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にしまりちゃん 龍神道を行く

戦国の世に存在した龍神様

龍神様がついていた武将 その1 

7月30日、岡崎の龍城神社で、毎年恒例となったライブペインティングとトークショーを開催した。

大河ドラマの影響を受けて観光客がひっきりなしに来ている岡崎。

岡崎城の隣の龍城神社にも、団体客がたくさん訪れていた。

 

以前のコラムでも少し触れたが、この場所は龍神様とのゆかりが深い。

岡崎城を築城する時に龍神が現れ、「自分はこの地に棲む龍神である。自分を鎮守の神と奉れば、永くこの城を守護しよう」と告げた。まさにその時、城内の井戸水が天高く噴き出し、龍神に降り注ぐと、黒雲が天守を包み込み、龍神の姿は消えていったという。

この井戸は「龍の井」と呼ばれ、今でも岡崎公園内にある。

 

龍城神社の本殿にも天井に大きな木彫りの「鳴き龍」があるが、徳川家康が祀られた日光東照宮の「鳴き龍」も有名である。

家康の誕生時には金色の龍が天に昇ったと伝わっていることからも、家康は龍と共に生きた、いや、家康自身が龍の化身だったのではないか、と私は考える。

 

ライブペインティングの日に話を戻すと、境内に入った途端に眉間から何か温かいものが入ってきた感覚があり、絵を描いている時は、黄緑色の光が周りを飛び交った気がしていた。

描いている時は意識がないのだが、一心不乱に描いたあと、ふと我に返り自分が描いた龍を見たら、黄緑色の絵の具がふわっと龍を囲んでいた。

後日、龍城神社での私の写真を見てみると、胸のあたりに小さな龍の形の黄緑色の光がはっきり写っており、ちょっとだけ驚いた。

 

龍神様がついていた武将 その2

 

もう一人、龍の化身と思われる武将がいる。

「越後の龍」という呼び名が残っている、上杉謙信だ。

「天下一の軍師」と恐れられたものの、「実は女性だったのでは」という逸話があるほど神秘的な人物。武将モノのマンガやゲームではミステリアスキャラとして君臨しているのもなんとなく納得できる。

 

合戦の際には、総攻撃の合図として「龍」の一文字が書かれた軍旗を掲げた。

謙信は信仰心が篤く、この「龍」、実は「不動明王」を表しているという。

不動明王が右手に持つ剣は「倶利伽羅剣」といい、剣に龍が巻きついた形をしている。

 

ここでまた不思議なことを思い出した。

私は生まれた時、未熟児で、すぐ保育器に入れられた。

もともと困難な出産で、「母体を選ぶか、赤ちゃんを選ぶか、2つにひとつです」と医師が父に言ったそうだ。その時父は、「母体を助けてください」と答えたらしい。

 

実は、保育器にいる間の記憶が少し残っている。

狭いその中で、私は「どうしても生きたい」と心から叫んでいた。

でも声が出ない、動けない。

その時、大きな不動明王が出てきて、私に「生きろ」とすごい顔で叫んだ。

なぜ不動明王だとわかったかというと、私に突きつけられたのが、その龍の剣だったから。

 

そして私は、生まれてきて5日、医師も諦めていた頃、小さな産声を上げた。

母は、「大丈夫だと思ってた、お腹の中に白い龍が入ってきた夢を見たから」と言ったらしい。

もしかしたらその原体験こそが、私が龍神様にこだわるきっかけなのかもしれない。

 

まだまだある、龍神様がいる神社

 

ところでこのコラムを書いていると、いろんな方から「この神社もあるよ」と教えていただくことがある。その中でも、数名の方から教えていただいた神社を、「いつか行く龍にまつわる神社」としてブックマークした。

これまで、自分の知りうる限りしかコラムで取り上げてこなかったが、ここで少しご紹介したい。

 

なぜか九州が多いのだが、まずは福岡県の志賀海(しかうみ)神社。

私が福岡に住んでいた頃、「あの場所で龍を見た」という噂を聞いたことがあり、興味はあったのだがなぜか行くタイミングがなく、そのまま東京に移住してしまった。

古くは375もの社があったことから、神社のある志賀島全体が「神の島」と呼ばれていて、神功皇后が出兵の際、龍神より干珠満珠(潮の満ち引きを操ることができる珠)を授かり無事に帰還した、という伝説が残されている。

 

次に、熊本県の神龍八大龍王(しんりゅうはちだいりゅうおう)神社。名前がもう、すごい。

神社の下を流れる川には2体の龍が棲んでいた伝説があり、「男龍」・「女龍」という名の淵が残っている。

ちなみに金運にとてもご利益がある神社なのだとか。

 

最後に、鳥取県の神崎(かんざき)神社。

拝殿の天井に大きな木彫りの龍がいるそうで、龍が持つ如意宝珠は「幸せの玉」と呼ばれ、玉の真下に立つと幸せが訪れるという。

 

おそらく日本にはまだまだあるだろう、龍神様を感じられる神社仏閣。

年内にどこの神社に行ってみようか、そう思うだけで気持ちが騒ぐ。

なにせ、来年は辰年。まさに龍神様が思い切り羽ばたく年がやってくる。

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著者略歴

  1. 西村 麻里

    コピーライター/クリエイティブディレクター/アーティスト
    熊本生まれ。
    国内広告代理店、外資広告代理店のコピーライター・CMプランナー・クリエイティブディレクターを経て、MARI NISHIMURA INC. を設立。
    龍を描くアーティストとして、ニューヨーク、東京をベースにアーティスト活動を展開し、ロサンゼルス、ベルリン、ロンドン、カンヌ、パリなどでも個展を開催。
    2020年公開の映画「響 HIBIKI」に画家として出演。
    著書に『THE AURA』『龍スイッチはじめよう』(ともにWAVE出版)がある。

    ●国内賞
    TCC賞新人賞、TCC審査委員長賞/ADC賞シルバー(RA-CM)/ブロンズ(TV−CM)/電通賞最優秀賞(TV-CM)/FCC賞OCC賞CCN賞/朝日広告賞 ほか多数
    ●海外賞
    CLIO賞シルバー/one show ブロンズ/SPIKS ASIA ブロンズ/epica award paris シルバー/one show メリット賞/D&AD インブック受賞

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