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CNN English Express-編集部が見た等身大のアメリカ

ライトの世界遺産作品、そしてヘミングウェイ

(前回までのおさらい)

◆アメリカ人にとって国内旅行先のテッパンはシカゴ。実はその街並みは、日本人にもお馴染みのシーンがたくさん。「この場所、映画で見た」と何度も思えるはずなので、一度は訪れてほしい。

◆近代建築を代表する巨匠 フランク・ロイド・ライト(1867年~1959年)は、そのシカゴの建築を語る上で欠かすことのできない人物であり、「シカゴの建築物≒ライト」といっても過言ではない!

◆ライトはシカゴ万博(1893年)において日本が出展した「鳳凰殿」から多大な影響を受け、1905年に訪日。その後の作品は、日本の建築物からの影響を反映している。

◆昨年2019年、米国内にあるライトの8つの建築群がユネスコの世界遺産に。シカゴ周辺では世界遺産に選ばれた8つの建築物のうち、「ロビー邸」、そして「ユニティ・テンプル」の2つが楽しめる。

 

 

 

シカゴに来たらまずは訪れたい2作品

前回は、米国にあるライトの8つの建築群が世界遺産に登録されたことを紹介しましたちょうど昨年の今くらいの時期に発表がありましたが、以降、雑誌をはじめとする各メディアは、いわば「ライトフィーバー」とも言える盛り上がりを見せました。筆者(編集部・和田)も昨年末に、ライトの作品について語るイベントに参加しようとしたのですが(マニアックなイベントですよね)、50名の定員はすぐに埋まってしまい、参加かなわず。

つまり、それくらい、フランク・ロイド・ライトがいまとても熱いわけです

 

 

さて、世界遺産作品の1つ、「ロビー邸」は前回紹介しました。今回紹介するもう1つの重要作品が、「ユニティ・テンプル」です。シカゴ近郊のオークパークという素敵な住宅地にあります。オークパークは、ライトが20年ほど住んでいた場所です。

世界遺産「ユニティ・テンプル」は、同じく世界遺産に選ばれた「落水荘」(Fallingwater、ペンシルヴァニア州)に比べると、外見は地味に感じるかもしれません。

こちらです。

 

最初は少し権威的で威圧的だと思いましたが、中に入ると印象は一変します。ライトはこのユニティ・テンプルが大のお気に入りで、「小さな宝石箱」(little jewel boxと呼ぶほどでした。彼にとって初の公共建築物、コンクリート製の建築物であり、現代建築がここから始まったとも言われています。

 

まるで大好きな図書館に来ているかのような、シンプルなのにずっと居られる。そんな不思議な空間です。

一度、腰をかけると、そのままずっと吸い込まれ続けてしまう。

こちらが一緒に取材していた他のメディアスタッフの様子です↓

 

完全に、立ち上がれなくなっている…

 

 

内部全体の雰囲気を見ていただきたいのですが、これまで紹介してきたライト作品と同じく、自然光の降ろし方は彼の真骨頂です。

屋内がとても明るいので、気持ちがよく、暖色系の照明が人を受け入れる空間をつくっているのだと感じました。

 

照明デザインも素敵ですが、人がただそこにいるだけでさまになるような趣がありますよね。

 

 こちらはトップライト。

 

 

ちなみにユニティ・テンプルは、「ユニタリアン」というキリスト教プロテスタントの一派の教会です。もともと同じ場所にあった聖堂を建て直すことになった際、ライトに白羽の矢が立ちました。自身が教会のメンバーであり、父がユニテリアンの牧師だったこともあり、適任だったのでしょう(自宅も近いし)。なお、かねてから日光東照宮との類似性が指摘されていますが、本人は否定していたと言われています。

 

 

 

ユニティ・テンプル、いかがでしたでしょうか。ロビー邸とともに、ぜひ見学してみてください。

 

 

 

 

オークパークにはまだ楽しみがある

もし、オークパークまで足を運んだなら、フランク・ロイド・ライドの「自宅&スタジオ」も必見でしょう。このスタジオには、私たちの取材中にもわざわざ日本から建築を学ぶ大学生が見学に来ていました。次回、紹介しますね。

さらにこの地に縁のある著名人と言えば、そうです、ヘミングウェイです。1899年、彼はここで生まれました。

彼の生家や幼少期を過ごした家、ヘミングウェイ博物館があります。現代を代表する建築家と作家に深く触れられるオークパーク、すごいでしょう。

 

 

 

写真は幼少時代を過ごした家です。一般公開はされていませんが、生家の内部は見ることができます。今回の取材は、海外の各メディアと合同で「シカゴにあるフランク・ロイド・ライト作品をめぐる」ことが主目的だったのですが、オークパークに到着してランチを食べていた際に「そういえばヘミングウェイの家近くにあるよね」なんて話になったら、みんな目の色が変わって、観光局のオーガナイザーに無理を言って連れて行っていただきました。何度も来られるわけではないので、ヘミングウェイゆかりの場所があるならぜひ行きたいですよね。とても感動しました。

 

 

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 次回はオークパークにある「自宅&スタジオ」を紹介いたします。

 写真:JamesCaulfield

 

 

[取材協力]

イリノイ州観光局(https://www.enjoyillinois.com/jp/

シカゴ観光局(https://www.choosechicago.com/

 

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