言語学者夫婦、子どもの言い間違いを直さない
「ふみちり、まだ〜?」
義理の妹が2人目の子どもを産み、当時3歳の上の子を持て余しているようなので、ヘルプに駆けつけた。電車好きの男の子で、車での移動中どうしても「ふみきり」が見たくなったらしい。
「しげとさ〜ん、ふみちりまだ〜?」
を連呼された。あまりに連呼されて、「エビチリ」が食べたくなった。
「き」が「ち」になってしまうのは、子育てあるあるだと思う。
お母さん友達と話していると「うちの子は、まだXXの音が言えなくて〜」とおっしゃる声を耳にする。子どものことに関しては何でも心配になってしまう気持ちは痛いほどよくわかっているつもりだ。だから、この気持ちにもおおいに共感できる。
しかし、我々夫婦はちょっと変わり者なのかもしれないが、子どもの言い間違いを直さず、大事に保護する方針をとることにしている。むしろ他の大人から正しい発音を習ってきてしまうと、ガッカリするくらいだ。なぜ我々は言い間違いを楽しむのか。他のご家庭に押しつけるつもりは毛頭ないが、我々なりの理由を説明しよう。
第一に、可愛い。子どもらしさが溢れている。特に、下の娘が1歳の時に発した「もえもえちゅん」は破壊力抜群であった。
もえもえちゅん
●本連載は大幅加筆、改題のち書籍化いたしました(編集部)