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中国文字謎 入門講座

換算率を心得よ

換算率というと仰々しいが、何のことはない、一日は二十四時間、一週間は七日、一ヶ月は三十日というあれである。

 例えば、こんなぐあいだ。

 

  ①二十四小时。

 

24時間とは「1日」。ここから“旧”jiù と答えてもよいし、「一日」だからと“旦”dàn と答えてもよいだろう。もう一つ。今度はちょっと厄介か。

 

  ②四十八小时。

 

48時間はもちろん「二日」。だが、「2日」でも「二日」でも“两天”でも、単純に足したのでは字の形をなさない。“亘”gèn という答えに辿りつくまでは、ひと工夫がいる。

 

  ③七十二小时。

 

今度は72時間だから「三日」である。これも大変そうだなと思いきや、さにあらず、日を三つ積み上げてすんなり“晶”jīng でよい。このように字謎は、そのつど違った視点が要求される。しなやか頭が要る。

 

  ④十五日。

 

15日はちょうど「月半ば」。そこから“胖”pàng が求める解。次は、

 

  ⑤一个月三星期。

 

“一个月”は「一つの月」。“三星期”は換算率を使い「三×七=二十一日」とする。“月”プラス“二十一日”で答えを求めるのだが、ここは“二十一日→艹一日”として“昔”xī を作り出すのがポイント。あとは“月”と合体させて“腊” là を得る。“二十→艹”“三十→卅”などの置き換えは応用範囲が広いから是非とも覚えておきたい。

 

 重さでは「一斤=十两」という換算率が大事。例えば、

 

  ⑥十两加一点。 Shí liǎng jiā yì diǎn.

 

“十两”を一“斤”として、そこに点を一つ加える。すると“斥”chì が答えだ。

 “半斤八两”bàn jīn bā liǎng ということばがある。「似たりよったり、同じようなもの」という意味だが、何故こんな意味になるのか。大体の辞書に「昔は“一斤”が“十六两”であったので、“半斤=八两”から“半斤”も“八两”も同じこと」と解説してある。要するに昔は“一斤=十六两”であったことがカギである。

 次は換算率を応用した傑作の一つ。

 

  ⑦外面四角,里面十角。

 

外が四角。これは国構え(囗)でよい。“四角”を「四角(しかく)」と解釈してよいものだから、次の“十角”もついつい「三角、四角、五角……十角」の線で考えてしまいがち。囗の中へ一所懸命十角形を描き込んだりする。ここはお金の単位“角”jiǎo に思い至れば一挙に解決する。“十角=一元”ではないか! かくて“园”yuán が正解である。

 

 

◆練習問題

[答えは、漢字一文字です。"解答を表示”の左の黒い三角をクリックすると見られます。]

1 一木十分长。 

  

  

 

 

 

 

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村 

 

 

 

 

  

 2 一尺一。 

 

  

 

 

 

 

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   3 满十分升上一级。

 

  

 

 

 

 

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    4 左量三尺,右量十升。

 

  

 

 

 

 

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著者略歴

  1. 相原 茂

    中国語コミュニケーション協会代表
    1948年生まれ。東京教育大学修士課程修了。中国語学,中国語教育専攻。80~82年,北京にて研修。
    明治大学助教授,お茶の水女子大学教授等を経て,現在中国語コミュニケーション協会代表としてTECCの普及に努める。
    NHKラジオ・テレビでも長年中国語講座を担当。編著書に,『はじめての中国語』(講談社現代新書)『雨がホワホワ』『ちくわを食う女』『中国語未知との遭遇』(ともに現代書館)『ときめきの上海』『発音の基礎から学ぶ中国語 新装版』(ともに朝日出版社)『「感謝」と「謝罪」はじめて聞く日中“異文化”の話』(講談社)『講談社中日辞典<第三版>』『講談社日中辞典』(講談社)など。

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