Bergisches Land ベルギッシェス・ラント
ドイツ語学習者でも、日常生活では知らない? そんなドイツ語をピックアップして、Part毎に10回ずつご紹介します。今ドイツ語を学習している、あるいは、むかし学習したみなさん、そして、もちろんドイツ語を知らない方にも! 日本ではあまり知られていないドイツ語単語・表現とともに、その奥に潜むドイツの文化に触れてみませんか? 興味を持った方には、より詳しい内容が読めるようにドイツ語原文と対訳もご用意しました。この機会に、新しいドイツに触れてみましょう!
ベルギッシェス・ラントってどこ?
ベルクは「山」(Berg)ではなく人名です。ライン川東岸のレムシャイト・ゾーリンゲン・ヴッパータールの3都市を結ぶ丘陵地帯で、ベルク公国の領土だったことからベルクラント(ベルクの国)と呼ばれます。豊かな水源と森林・地下資源を利用し、早くも18世紀から鉄道具や刀身を製造する産業が興りました。ゾーリンゲンを拠点とする刃物メーカーのヨハン・ペーター・ヘンケルは、有名な双子の商標のデザインを1731年に登録しました。
ベルク公国の発展と衰退
ベルク伯爵領は11世紀に生じ、最初アルテンベルクに城を構えましたが、1133年ブルク城に、そして1308年ヴィルヘルム2世が公爵に昇格するとデュッセルドルフ城に拠点を移しました。18世紀プロイセン王家のライン領となり、19世紀末には鉄道も敷かれ、ドイツ帝国最大の経済中心地に発展しました。しかしそれ故にレムシャイト・ゾーリンゲン・ヴッパータールの3都市は、第二次世界大戦では連合軍の標的となり壊滅的に破壊されました。
ベルギッシェス・ラント自然公園
1973年ヴッパー川南部の丘陵地帯が自然公園に認定され、2006年にはその範囲がレムシャイト・ゾーリンゲン・ヴッパータールの3都市にまで広げられました。ベルギッシェス・ラントの統一的な地形特徴をそのまま残すことを目的とし、総面積は2027㎢に及びます。かつての鉄道網が自転車専用道やハイキングコースに生まれ変わり、工場の動力源となっていた水力発電の水車が保存され、訪れる人々を豊かな自然と文化遺産に誘います。
ここで、ベルギッシェス・ラント自然公園の中を自転車に乗って散策してみましょう。
産業遺産となったルール工業地帯
鉄鋼・石炭業の衰退で、ルール工業地帯の町はどこも産業構造の転換を余儀なくされ、かつての採掘場や工場施設は様々に再利用されています。ガスタンクを潜水用プールにしたり、石炭貯蔵所の壁をロッククライミングの練習場にしたり、ベルトコンベアの敷地をアスレチックパークにしたりと、アイデアは様々です。1960年頃のルール工業地帯の空は排煙で真っ黒だったそうですが、努力の甲斐あり青空が戻りました。
ドイツ人の環境意識は反省の結果
日本と同じくドイツも、戦後瓦礫の山から豊かになろうと必死で働き、奇跡の経済復興を成し遂げました。高度経済成長を迎え、気持ちの余裕ができてふと気がつくと、ライン川は魚が棲めないほど汚れ、黒い森は森林枯死で危機的状態、ルール工業地帯は大気汚染で空が見えず、愕然とします。それを反省し、改善してきた結果、高い環境意識が生まれました。問題に気づき変えられる行動力と貫徹心は、ドイツ人の国民性と言えるでしょう。
チャレンジ!! ー より詳しい内容を、ドイツ語で読んでみよう!ー
第9回は、Pflegekräfte ドイツにおける外国人介護士 を取り上げます。お楽しみに!