朝日出版社ウェブマガジン

MENU

音声学者とーちゃん、娘と一緒に言葉のふしぎを見つける

音声学者とーちゃん、妻のお母さん言葉を観察する 

噂には聞いていた 

前から噂話として聞いていた。というか立派な研究対象として多くの論文が執筆されている。それどころか自分で論文を書いたこともある。しかし、研究対象として接するのと実際の生活でどっぷり浸かって観察するのでは、やっぱり違う。 

何の話だろうか? 妻が赤ちゃんと話す、あの話し方だ。

この話し方、昔は英語でmothereseと呼ばれていた。しかし、「お母さんばかりが子育てをするのはおかしい」ということから、今ではchild directed speechと呼ばれている。その考えには諸手を挙げて賛成だが、少し味気ない呼び方になってしまった気もする。定着した訳語もなさそうなので、ここでは「お母さん言葉」とさせてほしい。


●本連載は大幅加筆、改題のち書籍化いたしました(編集部)

バックナンバー

著者略歴

  1. 川原繁人

    1980年生まれ。1998年国際基督教大学に進学。2000年カリフォルニア大学への交換留学のため渡米、ことばの不思議に魅せられ、言語学の道へ進むことを決意。卒業後、再渡米し、2007年マサチューセッツ大学にて言語学博士を取得。ジョージア大学助教授、ラトガース大学助教授を経て、2013年より慶應義塾大学言語文化研究所に移籍。現在准教授。専門は音声学・音韻論・一般言語学。研究・教育・アウトリーチ・子育てに精を出す毎日。著書に『音とことばのふしぎな世界』(岩波科学ライブラリー)『「あ」は「い」より大きい!?:音象徴で学ぶ音声学入門』(ひつじ書房)など。

ジャンル

お知らせ

ランキング

閉じる