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中国文字謎 入門講座

数字専科

 字謎には何故か「数」に関係のある問題が多い。一度、数にまつわるものを整理しておくとよい。

 入門の人に字謎とはどんなものかを教えるときに使うのはこんな謎。

 

  ①八十八。 Bā shi bā.

 

これは“米”mǐ 。「米寿」の発想だ。

 

  ②九十九。 Jiǔ shi jiǔ.

 

これは“白”bái 。「白寿」の発想だ。

 “九十八”jiǔshibā というのもあるが、こちらの答えは“杂”zá 。素直に加えてゆけばよい。同じタイプで“六一”liù yī という問題もある。これも「六」と「一」を合体させ“立”lì が答え。

 

  ③一加一不是二。 Yī jiā yī búshì èr.

 

これは“王”wáng 。「一(いち)+(たす)一(いち)」とプラス符号を利用している。「一(いち)-一(ひくいち)」とマイナス符号を利用すれば、

 

  ④一减一不等零。 Yī jiǎn yī bù děng líng.

 

という問題になり、こちらは“三”sān 。次は一挙に難しくなるが、一度どこかで出てきたから思い出して欲しい。

 

  ⑤四减一不等三。  Sì jiǎn yī bù děng sān.

 

これと全く発想が同じ、答えも同じなのが次。

 

  ⑥加一等于四。  Jiā yī děngyú sì.

 

もちろん“三”が答えではなくて、“匹”pǐ が解。“匹”の空いている右側に1を加えてやれば“四”になる。

 

  ⑦减二得四。 Jiǎn èr dé sì.

 

というのはどうか。これはこういうことだ。Xから二を引く、すると四ができる。式は「X-二=四」。従って「X=四+二」。四と二を合体させて一字作ればよいのだが、これが意外と手を焼く。答えを明かしてしまうとナーンダとなるのだが、これはご自分で考えて頂こう。

 数字の百はなかなか有用で、百から一を引くと“白”になるというのが魅力である。例えば、

 

  ⑧七百除一。 Qī bǎi chú yī.

 

“七百”から一を引く。もちろん百の方から一をとり、“白”とした上で“七”と合体させる。答えは“皂”zào 。見慣れない字かも知れないが、“肥皂”féizào (せっけん)という単語に使われている。もう一つ変わり種。

 

  ⑨999  99

 

後ろの99は百マイナス一だから“白”。こう考えれば、前の999は、千マイナス一。“千”から一をとると“亻”(にんべん)が生まれる。あとは簡単に“伯”bó の字ができあがる。このように“千”から一を引くとにんべんが作れるというのも魅力である。そこで最後の問題。

 

  ⑩左边一千少一,右边一千多一。

Zuǒbiān yì qiān shǎo yī,yòubiān yì qiān duō yī.

 

 左側、つまり偏は千から一を引いて“亻”。右側、つまり旁は千より一多いので“壬”。二つ合わせて“任”rèn が答えである。

 

 

◆練習問題

[答えは、漢字一文字です。"解答を表示”の左の黒い三角をクリックすると見られます。]

1 写时三笔,算来万万。 

  

 

 

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亿 

 

  

 2 比二多一半。 

 

  

 

 

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著者略歴

  1. 相原 茂

    中国語コミュニケーション協会代表
    1948年生まれ。東京教育大学修士課程修了。中国語学,中国語教育専攻。80~82年,北京にて研修。
    明治大学助教授,お茶の水女子大学教授等を経て,現在中国語コミュニケーション協会代表としてTECCの普及に努める。
    NHKラジオ・テレビでも長年中国語講座を担当。編著書に,『はじめての中国語』(講談社現代新書)『雨がホワホワ』『ちくわを食う女』『中国語未知との遭遇』(ともに現代書館)『ときめきの上海』『発音の基礎から学ぶ中国語 新装版』(ともに朝日出版社)『「感謝」と「謝罪」はじめて聞く日中“異文化”の話』(講談社)『講談社中日辞典<第三版>』『講談社日中辞典』(講談社)など。

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