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マニマニ教えて!今の韓国ヨギヨギ~

韓国の付加価値税、45年ぶりに増税になるか!?

#消費税 #소비세 #付加価値税 #부가가치세


皆さんの「そうそう!これ、聞きたかったぁ~」に答える連載『マニマニ教えて!今の韓国ヨギヨギ~(たくさん教えて!今の韓国こっちこっち~)』です。韓国で、または日本で韓国関連分野を研究している先生たちが今の韓国についてやさしく解説してくれます!韓国語版おまけ付きで、言葉の勉強もできるなんてチョアヨ(素敵です)>_< 連載を読み終える頃には、あなたも韓国通になっているかも?!

第9回は、金根三先生(志學館大学)です。今回は日本の消費税にあたる、韓国の「付加価値税」。世界的に見ると両国ともその税率が低い点などが似通っていますが、同じような課題も抱えているようです。


 執筆者: 崔銀景 河正一 飯倉江里衣  

      金根三 朴天弘 鄭敬珍    


 日本に住んでいる我々は日常生活の中でほぼ毎日税金を払っていることを知っていますか。それは何故かというと、何か買い物をするたび、消費税を納付するからです。この消費税は、私たちが商品を買うとき、生産者から消費者まで流通される各段階で増加された付加価値の部分に課税されます。この構造から、諸外国では、消費税を付加価値税と呼ぶ場合が多いのです。韓国でも消費税は付加価値税といいます。

 この付加価値税は、1977年に導入されたときからずっと税率が10%なんです。それが最近になってから、コロナ禍と経済対策の財源確保のために付加価値税率を引き上げるべきだという主張も出ています。2018年基準OECD(経済協力開発機構)各国の付加価値税の平均税率は19.3%であり、韓国と日本の税率10%はまだその半分です。韓国は比較的に財政状況が健全な状態が続いてきたので、今まで付加価値税増税をしなくても大丈夫でした。しかし、日本と同じように韓国は急速に少子高齢化が進んでおり、それに伴って税金を負担する世帯数も減っていきます。このままだと税収が減る恐れがあるのです。また、コロナ禍対策も相まって、どんどん国の財政が圧迫されていることもあり、付加価値税増税の動きが出てきているのでしょう。

 付加価値税は、所得が高い人も低い人も同じ税率で負担します。言い換えれば、所得が低い人であるほど、税負担が大きくなるデメリットがあります。しかし、付加価値税には景気が良いときも悪い時も税収が確実に入るという「安定性」というメリットがあります。なぜなら、人々はどんなに経済状況が厳しくても、生活に必要なものを買わなければならないからです。つまり、消費をします。その都度、付加価値税を自動的に払うことになり、これが国と地方の予算に入ることになります。その反面、所得税の場合、高所得者は高い税率を適用し、低所得者は税率が低いか、一定の所得以下は所得税を出さなくて済みますので、所得再分配に適しています。ただし、景気が悪いときは税収も減ってしまいます。ですので、確実に税収が入ってくる付加価値税を増税して、少子高齢化対策や景気対策の重要な財源として使うべきだという声が聞こえてきます。なんか日本とすごく似ている悩みですね。

金根三(志學館大学)

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著者略歴

  1. 金 根三(キム・グンサム)

    日本が肉眼でみえる釜山で生まれ育った。少子高齢化という同じ課題を抱えている日本で社会保障財政の研究をしたいと思い、2007年から立教大学大学院で経済学を専攻した。研究分野は日本と韓国の地方財政改革と社会保障制度の比較。現在は、桜島と錦江湾が眺められる鹿児島で経済学と財政学を教えながら、研究活動を続けている。また、2017年から韓国語講師としてもたくさんの日本人の皆様と交流を重ねている。現在、志學館大学 法学部、講師。

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