Duale Ausbildung 二方向性訓練の危機
ドイツ語学習者でも、日常生活では知らない? そんなドイツ語をピックアップして、Part毎に10回ずつご紹介します。今ドイツ語を学習している、あるいは、むかし学習したみなさん、そして、もちろんドイツ語を知らない方にも! 日本ではあまり知られていないドイツ語単語・表現とともに、その奥に潜むドイツの文化に触れてみませんか? 興味を持った方には、より詳しい内容が読めるようにドイツ語原文と対訳もご用意しました。この機会に、新しいドイツに触れてみましょう!
Duale Ausbildungってなに?
dualは「二方向・二元性の」(形容詞)、Ausbildungは「(職業)訓練」(名詞)で、合わせて「二方向性訓練」という意味です。ドイツでは4年間のGrundschuleの後に、10歳で3種類の学校(基幹学校Hauptschule, 実科学校Realschule, ギムナジウムGymnasium)の中から一つを選び進学しますが、そのうち基幹学校と実科学校は15歳で卒業です。その後自分がなりたい職業の親方の元で修行をし、同時に職業訓練校に通って、実践と理論の両方向から訓練を積みます。これを「二方向性訓練」と呼び、ドイツにしかない制度です。
10歳で将来を決めるの?!
むろん10歳の子どもが一人で将来を決定するのは無理で、子ども、保護者、先生が相談して進路を選びます。昔は子どもの適性に合わせ、基幹学校(25%)、実科学校(40%)、ギムナジウム(25%)に程良くバラけていましたが、最近ドイツでも無理矢理ギムナジウムへ行かせようとする教育パパ、ママが増えてきました。入試はなく、小学4年時の成績で決まるので、家庭教師や補習で成績を上げようとするのです。2014/15年は基幹学校8%、実科学校17%、ギムナジウム41%でした。
ドイツも学歴社会に
これは、本当に大学へ行くかどうかは別としても、可能性だけは持たせてやりたいという親心です。ギムナジウムの卒業資格(アビトゥーア)がないと大学進学の道が断たれてしまうからです。本来なら、職人になりたい子は基幹学校、商工業の仕事に就きたい子は実科学校に進んで、二方向性訓練を受けるのがドイツの伝統だったのですが、成績で進路が決まるようになり、基幹学校や実科学校の人気が落ちてしまいました。
大学の二方向性訓練
最近ドイツの大学では、専攻科目により異なりますが、半年~1年のプラクティクム(インターンシップ、職場体験)をやらないと卒業できません。どんなに高等な専門知識も労働の現場で活かせなければ意味がないという考えからで、これも一種の二方向性訓練です。企業は学生の専門知識を利用でき、学生は現場経験を積むことができます。1週間ほど職場を見学させてもらうだけの日本のインターンシップとは大違いです。
チャレンジ!! ー より詳しい内容を、ドイツ語で読んでみよう!ー
第4回は、Little Tokyo in Deutschland ドイツのリトル東京 を取り上げます。お楽しみに!