音声学者とーちゃん、妻のお母さん言葉を観察する
噂には聞いていた
前から噂話として聞いていた。というか立派な研究対象として多くの論文が執筆されている。それどころか自分で論文を書いたこともある。しかし、研究対象として接するのと実際の生活でどっぷり浸かって観察するのでは、やっぱり違う。
何の話だろうか? 妻が赤ちゃんと話す、あの話し方だ。
この話し方、昔は英語でmothereseと呼ばれていた。しかし、「お母さんばかりが子育てをするのはおかしい」ということから、今ではchild directed speechと呼ばれている。その考えには諸手を挙げて賛成だが、少し味気ない呼び方になってしまった気もする。定着した訳語もなさそうなので、ここでは「お母さん言葉」とさせてほしい。
●本連載は大幅加筆、改題のち書籍化いたしました(編集部)