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ドイツに行かなきゃ知らない!? ドイツ語 -Part 1 知ってる? こんなドイツ語―

Migrationshintergrund 移民的背景

ドイツ語学習者でも、日常生活では知らない? そんなドイツ語をピックアップして、Part毎に10回ずつご紹介します。今ドイツ語を学習している、あるいは、むかし学習したみなさん、そして、もちろんドイツ語を知らない方にも! 日本ではあまり知られていないドイツ語単語・表現とともに、その奥に潜むドイツの文化に触れてみませんか? 興味を持った方には、より詳しい内容が読めるようにドイツ語原文と対訳もご用意しました。この機会に、新しいドイツに触れてみましょう!


 

Migrationshintergrundってなに?

Migrationは「移民」、Hintergrundは「背景」で、合わせて「移民的背景」という意味です。ドイツ連邦統計局が2005年の国勢調査報告で初めて用いた言葉で、「自分自身ないし両親の一人が生まれながらのドイツ国籍を持たない人」のことを「移民背景を持つ人」と呼びました。要するに「外国人」のことなのですが、従来のAusländer「外国人」の定義が曖昧になってしまったため新たに作られた造語です。

 

外国人ウェルカムだった西ドイツ

第二次世界大戦後、ドイツはつとめて外国人に門戸を開き、歓迎する姿勢を見せました。ヒトラーの純血主義を振りかざしたホロコーストの過去を払拭するためです。また冷戦のあおりをうけ東西に分断されても「ドイツはあくまで一つだ」と考えた西ドイツは、東から逃げてくる人を喜んで受け入れました。東ドイツだけでなく中東などの紛争地域からの亡命者も敵味方関係なく受け入れ、亡命天国と呼ばれたほどです。

 

EU=国境のないヨーロッパ

1989年にベルリンの壁が崩壊し、東西ドイツが再び統一されることになった時、近隣諸国はドイツが強大になりすぎることを警戒しましたが、当時のコール首相は「ドイツはあくまでヨーロッパの一員として生きる」と明言しました。EC共同体のドロール委員長が提唱した「どこに住むのもどこで働くのも自由なヨーロッパ」をめざす欧州統合計画を積極的に推進し、ドイツはEU(欧州連合)の発足当時からの加盟国です。

 

移民融合政策は少子化問題を解決する!

2015年、100万人以上の移民が欧州に押し寄せた時には、メルケル前首相がいち早く移民の受け入れを申し出ました。最終的には党内外の反対にあい人数制限を設けましたが、メルケルは無制限に受け入れるとずっと主張してきました。表向きは「移民の流入数を制限するのは人道的でない」という理由でしたが、実は移民を上手くドイツ社会に融合できれば、少子化問題の一発逆転サヨナラ満塁ホームラン級の解決策になるという計算があったのです。

 

ドイツは多民族国家

今ドイツの町をちょっと歩いてみると「生粋のドイツ人だな」と思う人を見かけることの方がめずらしく、イタリア系、トルコ系、スラブ系、アジア系などなど、どこかしら外国人の外見特徴が混じっているのが普通です。これからも多民族国家として共存共栄する以外に道はありません。その中でドイツという国、ドイツ人という国民のアイデンティティーをどう確立していくかが、今後の大きな課題になるでしょう。

 

 

チャレンジ!! ー より詳しい内容を、ドイツ語で読んでみよう!ー

→ ドイツ語文と対訳を見る

 

第8回は、Bergiesches Land ベルギッシェス・ラント を取り上げます。お楽しみに!

 

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著者略歴

  1. 石井 寿子(いしい・としこ)

    学習院大学修士課程卒。ミュンスター大学留学時代(1986-89)に島田氏と知り合う。1993年から約30年間Randolf JesslおよびAndrea Raabと共著で年度版のドイツ語中級読本『時事ドイツ語 Neuigkeiten aus Deutschland』(朝日出版社)を執筆した。訳書に『サッカースポーツの役に立つトレーニング理論 ―サッカースポーツの一般・特殊コンディション』(朝日出版社)、『ジェレミーと灰色のドラゴン』(小学館)などがある。複数の大学でドイツ語非常勤講師をつとめ現在に至る。

  2. 島田 信吾(しまだ・しんご)

    1957年大阪生まれ。1972年渡独。ミュンスター大学修士課程卒。エアランゲン・ニュールンベルク大学にて博士号及びハビリタチオン(社会学教授資格)獲得。ハレ・ヴィッテンベルク大学比較文化社会学教授を経て2005年よりデュッセルドルフ大学現代日本学科社会科学系教授。著書に『Grenzgänge – Fremdgänge. Japan und Europa im Kulturvergleich(Campus),『Die Erfindung Japans. Kulturelle Wechselwirkung und nationale Identitätskonstruktion』(Campus)など多数。

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