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出張版 桒原駿の備忘録

出張版 桒原駿の備忘録 昇段を決めた一局 ②

 参考図18

参考図18

桒原二段「ここで黒が参考図18のように、左下の手を抜くと、白2とされて左下隅の黒の目が薄くなり、中央への脱出もしにくいので、実戦の黒51(参考図18のA)と守ります」

 実戦図52 

実戦図50-52

参考図19

参考図19

桒原二段「白は実戦図の52で、参考図19の白1とヒラくと、黒からコスミツケられて、黒4とハサまれ、白が攻められる感じになりますので、実戦図52のようにさっさと目を確保しにいきます」

実戦図59

実戦図52-59

実戦図59a

参考図

桒原二段「実戦図白58まで、普通の進行です」

聞き手「黒59のコスミは、右辺の厚みを意識した手ですか」

桒原二段「そうです。黒59のあと、黒Aとすれば、右上の白へのプレッシャーにもなります。プレッシャーをかけると、右辺の黒模様が自然に地になりやすくなり効率的です」

聞き手「左辺の白模様は気にならないのですか」

桒原二段「白が左辺をB辺りに守ったとき、地が大きいのではないか、と思われるでしょうが、白△が厚いので左辺に白地ができるのは仕方ないと思っていました。左下の三三に入ったときに、黒は左辺に入りにくくなったけど、白が守ればその分地が小さくなるということです」

実戦図60

実戦図59-60

参考図20

参考図20

参考図21

参考図21

聞き手「実戦の白60は、大きそうな手ですね」

桒原二段「そうです。参考図20のように、黒に迫られると、白は隅の目も怪しくなるし、下辺に黒地ができてしまいます。なので白は60と打って、黒が手を抜けば参考図21のAにスベってBのハネダシを狙います」

実戦図62

実戦図60-62

聞き手「実戦の白62では、上にノビもあると思うのですが」

参考図22

参考図22

桒原二段「そうですね、参考図22の白1とノビると、左下の黒石は目があるし、下辺の白は重くなっていて、黒2とされても白の2子は逃げなければならなくなり、黒は自然に右辺が地になりますので、白は軽く打つために下ハネになりました」

参考図23

参考図23

桒原二段「参考図23の黒1のオサエなら、白2とアテて黒のツギとなり、黒の凝り形とみて、白は左辺に手を入れます」

桒原二段「こうなると、黒の多い右辺にも入りやすくなるし、やや白が打ちやすそうです」

参考図24

参考図24

聞き手「参考図24の白1が気になるのですが」

桒原二段「それは、参考図24の黒2とアテて黒4ともどるだけでもよさそうです」

参考図25

参考図25

桒原二段「参考図24の白3で参考図25の白3とツケるのもあるのですが、以下黒10までとなり、左下隅がコウになるのですが、黒からコウ材があるのに対し、白はあまりコウ材がない」

桒原二段「また、黒2子(黒2、黒10)の粘り強い形からAのノゾキから右下の白が攻められるので、左下隅がコウになっても結構しぶといかなと思います」

参考図26

参考図26

桒原二段「実戦の黒67で参考図26の黒1には白2で、左下隅の黒がツブレ形です」

 実戦図68

実戦図62-68

桒原二段「参考図23のように下をおさえるときかされた感じなので63と上からおさえました。そこで、実戦のように黒67と手をもどします」

聞き手「実戦の白68まで、この分かれはどうですか」

桒原二段「この分かれは、黒がちょっと良いんじゃないかなと思います」

聞き手「白64の悪手がひどいからですか」

桒原二段「そうですね、黒の目が確定した上に白66の価値が低く、この白66を無駄に一手打たせていることで黒がちょっとポイントを上げたかなと」

 実戦図70

実戦図68-70

桒原二段「実戦の白70では、Aあたりに受けてくれるのを期待したのですが、白70の曲げが良い手で、黒69は悪手だったかもしれません」

 実戦図73

実戦図70-73

桒原二段「実戦図の黒71で、右上隅の白にプレッシャーをかけ、黒73とシチョウアタリを打てたので、シチョウの逃げ出しと右上隅へのプレッシャーを見て、黒がわずかに良くなったようです」

 参考図27

参考図27

聞き手「左下のシチョウを受けるのが大きいのですか」

桒原二段「例えば参考図27の白1と受けたとします。そうすると、黒2のカドが厳しくて、だいぶ白の目が薄くなってきました」

桒原二段「以下、結構たくさん打っても、△あたりが気持ち悪いし、上辺には目はできません。黒は、右上の白を取らなくても、攻めつつ右辺の地を増やしたり、左辺の白地を減らせればちょっと優勢かなと思っていました」

 参考図28

参考図28

桒原二段「実戦は攻められるのを嫌って、参考図28白△とハネました。ここで参考図の黒1とオサエるのが普通かと思うのですが、白2のアテに黒3とツイで白4となると、白は上辺に眼形ができてきました。」

 参考図29

参考図29

桒原二段「参考図28のあと、さらに黒から1と押されると白2と打たれて、目どころか、約8目ぐらいの白地ができてしまいます。右上隅の黒地が6目ぐらい増えても、白に目ができてさらに8目増えるのでは、黒は不満です」

 実戦図79

実戦図73-79

桒原二段「そこで、黒は白74に反発して実戦図の75としました」

聞き手「なかなか工夫されているのですね」

桒原二段「白78は、目を作るために重要な意味を持っています。黒79で待望のシチョウ逃げ出しに手がまわりました」

 参考図30

参考図30

桒原二段「ここで上辺は参考図30の白1と切られても黒2とオサエるし、逆に白1で黒2にノビられても黒Aとオサエが見合いになっています」

桒原二段「このシチョウ逃げ出しはメチャクチャ大きいです」

 

[つづく]

 

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著者略歴

  1. 桒原 駿

    平成11年(1999年)4月10日生 東京都出身
    岩田 一 九段門下

    平成28年 夏季入段(平成29年度採用)
    平成31年 二段

    日本棋院東京本院所属

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