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グググのぐっとくる題名

第4回 (ビデオ)ゲーム的な題名

ブルボン小林さんの新連載、「グググのぐっとくる題名」。小説や演劇、映画、音楽、漫画や絵画……あらゆる作品の、「内容」はほとんど問題にせず、主に題名「だけ」をじっくりと考察します。20年前に発売された前著『ぐっとくる題名』以降、新たに生まれた題名や、発見しきれていなかったタイトルを拾い上げる予定です。
第4回目は、ビデオゲームのある特性を表す言葉が用いられた曲と、人のゲーム体験があってこそ生まれ、成長を遂げた小説の新ジャンル、さらに、シリーズ累計100万部を突破した人気パーティーゲームの題名について!(編集部)


第171回直木賞の贈呈式は、受賞者の一穂ミチさんのスピーチが印象的だった。
「なにゆえ もがき いきるのか?」という台詞を引用し「その問いに答えたくて小説を書き始めた気がする」と語ったのだが、それは『ドラゴンクエスト3 そして伝説へ』のラスボス、ゾーマが主人公に投げる問いの言葉だ。

小説家でも誰でもビデオゲームの影響を受けるなんて今や珍しいことではない。だが、それでも帝国ホテルの立派な金屏風の前で正装の小説家に自身のルーツを語る体で引用されると、ドストエフスキーやシェイクスピアの引用をしたのと同じような趣を感じざるを得なかった。ゲームが古典的教養になったのだ。
ビデオゲームは体験でもあるから、作中の問いの受け止めの重さもすごいのだろう。ビデオゲーム(や、ビデオゲーム的な把握とでもいおうか)は今日こんにちの表現の世界に大きな影響を及ぼしており、それは題名にも及んでいる。今回は「(ビデオ)ゲームが題名に与えた影響」の話。

 

 

本連載は終了しました。加筆・改稿のち書籍化します(2025年12月20日発売予定)

新たな読み物、対談など盛りだくさんでお届けします。どうぞお楽しみに! 編集部

 


◎ 好評発売中! ◎


『増補版・ぐっとくる題名』 著・ブルボン小林(中公文庫)

題名つけに悩むすべての人に送る、ありそうでなかった画期的「題名」論をさらに増補。論だけど読みやすい! イラストは朝倉世界一氏による新規かきおろし!

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著者略歴

  1. ブルボン小林

    1972年生まれ。「なるべく取材せず、洞察を頼りに」がモットーのコラムニスト。
    00年「めるまがWebつくろー」の「ブルボン小林の末端通信」でデビュー。
    著書に『ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ』(ちくま文庫)、『ゲームホニャララ』(エンターブレイン)、『マンガホニャララ』(文藝春秋)、『増補版 ぐっとくる題名』(中公文庫)など。
    『女性自身』で「有名人(あのひと)が好きって言うから…」連載中。小学館漫画賞選考委員を務める。

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