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出張版 桒原駿の備忘録

出張版 桒原駿の『備忘録』大模様攻略⑤

 実戦図112

実戦図109-112

桒原二段「そこで右辺2子の逃げ出しと次に下辺の黒地を凹ませる112をにらみながら110と打ちました」

実戦図115

実戦図112-115

参考図37

参考図37

桒原二段「115では参考図37の1と打った方が地が大きく見えますが、2のハサミツケから8や10まで利かされるので逆に損になってしまいます」

実戦図117

実戦図115-117

桒原二段「ここで116とカミトリました。中央に不確定要素が多い状況での2線のカミトリはまだ小さいのではないかと思われるかもしれませんが」

参考図38

参考図38

桒原二段「参考図38の黒△とツガレてから1、3などで分断されると左上の白一団の目がなくなるので、カミトリは目を確保するという意味もあります」

実戦図123

実戦図116-123

桒原二段「実戦の119はこの部分に白地がつくと地合が厳しそうなので削りにきた手です。白は下辺の黒を先手で凹ませた上に、地ができそうなスペースを作って黒に削る手を打たせられたので少し優勢になったと思います」

実戦図133

実戦図123-133

桒原二段「優勢を意識しているので124、126、128としっかりツナがりました」

参考図39

参考図39

桒原二段「参考図39の1、3のハネツギに白が手を抜くと黒4からハわれてAで左右が切れると白は手入れが必要になります」

参考図40

参考図40

参考図41

参考図41

桒原二段「参考図の40と41はどちらも黒が先手なのですが地の大きさが全然違います」

実戦図150

実戦図133-150

桒原二段「ヨセに入っています。1目半から2目半勝っていると思います」

聞き手「2目半負けているとプロ棋士は嫌になるそうですね」

桒原二段「2目半差で持ち時間があればほとんど勝敗は動かないでしょう。1目半差ならまだ頑張れる気がしてきますが」

 

第4譜

第四譜151-200

 

実戦図154

実戦図151-154

桒原二段「151は白の目を狙う意味がありますが152と落ち着いて受け、右の白にツナガる手と151の一路下に目を作る手を見合いにしています」

実戦図162

実戦図154-162

参考図42

参考図42

桒原二段「実戦の162で参考図42の1とうっかり逃げようとすると6で黒△が逃げ出されてしまい一気に負けコースです」

実戦図176

実戦図162-176

桒原二段「優勢なときは先手のヨセを打ち損じなければ逆転されにくいです」

実戦図200

実戦図176-200

桒原二段「200手までで黒が投了しました。この時点で3目半ぐらいの差だと思います」

 参考図43

参考図43

聞き手「勝敗の分かれ目はどのあたりでしょうか」

桒原二段「白が右上と左中央でポイントをあげてかなり良い勝負になってきた場面で黒111(△)コスミが手堅過ぎたのではないでしょうか」

参考図44

参考図44

桒原二段「秋山九段との局後の検討では参考図44の1あたりに打つのが良かったようです。左右中央の白にプレッシャーをかけていて右辺の白2子は逃げ出しにくいし、地も増えているのでこの図なら黒が少し良かったようです」

 

 

今回は「大模様攻略」ということで相手の模様や厚い石に対してどうアプローチしていくかをメインに書いてきましたが、実は私は昔からそのような展開が得意ではなく、入り過ぎてツブれたり、入らなさ過ぎてそのまま大きな地を作られて負けてしまうことが多々ありました。その分感覚的に得意な人と違って論理的に色々考え対策を練ってきたので、最近は苦手意識もなくなりそれを皆さんに分かりやすくお伝えできたかなと思います。

余談ですが、秋山九段とはこの2カ月後にもまた対局があり、その時は逆に私が大模様を張る展開で最後は惜しくも半目負けてしまったのでやはり模様を張らせるべきだったかなあと思いました(笑)

 

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著者略歴

  1. 桒原 駿

    平成11年(1999年)4月10日生 東京都出身
    岩田 一 九段門下

    平成28年 夏季入段(平成29年度採用)
    平成31年 二段

    日本棋院東京本院所属

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