Solawi(ゾラヴィ)連帯農業
ドイツ語学習者でも、日常生活では知らない? そんなドイツ語をピックアップして、Part毎に10回ずつご紹介します。今ドイツ語を学習している、あるいは、むかし学習したみなさん、そして、もちろんドイツ語を知らない方にも! 日本ではあまり知られていないドイツ語単語・表現とともに、その奥に潜むドイツの文化に触れてみませんか? 興味を持った方には、より詳しい内容が読めるようにドイツ語原文と対訳もご用意しました。この機会に、新しいドイツに触れてみましょう!
Solawi(ゾラヴィ)ってなに?
幽霊(ゾンビ)じゃありませんよ。Solidarische Landwirtschaftの略で、直訳すれば「連帯農業」、消費者と生産者が契約を結び、協力して農産物を作る農業モデルのことです。世界的にはCSA(Community Supported Agriculture)「地域支援型農業」と呼ばれ、1986年アメリカ北東部に誕生した2つの農場が起源とされています。欧米を中心に普及し、現在30か国以上でCSAに相当する活動が展開されています。
日本のTEIKEIもヒントに
1970年代日本で生まれた有機農業運動の「産消提携」も、TEIKEIという名称で海外に紹介され、CSA理念のヒントになりました。生産者と消費者が直接契約を結び、野菜セットを定期購入するシステムです。これを模範にドイツでも、産消農業組合(EVG: Erzeuger-Verbraucher-Genossenschaft)が設立されました。有機農家は規模が小さいので、「産消提携」は一定顧客を確保し、農場経営を安定させるのに役立ちました。
TEIKEIとSolawiのちがい
SolawiはTEIKEIと異なり、第一に代金前払いです。収穫された農作物を買うのではなく、毎月会費を支払う見返りに一定量の収穫物を得ます。天候不順による不作のリスクを消費者と農家が共有するのです。第二に消費者が援農など農場経営に積極的に関わります。人手が足りない時には草取り、収穫、事務、雑用などを引き受けます。消費者は、生産者の顔が見える中で、一年を通じ安
全で質の高い農産物を手に入れられます。
消費者参加型の農業
Solawiは、専業農家がますます高齢化ないし減少する中で、消費者オンリーの存在だった人々を農業に誘い、新たなコミュニティを形成し、有機農業を振興するなど、様々なメリットを持っています。ただし農場経営にも関わることになり、消費者は結構忙しくなります。毎日せわしなく働き、必要なものはコンビニで24時間いつでも買える消費生活に慣れた日本人には、なかなか普及しにくい農業モデルかもしれません。
Solawiはドイツ人の国民性にはピッタリ
ドイツは地方分権国家なので、そもそも生活自体が地域に密着しています。ドイツ人はたいてい通勤時間は30分以内で、仕事帰りに同僚と飲みに行くこともなく、まっすぐ帰宅しますから、大人にも余暇がたっぷりあります。アウトドア派で庭仕事が大好き。健康志向が強く、少々高くても有機栽培野菜を買います。農作業を通じて近所付き合いも広がります。ドイツほど「地域支援型農業」が広がる条件がそろっている国はないのではないでしょうか。
チャレンジ!! ー より詳しい内容を、ドイツ語で読んでみよう!ー
第6回は、Folkwang フォルクバング美術館 を取り上げます。お楽しみに!