どうやって音を区切るか、それが問題だ
しりとりが終わらない
上の娘は4歳ごろからしりとりが好きになった。ある日のことである。
娘:マリア
私:アンパンマン……(しまった、「ん」で終わってしまった)
娘:マント
私:!!!
大人であれば「アンパンマン」は「ア」「ン」「パ」「ン」「マ」「ン」と区切るので、最後の音は「ン」である。「ン」で始まる単語は日本語(東京方言)にはないから、私の負けのはず。しかし、娘は「マン」が最後の音だと思っている。
これは、音声学の観点から考えて非常に面白い。人間は、単語を小さな単位に区切ってリズムをとる。どうも、私(=大人)と娘(=子ども)では、その区切り方(つまり、リズムのとり方)が違うらしい。大人は「マ」と「ン」を区切って、2つ分のリズムを振り当てる。子どもは、「マン」を区切らず、1つのリズムとみなしている。
●本連載は大幅加筆、改題のち書籍化いたしました(編集部)