朝日出版社ウェブマガジン

MENU

中国文字謎 入門講座

字谜”(字あて)と“物谜”(物あて)

字谜”zìmí とは文字を当てる「なぞなぞ」である。文字といっても、これは中国の「なぞなぞ」であるから、漢字を当てるもの。

 “字谜”と対になるなぞなぞが“物谜”wùmí である。こちらはモノを当てるなぞなぞだ。

 

 モノを当てるか、文字を当てるか、大した違いがないように思うかも知れないが、実はこれが大違い。例えば、次はあまりに有名な“物谜”の一つ:

 

  ①远看山有色,Yuǎn kàn shān yǒu sè,  (遠く見れば山に色在り、

   近听水无声,jìn tīng shuǐ wú shēng,  近く聞けば水に声なし、

   春去花还在,chūn qù huā hái zài,    春去りて花なお在り、

   人来鸟不惊。rén lái niǎo bù jīng.   人来たりて鳥驚かず)

 

一見、古典詩とも見まがう、これが“物谜”で、答えは“画”huà 。

“画”であれば、近寄っても川音は聴こえまい。春が去っても描かれた花は枯れまい。なるほど“画”のモノとしての特徴を捉え、表現している。

 

 ところが、“字谜”で“画”を当てさせるものとなると、こんな具合になる。

 

  ②空山之中一亩田。Kōngshān zhī zhōng yì mǔ tián.

 

“空山”というから、山を空っぽにして「凵」、その中へ「1ムーの田」を入れてやる。すると、“画”という漢字が出来あがる。「凵」に入れるのは「一」つの「田」である。日本語の「画」ともちょっと違う。ともあれ,ここでは絵のモノとしての特徴とか作用などには無頓着である。もっぱら“画”という字の形そのものに注目している。

 

 もう一つ。おなじみのお「月」さま。

 

   ③有时落在山腰,Yǒushí luòzài shānyāo, (時には山腹に落ち、

     有时挂在树梢,yǒushí guàzài shùshāo,  時には樹の梢にかかり、

     有时像个圆盘,yǒushí xiàng ge yuánpán, 時には丸い盆のよう、

     有时像把镰刀。yǒushí xiàng bǎ liándāo. 時には鎌によく似たり)

 

 山腹にかかる月、樹のこずえをかすめる月、はたまたお盆のように丸くなったり、鎌のような三日月になる月の姿を巧みに言い表している。これはもちろん“物谜”である。同じく“物谜”で、やはり「月」をこんな風に比喩したものもある。

 

  ④九洲四海一美人,Jiǔ zhōu sì hǎi yì měirén,

     十五六上正青春,shíwǔ liù shang zhèng qīngchūn,

     二十七八得了病,èrshí qī bā déle bìng,

     三十岁上命归阴。sānshí suì shang mìng guī yīn.

          (天下に一人この美人、

           十五十六花の盛り、

           二十七八で病を得、

           三十歳で身まかれり)

 

これは「月」を擬人化したものだが、月の特徴を表していることに変わりはない。「十五十六がまさに春」とは満月の頃を指すし、三十日には新月で姿を消してしまう。ところで、“字谜”となると、かくもそっけなくなる。

 

  ⑤明日走。

 

「明日出かける」で、なぜ「月」が答えになるのか。「明ノ日ガ離レユク」と読む。つまり“明”から“日”をとり去っての“月”である。

 

 

◆練習問題 

[答えは、漢字一文字です。"解答を表示”の左の黒い三角をクリックすると見られます。]

 

1 十个哥哥。 (哥哥=お兄さん)  

 

 

 

 

解答を表示 

克 (十の兄から)

 

 

 

  

2  一人一点。   

 

 

 

 

解答を表示

太(一人で大になり,さらに点を加える,犬という答えもあり) 

 

 

 

    

3 一加一不是二。(一足す一は、二ではない)  

 

 

 

 

解答を表示

王 (加えるに+記号を使う) 

 

 

 

  

  4 共添两横。   

 

 

 

 

解答を表示

其 (共の中に横棒を2本添える)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バックナンバー

著者略歴

  1. 相原 茂

    中国語コミュニケーション協会代表
    1948年生まれ。東京教育大学修士課程修了。中国語学,中国語教育専攻。80~82年,北京にて研修。
    明治大学助教授,お茶の水女子大学教授等を経て,現在中国語コミュニケーション協会代表としてTECCの普及に努める。
    NHKラジオ・テレビでも長年中国語講座を担当。編著書に,『はじめての中国語』(講談社現代新書)『雨がホワホワ』『ちくわを食う女』『中国語未知との遭遇』(ともに現代書館)『ときめきの上海』『発音の基礎から学ぶ中国語 新装版』(ともに朝日出版社)『「感謝」と「謝罪」はじめて聞く日中“異文化”の話』(講談社)『講談社中日辞典<第三版>』『講談社日中辞典』(講談社)など。

ジャンル

閉じる