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CNN EE編集部後記

【編集部現地レポート】アジア最大級の国際映画祭 東京国際映画祭(TIFF)

 

第37回東京国際映画祭ロゴ -©Tokyo International Film Festival All Rights Reserved.

第37回東京国際映画祭開催

豪華俳優陣がレッドカーペットに登場

映画『オラン・イカン』の出演者、制作陣ら

映画『オラン・イカン』の出演者、制作陣ら ©2024 TIFF

2024年10月28日、第37回東京国際映画祭が開幕し、東京ミッドタウン日比谷でレッドカーペットイベントが開催されました。162メートルのレッドカーペットには、オープニング作品の『十一人の賊軍』から白石和彌監督、山田孝之ら10名が登壇し、その後、フェスティバル・ナビゲーターの菊地凛子が登場。そのほか『オラン・イカン』のディーン・フジオカ、『ルート29』の綾瀬はるか、『サンセット・サンライズ』の菅田将暉など、豪華ゲストがきらびやかな衣装で登場し観客を魅了しました。国内外から228名のゲストが参加し、国内外のマスコミと多くの観客による熱気に包まれたレッドカーペットイベントは大いに盛り上がを見せました。

約3週間行われた同映画祭は、東京グランプリ(東京都知事賞)に吉田大八監督の『敵』が選出され、11月6日に幕を閉じました。

映画『オラン・イカン』ディーン・フジオカ ©2024 TIFF

映画『ルート29』綾瀬はるか ©2024 TIFF

『サンセット・サンライズ』菅田将暉 ©2024 TIFF

編集部オススメ3作品

「東京から映画の可能性を発信し、多様な世界との交流に貢献する」をミッションに、10月28日(月)~11月6日(水)の10日間にわたり開催された東京国際映画祭。110の国や地域から集まった2023作品から、編集部が思わずうなった3作品をご紹介します。 

日本公開前の国内外の話題作をプレミア上映

♦ガラ・セレクション♦

配給を希望!2010年2月号にEE初登場、ディーン・フジオカの熱演に息のむ作品「オラン・イカン」

Poster_Orang_Ikan©SC Films International

太平洋戦争中のインドネシア。日本兵の斎藤は、上官に反抗した罪で軍法会議にかけられることになり、捕虜を日本に輸送する船の中に押し込まれていた。だが、連合軍の潜水艦の攻撃を受け船は沈没。斎藤とイギリス人捕虜のブロンソンは、どことも知れぬ島の海岸に流れつく。言葉も通じずいがみ合うばかりのふたりの前に、異様なモンスターが姿を現す…。それまで敵として戦っていたふたりの兵士が、モンスターの出現をきっかけに共闘してサバイバルする姿を描く作品。ディーン・フジオカが斎藤役を熱演。インドネシアとシンガポールを拠点に活動するマイク・ウィルアンの監督作品。シンガポールを代表する映画監督エリック・クーがプロデューサーを務めている。
 
監督・脚本:マイク・ウィルアン

キャスト:ディーン・フジオカ、カラム・ウッドハウス、アラン・マクソン

83分/カラー/2024年/シンガポール、インドネシア、日本、イギリス 

東京都と連携し、女性監督の作品、女性の活躍をテーマとする作品に焦点をあてた今年初の部門

♥ウィメンズ・エンパワーメント♥

構想20年以上!「死後の交流を可能にするAIクローン」などEEでも扱った「クローン技術」から人間の本質を考える「徒花-ADABANA-」

©2024「徒花-ADABANA-」製作委員会 / DISSIDENZ

ウイルスによって人口が激減した未来の世界では、エリートだけが“それ”と呼ばれるクローン人間を所有することができる。死に直面した新次は、自分のユニットに会いたいと臨床心理士のまほろに懇願する。それは身体的には新次と同じだが、純粋で知的な内面を持っていると分かる。“それ”との出会いは、人間の本質とは何かという倫理的難題を突きつける。

監督:甲斐さやか

キャスト:井浦新、水原希子、永瀬正敏

94分/2023年/日本、フランス

現在の世界の映画の潮流を知ることのできる作品を紹介

ワールド・フォーカス

監督の伝えたかった「多様性の大切さ」をカバの視点から語った作品「ペペ」

 

Poster_Pepe© MonteyCulebra

コロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルの私設動物園で、アフリカから移送された「ペペ」という名のカバが飼育されていたという事実にインスパイアされた作品。映画は、アフリカから移送され、コロンビアのジャングルで殺害された「ペペ」という名のカバの幽霊の視点で語られる。それは一頭のカバの数奇な運命を語るトラベローグにとどまらず、植民地主義、生態系、人間と自然との関係、政治と暴力など、さまざまな問題を呼び起こす。デジタルと16ミリフィルム、モノクロとカラーの混交、さらにはアーカイブ・フッテージの使用など多様なスタイルが組み合わされ、新たな映画言語の可能性を模索した作品である。ベルリン映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞。

 

監督:ネルソン・カルロ・デ・ロス・サントス・アリアス

キャスト:ジョン・ナルバエス、ソル・マリア・リオス、ファリード・マティラ、ハーモニー・アハルワ、ホルヘ・プンティジョン・ガルシア、シファフレ・ファウスティヌス、スティーブン・アレクサンダー、ニコラス・マリン・カリ

123分/2024年/ドミニカ共和国、ナミビア、ドイツ、フランス

 


上記のような名作鑑賞以外にも、パレスチナ、チリ、スペインのゲストと共に、戦争、貧困、難民などの社会問題下における映画教育の可能性について議論を深める「TIFF映画教育国際シンポジウム2024《世界のこどもたちが映画を待っている》~社会課題と向き合う映画教育~」などのワークショップも開催され、映画のみならず「世界の今」を考えるヒントの詰まった映画祭でした。

2025年はどんな映画が私たちを迎えてくれるのか、今から楽しみです!

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