メタ言語的に捉える
モノあてなぞなぞ“物谜”の答えは、モノと相場が決っている。眼に見え、手に触れる具体的なモノである。
ところが文字をあてる“字谜”のほうは、文字であれば何でもよい。“很”hěn でも“们”men でも“匹”pǐ でも一向に構わない。眼に見えない副詞でも、はたまた助詞の“地”de であろうと“了”le であろうと、ともかく答えにすることができる。例えば、こんな具合だ。
①银行两侧。Yínháng liǎng cè.
これは“很”が答え。“银”と“行”の左右二つのサイドを組み合せて“很”をつくる。組み合わせはほかにもあるが“很”以外は字にならない。もう一つ。
②四边残缺。Sì biān cán quē.
これは「四の辺が欠けている」と読む。“四边”を「四辺,周囲」と読んではならない。すると“匹”が求める解として浮かびあがる。四の一辺を欠けば“匹”だ。
こういうわけだから、“字谜”は答えの予想がつかない。モノあてなぞなぞのように「ハテ、何だろう」としばし森羅万象を頭に思い浮かべ、あれでもないしこれでもないと、答えの候補を1つ1つチェックしてみるというのとは解き方が根本から違う。
ジッとなぞの本文を眺めてひたすら思考する。しかも、「ジッと眺めて脳ミソをしぼる」そのしぼり方が独特である。“字谜”を解くためにはそれ相応の勉強がいる、訓練がいる。
既に察知のように、“字谜”を解くには謎の本文(これを“谜面”mímiàn という)を、素直にそのまま、文字どおりに解釈してはまず正解には到れぬと知るべきである。
例えば①の“银行两侧”を「銀行の両側には何があったかナ」と考えるようではお手あげである。“银”と“行”という文字の両つの側と考える。②の“四边残缺”も同じだ。“四”という文字の辺と解釈しなければ解けない。
「○○という文字」というように謎の本文に現れている文字や語を、その意味にとらず、文字そのものとして、一つのオブジェとして見ること、これを「メタ言語的に捉える」と呼ぼう。
“字谜”においては「メタ言語的に捉える」ことの重要性はどんなに強調しても、し足りない。
◆練習問題
[答えは、漢字一文字です。"解答を表示”の左の黒い三角をクリックすると見られます。]
1 又进村里。
树 (又が村の中に入る)解答を表示
2 学上段,会下段。
尝 (学の上,会の下を組み合わせる)解答を表示
3 还不走,车来了。
连 (还から不が去り,车がやってきた)解答を表示
4 一人闪出了门外。
们 (人が闪から外に出て,そこでにんべんとして立っている)解答を表示