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音声学者とーちゃん、娘と一緒に言葉のふしぎを見つける

赤子の魂いつまでも

赤ちゃんは両唇音がお得意!?

復習から始めよう。プリキュアの名前は両唇音で始まることが多い。他の可愛らしいキャラクターにも同様の傾向が見受けられる。これが1番目の事実。

また、赤ちゃんが言葉の練習を始めるときに出すのも両唇音。これが2番目の事実。2つの事実の間に因果関係があるかは証明できない。しかし、「両唇音」=「赤ちゃん」、「赤ちゃん」=「可愛い」となれば、「両唇音」=「可愛い」が成り立つ。もちろん「可愛い」=「プリキュア」は言うまでもない。「両唇音」→「赤ちゃん」→「可愛い」→「プリキュア」で全てがつながる。

さて、どこまでも「なぜ」を追究するのが学問の神髄である。

Q.「プリキュアの名前に両唇音が多いのは、なぜ?」
A.「両唇音が可愛いから」

Q.「両唇音が可愛いのは、なぜ?」
A.「赤ちゃんが使う音だから」

Q.「じゃあ、赤ちゃんが両唇音を使うのは、なぜ?」
A.「……」

次の目標は、この最後の質問に答えることだ。おそらく、この答えの鍵は「母乳」にあると思う。最初にお断りしておくが、私は母乳推進派でもミルク否定派でもない。事実、我が家は母乳とミルクの「混合」育児だった。以下では「母乳=赤ちゃんが飲む液体の総称」と理解してもらいたい。


●本連載は大幅加筆、改題のち書籍化いたしました(編集部)

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著者略歴

  1. 川原繁人

    1980年生まれ。1998年国際基督教大学に進学。2000年カリフォルニア大学への交換留学のため渡米、ことばの不思議に魅せられ、言語学の道へ進むことを決意。卒業後、再渡米し、2007年マサチューセッツ大学にて言語学博士を取得。ジョージア大学助教授、ラトガース大学助教授を経て、2013年より慶應義塾大学言語文化研究所に移籍。現在准教授。専門は音声学・音韻論・一般言語学。研究・教育・アウトリーチ・子育てに精を出す毎日。著書に『音とことばのふしぎな世界』(岩波科学ライブラリー)『「あ」は「い」より大きい!?:音象徴で学ぶ音声学入門』(ひつじ書房)など。

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