姚智騰六段の心の一局(2)「劣勢からの粘り」
実戦図55-56
姚先生「このときうまい手がみつからなくて実戦の55とツケました」
聞き手「困ったときはとりあえずツケると良いことがおおいですね」
参考図11
姚先生「白56では普通は参考図11の白1とノビるぐらいですが、白3となっては白の働きがあまり良くありません。白としては実戦の56と反発したくなります」
実戦図56-76
姚先生「黒55とツケたとき、この実戦図を想定していました。白は下辺の黒を取っていますが、手数をかけているので黒も不満はありません」
実戦図76-78
姚先生「この段階で白の勝率が66%ぐらいでしたが、この後の手が悪手でした」
第3譜(79-130)
洪先生「黒83の切は最近時々打たれる手です。フリカワリで隅の地は大きいのですが、外が厚くなるので黒も打てます。白122では124に打てば実戦より良かったです。黒127からの攻め合い勝負になってはとても難しい局面になりました」
洪先生「智騰は道場で勉強するときによく年刊を並べていました。しかも何冊も積み上げて研究したい棋士や形を集中的に見ていたのが印象的でした。小さいのに碁に対してのその姿勢が凄いと思ったことがあります」
実戦図79-86
姚先生「黒79は一見普通に見えるのですが、白に隅の地を稼がれて地合いが大変です」
参考図12
姚先生「実戦の83の切りで参考図12の1は、相手が予定していることなのでちょっと悔しいです。実戦の85とカカエるシチョウが自慢で白82とツケられないと思ったのですが」
参考図13
姚先生「参考図13もあるのですが、相手に先手を取られるのが嫌でした」
実戦図86-87
姚先生「87とヌイたときは満足していたのですが、取れている石ではあったので、ここに一手かけるのはヌルかったようです」
参考図14
姚先生「実戦の87で参考図14の黒1は、白から2、4と上辺に進出する手があるので△の白3子が軽くすぐに行く手はありません。白2が嫌だったので実戦は早めにヌイたということもあったのですが」
参考図15
聞き手「参考図14の白2とアテてヌカせるのは白は痛くないですか」
姚先生「確かにすぐには打たないでしょう。参考図15の白2とシチョウアタリぐらいを打たれては、上辺の白3子が軽い石なのでたいした戦果は期待できないのです。このときは黒1を打つ準備としてヌイたのです。しかし、どうも参考図の黒1はそれほど厳しい手ではなかったようです」
参考図16
姚先生「実戦の87ヌキでは、参考図16の黒1ぐらいでしょうか」
聞き手「白から良いシチョウアタリがなさそうですね」
姚先生「参考図の白2やAは白もちょっと怖いところがあって、ここで戦果が得られなければシチョウをヌカれた分だけ損ですからね」
実戦図87-92
姚先生「この辺りでは相手も優勢を意識していて固く打ったそうです」
実戦図92-98
聞き手「白98のハネはちょっとウスい気がしますが」
参考図17
姚先生「参考図17の黒1キリは、あまり脅威には思っていなかったようで予定の行動だったのでしょう」
実戦図98-101
姚先生「ここで実戦の黒99と動き出しました」
参考図18
姚先生「実戦の黒101で参考図18の黒1と曲がれば黒はツナガるのですが白もツナガって、あまり得はしていません」
実戦図101-107
参考図19
姚先生「実戦の黒107では参考図19の黒1のワリコミが良かったようです。実は既にお互い秒読みでほとんど手は読めていません(笑)。黒1も局後の検討で出た手です」
実戦図107-111
姚先生「実戦の111は、白108の左に切る前の準備です」
実戦図111-122
姚先生「白122は」
参考図20
姚先生「参考図20の白1と押すと以下攻め合いに負けるので実戦の122とダメを1つツメておきたかったのでしょうが、この122が良くなかったようです」
つづく