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にしまりちゃん 龍神道を行く

ニューヨークから龍通信

ニューヨーカーも龍が大好き

9月30日から、私はまたニューヨークで暮らしている。

ソロショウ(個展)があるので、毎年秋はニューヨークにいる。

一ヶ月少し、アパートを借りて過ごしているのだ。

私の中でニューヨークは、東京に次ぐもうひとつのアートの拠点になっている。

 

最初にニューヨークに来たのは2016年だっただろうか。

JFK空港を出た瞬間に大きな大きな龍雲を見た。

マンハッタンに到着したら、さらに5つの龍雲が出ていて、ニューヨークの友人から「MARIさんが来ると龍雲がすごいね」と言われたことをはっきり覚えている。

 

ニューヨークではスパニッシュのオーナーのギャラリーと契約していて、そこでのソロショウはもう7回目になるが、「ニューヨーカーは龍が好き」を勝手に実証している。

ギャラリーはチェルシー地区にあるので、年齢人種関係なくいろんな人が来てくれる。

オープニングパーティーでは、「なんてクールなんだ、きみのドラゴンは」、「僕のここにも龍がいるよ、見てこのタトゥー」と龍の話がたくさん飛び交う。

 

色鮮やかな龍がすごく好きなんだ、という印象だが、とはいえ龍の話を深く知っているかといえばそうではない。

なんとなくかっこいいとか、日本の「ドラゴンボール」が好きだからとか、アニメやマンガによるものがすごく多い。

龍は中国では神様で…という話をすると、「日本のマンガやゲームで龍を知っているから、日本のものだと思っていた」というニューヨーカーも多い。

 

ところで、「マンハッタンは世界有数の龍脈がある」と教えてくれたサイキックな方がいたのだけれど、このエビデンスはネットでは見つけられなかった。

しかし実際にマンハッタンにいると、私は、龍の背中に乗っているような飛躍のエネルギーを感じる。

 

中国の「龍」信仰

 

今回、北京のアーティストと出会うことができて、じっくり龍について語った。

彼は写真家だが、私の龍の絵に惹かれてわざわざ来てくれた。

「きみの龍はオリジナルだ。本当に優しくてカラフルで美しい。中国の龍はもっと恐ろしい顔をしている」と言うので詳しく聞いてみると、もう当たり前のようにどこにでも龍がいて、中国人にとって龍は守り神、そして、高貴な神様なのだそうだ。

龍と鳳凰のペアがとにかく一番幸福をもたらすものだと言われていて、どのお寺でも一緒に描かれたり、彫られていると聞いた。

 

私は前に中国の昔の文献を見たことがあって、「龍と鳳凰が天と地をつないでひとつの宇宙を作る」ということを知った。

その話をすると、「そこまで壮大なことはわからないけれど、とにかくこのふたつはツインなんだ。陰陽と同じように、男女と同じように、お互いがなくてはならない存在なんだ」という答えが返ってきた。

面白い。来年が辰年であることも、アジアの私たちには共通の話題。

「素晴らしい一年が来るよ。だって龍の年だからね」と彼が言うように、私もわくわくしながら来年を待っている。

 

しかしこうして、いろんな国の人と龍の話をするのはとても楽しい。

答え合わせをしているようだが、やはり龍神様の力を世界中が認めている気がした。

 

ネイティブアメリカンの「龍」

 

そういえば、とても興味深いことがあった。

私のソロショウに毎回必ず来てくれる、不思議なおばあちゃんがいる。

彼女はネイティブアメリカンで、服装もなんとなくインディアン的。

いつも私の龍の絵の前で祈り、涙を流したり笑ったりしている。

 

話しかけてみると、ネイティブアメリカンがお守りとして持っている石を見せてくれた。

おそらくサウスアメリカのもので、龍…でも羽根が生えているのでドラゴンなのかもしれないが、とにかく赤い龍が、その石には彫られていた。

「GOD」と言ったので、何かしらの信仰神なのだろうと思う。

そのドラゴンはいつも、自分たちの進む道を教えてくれるそうだ。

「MARIが描く龍は、温かいエナジーに満ちている」と言ってくださった。

 

その後ろで涙ぐむ女性がいて、「あなたの絵は本当に、心に響くの」とおっしゃる。イスラエル出身の女性だった。

彼女はまさに今、家族が戦火の中にいる。

私もこみあげるものがあり、彼女を抱きしめた。

小さく震えるその肩を抱きながら、「龍神様、人間の愚かな戦いをやめさせてください」と願った。

それしか為す術もなかった。

 

ニューヨークでの生活は11月5日まで続く。

マンハッタンで龍を浴びながら、辰年を楽しみに、アパートで龍をたくさん生み出す予定だ。

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著者略歴

  1. 西村 麻里

    コピーライター/クリエイティブディレクター/アーティスト
    熊本生まれ。
    国内広告代理店、外資広告代理店のコピーライター・CMプランナー・クリエイティブディレクターを経て、MARI NISHIMURA INC. を設立。
    龍を描くアーティストとして、ニューヨーク、東京をベースにアーティスト活動を展開し、ロサンゼルス、ベルリン、ロンドン、カンヌ、パリなどでも個展を開催。
    2020年公開の映画「響 HIBIKI」に画家として出演。
    著書に『THE AURA』『龍スイッチはじめよう』(ともにWAVE出版)がある。

    ●国内賞
    TCC賞新人賞、TCC審査委員長賞/ADC賞シルバー(RA-CM)/ブロンズ(TV−CM)/電通賞最優秀賞(TV-CM)/FCC賞OCC賞CCN賞/朝日広告賞 ほか多数
    ●海外賞
    CLIO賞シルバー/one show ブロンズ/SPIKS ASIA ブロンズ/epica award paris シルバー/one show メリット賞/D&AD インブック受賞

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