岩田紗絵加初段の心の一局(3)快勝のはずが
実戦図63-67
参考図22
岩田先生「実戦の黒67となって見ると参考図22の白1ワリコミが見えるのですが、いますぐワリコんでも黒6から出られてあまり得はなさそうです」
参考図23
岩田先生「参考図23の白1ツケも図のようになってそれほど良くもないので」
実戦図67-70
岩田先生「実戦は68としました。これなら67の下のアテコミから切ったとき68が活きてきます。さらに実戦は黒69に70としました」
参考図24
岩田先生「このときも参考図24のワリコミも考えたのですが、先にする損が大きいので白としてはちょっと怖い。左辺の黒は既に生きていて、あとは中央の黒2子が逃げ出せばよいだけ。黒6とハネられると白にとってはあまり好ましい形ではありません。実戦の70には左下の白石を援護して三々を狙う意味もあります」
実戦図70-76
聞き手「白のペースでしょうか」
岩田先生「これまで黒をどう攻めたら良いか分からなかったのですが、攻めるきっかけができましたし、上辺の白地が減っていないので、ここでは白のペースになってきたようです。そして念願の三々に入りました」
実戦図76-82
岩田先生「白は中央がやや薄いのでさほど自信があったわけではないのですが」
実戦図82-87
参考図25
岩田先生「実戦の黒87で参考図25の黒1は白2と切るかどうかですが」
参考図26
岩田先生「それなら参考図25の△は打たずに参考図26の方が黒3のあと黒△として下辺を大きく取る手が良さそうです」
参考図27
岩田先生「安全に行くなら参考図27の黒1としてAのツケを狙い白2を誘って黒3ですが、これも良いのか悪いのか。お互いに地が少なくこれなら白は右辺に地がつけば悪くはないので、ここからの勝負かなと思っていました」
参考図28
岩田先生「実戦の三々入では参考図28の白1、3とした方が厚かったでしょうか。左下のハネツギから白7とする方が良かったかもしれません」
聞き手「ただ、黒も実戦の83はどうだったのでしょう」
岩田先生「隅の地を取られたのだからもう少し厳しい手が必要だったかもしれませんね」
実戦図87-90
岩田先生「実戦の白90にまわれてはっきり良くなったようです」
実戦図90-95
参考図29
岩田先生「実戦の黒95では参考図29の黒1かAとしてBのキリを守る方が良かったでしょう」
実戦図95-100
岩田先生「実戦の白96と切り、中央に結構な白地ができました」
第3譜(101-150)
岩田先生「白118以降やりすぎてしまい、黒135で先に137に打たれたら負けていましたが、実戦は白142まで戻れてまだ悪くないと思いました」
洪先生「白118は142に守るのが普通に見えます。実戦は最強手で戦いましたが、黒127が痛かった。おそらく早碁なので勢いもあったかと思います。黒133と135は137を交換するべきでした。実戦は黒が持ち込みになってしまい白142に戻っては白優勢です。黒137の交換は筋が悪いので打てなかった気がします。白144、146はクールな店じまいです」
実戦図101-106
岩田先生「実戦では104と守りながら地を稼ぐことができました。106と切ったのはその方が地になりやすいと思ったからです」
実戦図106-112
参考図30
岩田先生「実戦の112で参考図30の白1としていれば5まで、白は危ない石もなく地合いも良かったのでほぼ勝ちでした」
参考図31
岩田先生「参考図30の白1は参考図31のAからのノゾキが利かなくなる、と思ったのですが、黒からBのツケがあるのでそもそもAにノゾく手はなかったのです」
つづく