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マニマニ教えて!今の韓国ヨギヨギ~

韓国現地リポート-韓国の大学生活

#大学 #대학 #グァジャム #과잠


皆さんの「そうそう!これ、聞きたかったぁ~」に答える連載『マニマニ教えて!今の韓国ヨギヨギ~(たくさん教えて!今の韓国こっちこっち~)』です。韓国で、または日本で韓国関連分野を研究している先生たちが今の韓国についてやさしく解説してくれます!韓国語版おまけ付きで、言葉の勉強もできるなんてチョアヨ(素敵です)>_< 連載を読み終える頃には、あなたも韓国通になっているかも?!

第19回は、鄭敬珍先生(釜山大学)です。大学生のファッション、と聞いてどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?韓国では大学生を象徴するアイテムがあるそうです。そして韓国国内でのさまざまな受け止め方まで教えていただきました。


 執筆者: 崔銀景 河正一 飯倉江里衣  

      金根三 朴天弘 鄭敬珍    


 みなさんは大学時代の思い出にどんなものがありますか?私は「大学生」という言葉を聞くだけで、ときめく青春のイメージが浮かびます。韓国と日本、両国の大学生活を経験した私が今回皆さんに紹介したいのは、韓国の大学生の象徴ともいえる「グァジャム(大学ジャンパー)」文化です。グァジャムとは、大学と学科名の入った野球ジャンパーのことを指しますが、大学の学生会を通して団体で購入するユニフォームともいえます。一般的な大学の広報グッズとは異なり、グァジャムは学校名や自分の専攻、入学年度などの入った在学生専用のアイテムなので、とりわけ、新入生たちはこのグァジャムを着ることを大学生としてのロマンだと思うのだそうです。グァジャム文化が韓国で人気を博したのは1990年代後半からで、ソウル大学のラグビー部のメンバーが着始めてからだという説があります。 

 通常、胸や背中のところに学校名と学科名が刺繍され、腕には入学年度が入るのが定番のグァジャムデザインといえます。色は学校のシンボルカラーになることが多く、肩の部分には学校のロゴか校章を入れることもあります。春や秋には野球ジャンパーを、冬には保温性の高いロングダウンスタイルのグァジャムを着る大学生を見かけることも多いです。 

 しかし、このような大学のグァジャム文化に対して韓国内でも賛否両論があります。賛成する人はまずコスパの良さや連帯感、自分の大学への誇りが持てることなどをその理由として挙げています。ソウルの某大学1年生のソン・ソンビン君も「3万ウォン(約3000円)ぐらいの安い値段で買えてうれしかったし、何より学校名の入ったグァジャムを着ることで大学への誇りを感じるようになった」と答えてくれました。特にコロナ禍の中、学校に行けなかった時も、グァジャムを購入して着ることで所属意識を感じることができたという人もいました。

 一方で、グァジャム文化は学歴主義を助長するという批判もあります。特に、名門校のグァジャムを着る学生に対して疎外感を感じることもあるとか。しかし、このような批判にもかかわらず、面白いことに韓国の超有名大学であるソウル大学、高麗大学、延世大学、SKY(いわゆるスカイと読む、この3校の頭文字をとったもの)大学の学生たちは自分たちに向けられる人々の視線が嬉しいという意見があったり、受験生の中には志望大学のグァジャムをフリーマーケットで購入し、受験勉強のモチベーションにする人もいるのだそうです。

(ソウルの某大学1年生のソン・ソンビン君と彼のグァジャム)

 前回、MZ世代について書きましたが、人と違う自分だけの個性を大事にするMZ世代の大学生が、グァジャムという画一性を素直に受け入れている理由はなんでしょう?もちろん、その理由は一つではありませんが、確かなのは、依然として韓国社会において大学の持つ意味は大きいということでしょう。もし、日本の大学にグァジャムがあるとしたら、皆さんはグァジャムを着てみたいと思いますか?

鄭敬珍(釜山大学)

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著者略歴

  1. 鄭 敬珍(ジョン・ギョンジン)

    海雲台で有名な港町・釜山で生まれ育った。大学で日本文学を学び、卒業後はすぐ就職の道へ。11年間勤めた会社を退職し、2012年から法政大学大学院で日本文学(近世文学)を専攻した。主な関心事は、江戸と朝鮮時代における人々の暮らしや交流。好きな日本語は「一期一会」。韓国に帰国してからは、授業や研究活動を通して江戸文化をメインに日本文化や日本人の暮らしを紹介することに力を入れている。 現在、韓国・釜山大学 人文学研究所、研究教授。

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