷が解放されたのは1865年6月19日で、この日を「自由の日(Freedom Day)」「解放の日(Emancipation Day)」として、36州で奴隷解放を祝うパレード等が行われます。

7月4日は不思議な日でもあります。独立宣言に署名したジョン・アダムズとトマス・ジェファソンは第二代と第三代の大統領に就任しますが、署名した50年後の1826年7月4日に二人とも他界しています。その5年後、第5代ジェームス・モンロー大統領も1831年7月4日に永眠されました。一方、第三十代カルビン・クーリッジ大統領やオバマ大統領の長女マリアさんはこの日に生まれています。


左から2番目がマリアさん
写真:Pete Souza/Wikimedia Commons

★全米の“Red, White, and Boom!” で最大規模と言われるのが、1976年から続くNYのデパート(Macy’s)主催の花火。1秒間に30発以上、約7万発(隅田川は約2万発)の花火が約25分間打ち上げられ3百万人以上が観賞します。今年は5年ぶりにブルックリンブリッジに近いThe East Riverで午後9時20分から始まり、NBCで生中継されます。

★ボストンでは、約3億円の全米最高額の花火がオーケストラ演奏とともに約20分間打ち上げられます。

★カリフォルニアのフェアフィールドにあるトラビス空軍基地では、花火に替わりGPS付きの500機のドローンが夜空を彩りました。事故やBoom!の音もなく静かと好評です。

★今年最も注目されているのは、首都ワシントン。2017年にフランス革命記念日の軍事パレード


President Trump attending the 2017 Bastille Day military parade in Paris, France.
写真:The White House/Wikimedia Commons

を観て触発されたトランプ大統領は、4日の祝賀行事を“Salute to America”と名付け、戦車の展示、大統領専用機「エアフォース・ワン」や米空軍「ブルーエンジェルス」のアクロバット飛行、自身の演説(午後6時半からナショナル・モール内のリンカーン記念堂前)を行います。グラミー賞受賞者のキャロル・キングやヴェネッサ・ウィリアムズなどのショーと花火の打ち上げは演説後に行われる予定で、「首都ワシントンで過去最大の集会になる」とツィートしています。

これまでの独立記念日の祝賀行事は政治色がなく無料で参加でき、毎年数十万人が集まりました。今年は100億円近い費用がかかると言われる軍用機などが出動する他、共和党関係者や政府高官などへのVIPチケットが配布され、ホームページでは250ドルの献金者に駐車場の利用許可証や二人分のコンサートの指定席などを提供すると呼びかけ献金を募っています。非政治的な国民的式典が、軍事パレードや大統領の再選目的の政治集会に化してしまうと全米中が注視しています。

ワシントンの行事一覧はこちら

当日は「反トランプ」を象徴する巨大バルーンも登場するそうです。

 
写真:Ritchie333/Wikimedia Commons

全米の“Red, White, and Boom!” は、時差があるため日本時間の明日5日開幕します。

Happy Fourth of July! 

 


写真:W9JIM/flickr

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著者略歴

  1. 松田奈利子

    Felicity 教育開発研究所代表。立教大学英語講師(元准教授)。コロンビア大学大学院Teachers College卒。国際教育開発学・英語教授法修士号取得。専門:英語教育、英語教授法、異文化コミュニケーション。オーガニック料理研究、バラ栽培。シンガーソングライター。元CNNニュースキャスター。主著:「テレビで留学!ニューヨーク大学英語講座」(NHK出版)、「モーツァルト英会話」(朝日新聞社)、ヒップホップ・チャンツ(研究社)等。

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