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出張版 桒原駿の備忘録

出張版 桒原駿の備忘録 昇段を決めた一局 ③

 参考図31

参考図31

聞き手「参考図31の白△の3子を助けるのは厳しそうですね」

桒原二段「助けようとすればするほど被害が広がりそうですので、白は冷静に捨てます」

 実戦図89

実戦図79-89

桒原二段「これで、左下の白を取って約10目の地ができました」

参考図32

参考図32

聞き手「参考図32の白1とアタリにしたら」

桒原二段「黒2とオサエます。黒△の1子より黒2のオサエの方が大きいです」

参考図33

参考図33

桒原二段「参考図33の白1に黒2とツグと白3とされて、右上隅の黒地がガラガラにされてしまいます」

参考図34

参考図34

桒原二段「参考図32以下白3とヌカれても、黒4とヒイてなんでもありません」

実戦図93

実戦図90-93

桒原二段「黒93とツイだ意味は、次にAのコスミが狙いです。白を分断できれば有利になります」

桒原二段「さっきは利いてくれなかったので、ムリヤリにでも利かそうとツギました」

参考図35

参考図35

聞き手「白は手を抜けなかったのですね」

桒原二段「参考図35の黒1が厳しく白2とツケても黒3とハネダシて白はツブレです」

参考図36

参考図36

桒原二段「白2から4と打って右側の白が助かっても後手生きなので、今度は左側の白が危なくなります」

実戦図95

実戦図93-95

参考図37

参考図37

桒原二段「実戦の白94と打っておけば黒95に対して手抜くことができます。参考図37のように、先手でハネツいで白6まで、左右の白石が助かります。左側の白が逃げ出せれば損害はそれほど大きくはありません」

実戦図98

実戦図94-98

桒原二段「白98は、黒から△にトバれて、右上の白を攻められた上に右辺の黒模様が大きくなるのを防ぎつつ中央の白模様を拡大する狙いです」

参考図38

参考図38

実戦図99

実戦図98-99

桒原二段「黒は白98に対して右辺を守っていると、参考図38の白2から白4とされて、中央が白っぽくなってきます。これが嫌だったので黒は実戦の99としました。白の左辺を牽制しつつ上辺の黒模様を盛り上げます」

聞き手「このあたりからオオヨセに入ると思いますが、持ち時間はどのくらいでしたか」

桒原二段「僕はたくさん残っていました。ここまでご覧いただいてわかるように、左上、右上、左下と分かりやすい定石が多く、そこまで時間を使う必要がなかったんです」

聞き手「下辺は時間をかけましたか」

桒原二段「そこは、20分ぐらい読みました。持ち時間が3時間なので20分ぐらいではそれほど痛手にはなりませんでした。おそらくこの時点で残り1時間半ぐらいです」

聞き手「それは、だいぶ余裕がありますね」

桒原二段「この展開では、ヨセ勝負になるなと思っていたので、ヨセに時間を残そうと考えてはいました」

聞き手「そんなことまで計算しているのですね。持ち時間の戦略も大切ですね、形勢はどうですか」

桒原二段「ほんのちょっと黒が良いぐらいです」

 参考図39

参考図39

桒原二段「やっぱり、黒△が悪手に近い手で」

聞き手「なるほど、二回打って手を抜かれたんですものね」

桒原二段「ちょっと良くなかったですね」

 実戦図101

実戦図99-101

参考図40

参考図40

桒原二段「実戦図の黒101で参考図40の黒1とノビルのは、右上の白は既に脱出していて目を奪う意味がなく、外の利きも違うので、黒101としました」

実戦図102

実戦図101-102

聞き手「実戦の白102は、薄い手のように見えますが」

桒原二段「白は右上も左辺も下辺も結構強いので、多少無理してもそんなに損害はなさそうですし、黒もここで反発してもそれほど得はありません」

 実戦図106

実戦図102-106

桒原二段「実戦図の白106は、そろそろ大きくなってきたところです」

実戦図109

実戦図106-109

桒原二段「実戦の黒99(△)と打ったのは、上辺に地を作りたかったからで、黒107、109と二手打ってだいぶ地っぽくなってきました」

実戦図112

実戦図109-112

聞き手「わかりやすく形を決めているのは、優勢だからですか」

桒原二段「そうですね、上辺が地になればちょっと有利かなと思いました」

参考図41

参考図41

桒原二段「白が参考図41の1とオサエれば、黒2とブツカリを打って黒4とハネれば、黒地が大きくなりますので、それを嫌って実戦は112の方をノビ、上辺の黒地をけん制しながら左辺の白地を盛り上げようという考えです」

参考図42

参考図42

聞き手「実戦の黒111部分のツケコシからではなくて107のハサミツケから打ったのは、なにか理由があるのですか」

桒原二段「例えば参考図42のように平凡に進行すると、白は微妙ですが」

参考図43

参考図43

桒原二段「参考図43のように黒1、3とした後、白は4あたりに打って黒7までとなった図は、白はAが一手省けています。参考図42は半手ぐらい遅れています。実戦の進行になれば確実に108にハサミツケてくれるので、黒は107としました」

聞き手「さすがですね」

桒原二段「プロらしい一手です(笑)」

 

[つづく]

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著者略歴

  1. 桒原 駿

    平成11年(1999年)4月10日生 東京都出身
    岩田 一 九段門下

    平成28年 夏季入段(平成29年度採用)
    平成31年 二段

    日本棋院東京本院所属

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