平田智也七段の心の一局(3)「プロの技」
参考図18
平田先生「ここからはすごく難しいのですが、プロの技というか、自分で言うのもなんですが(笑) 白62のツケは狙いの一手でした。普通は参考図18の黒1と上から受けてなんでもないのですが、白2とハネて黒3と切ると白4で黒2子が取られてしまい、この2目が取られてしまうと隅の黒石も取られてしまう」
参考図19
平田先生「参考図19の黒3とツイで守るしかない。黒が守ったときに一旦白4とツギ、次にAとワタる手を見せる」
参考図20
平田先生「参考図20の黒1と遮ると白2とハネダシて以下白4はBにホウリコんで黒5と取らせ白6までとなり、白3子と中の黒8子の攻め合いになりますが、白が勝っています。白が勝てばセキが崩れて黒が死ぬので、黒1では一度バックしなければならない」
参考図21
平田先生「参考図21の黒1とバックしたときに、どんどんダメをツメていくのですが、白14まで、黒が(イ)とヌイても一手勝ちです。(途中黒3はイ、黒11はロ)なので、実戦の虎丸は白62を軽視していたかもしれません」
参考図22
平田先生「参考図22の黒1のように黒63で、白62の下にハネても白4まで、黒2子が落ちます」
参考図23
平田先生「参考図23の黒3と受けると白4と破れてしまうので、これでは黒つらい」
実戦図白68(△)
平田先生「ここまで、黒からツメたところを白は封鎖できたので、『これで元気がでてきたかな』と、やれそうな感じがしてきました」
参考図24
平田先生「黒71の意味は、参考図24の白1とツナグと黒2とツナイで中央に突破できます」
実戦図
平田先生「実戦図の白72は、これも難しいのですが、白72のあと黒75までとなって、白は黒△の2子を取れれば隅の黒石を取れるので、白76(1の九)にホウリコンで黒77(1の八)のトリに白78」
参考図25
平田先生「ここで参考図黒25の黒1の両取りがあって、魅力的なのですが、白2とアテる手があって、黒Aとツイでも、黒Bと白の3子をとったとしても白Aと黒2子をとって隅の黒石が死んでしまうので、これも白がいい。いっぱい弱点はあるんですけれども、なんとか支えています」
実戦図 白84(△)
平田先生「実戦の白84(△)のアテはやりすぎでした。参考図26の白1とすべきでした」
参考図26
平田先生「プロはなるべく絶対の効き筋は保留しておきたいのです。コウ材にも使えるし、自分からダメをツメたくないからですが、ここは打たなければいけなかった」
平田先生「参考図26の黒8までで白がつぶれちゃうのかな、と思っていたのですが、黒16と大きなコウになり、コウ材がないかと思ったのですが、白17と自爆する手があり、黒は白3子をヌクしかなく、白は隅の黒石をヌケます。左下隅の白は、意外に悪くない格好をしているので、こうなると白がいいです」
平田先生「実戦は単に白84と打ち、先程の参考図と同じになるかと思いましたが、」
参考図27
平田先生「実戦の黒85がそれを上回る良い手で、参考図27の白Aと黒Bの交換があれば、白Cにコウをヌイて終わりなんですが、」
参考図28
平田先生「参考図28のように、白Aと黒Bを交換していなかったので白Cとヌイても黒Dとアテられてから、白Aと打っても間に合わない」
実戦図 白86まで
平田先生「実戦図の黒85のキリに対して、白86とツグしかない」
実戦図 黒95まで
平田先生「さっきは黒87のキリがなかったので、Aと切ってよかったのですが、ここでは黒87があるので白96、ここで白は損をしました」
実戦図 白100まで
平田先生「振り返って黒が61にツメたところを止めようとしたのに、黒73と突破されたので、これは白よくなかった」
次回連載第4回 「取れている石をトル」