小池芳弘五段の心の一局(3)「三三を科学する ③」
実戦図18-27(前回より再掲載)
参考図36
小池先生「黒27には前回説明したような意味があるのですが、参考図の黒△の4子もいらない石ができてしまったことに、やや不満は残っています」
実戦図27-41
小池先生「実戦の黒29からは、これも三三定石の一つです。白30から36まで4本あれば黒41とハネられても大丈夫なので白40とヒラキました」
参考図37
小池先生「白40で参考図37の白1とすると、黒2のヒラキが絶好の位置になります」
参考図38
小池先生「黒41で参考図38の黒1とトブのは、白2ぐらいで右辺の白が壁になっているので得がない」
実戦図41-43
小池先生「黒41のハネに白42はとても厳しい手です」
参考図39
小池先生「黒43で参考図39のようになりますが、黒7までなんとか繋がりはするものの白8とオサエられて上辺の白の幅がとても良い。このまま全部地になるととても大きい」
実戦図43-45
小池先生「そこで実戦は43とオサエるのですが白は44とコスんで黒4子はとられました。ただ、黒45が自慢の一手でした。取られた黒4子は元々いらない石だったので、これを取ったのは何か勘違いがあったのかもしれません」
参考図40
小池先生「参考図40のように白1ととべば、黒2とツケる手もありますし」
参考図41
小池先生「参考図41のように黒2ととんで白を攻める手もあります。いらない黒4子より上辺の白模様が大切なところなんです」
聞き手「右上の黒4子よりも上辺の白模様のほうが価値が高いと判断されたわけですね」
実戦図45-47
小池先生「ここから戦いがはじまります」
聞き手「ブツカリですか」
小池先生「参考図40の黒2とツケてワタる手がありますので防ぎつつ上に出ていこうという、とても強情な芝野七段らしい手です」
実戦図47-53
聞き手「黒51に52とツギましたが」
小池先生「上辺の黒3子をただ逃げるのではなく、左側の白を攻める意思もあるのです」
第2譜
小池先生「白56からの手筋の応酬が見事です。白74まで良い勝負です。白80は薄いので白84、黒85、白83と守れば息の長い碁だと思います。黒81、83の追及が厳しくて97まで止まっては黒好調です」
洪先生「芳弘はボーリングが好きです。道場に来たら囲碁以外いろいろ行事をしますが、ボーリングもその一つです。みんなの前で投げるのが最初は恥ずかしいですが段々普通になります(笑)ボーリングする時の芳弘の真剣な表情とてもかっこいいです!」
実戦図53-56
参考図42
小池先生「実戦の56では、参考図42の白1と引くと黒6まで、これは白かなり危ない」
参考図43
小池先生「参考図42の黒2のオシに参考図43の白3は、ダラダラ逃げるだけになってしまいます」
実戦図56-61
小池先生「実戦の白56から60までは想定済みで、黒61が用意していた手でした」
参考図44
聞き手「参考図44の白1で、両アタリに見えますが」
小池先生「黒2とツゲば3とツグしかなく、以下黒8で白3子を取ることができます。この取り方は非常に大きいのです」
参考図45
聞き手「因みに、参考図45の黒1からいくとどうなりますか」
小池先生「白2とツイで黒3ですが、こんどは白は5ではなく4と外からカカエます。白10と切ったとき1と2の交換がなければ黒はAと取れるのですが、この図は失敗で1は大悪手になってしまいます」
実戦図61-74
小池先生「そこで実戦のように進みました」
実戦図74-79
小池先生「実戦図のように進み、上辺の黒は79と逃げながら中央の白を攻める展開になりました。右上隅の黒4子をうまく捨てることができ、戦果を上げることができたと思います」
聞き手「中央の白は薄そうに見えますね」
小池先生「中央の白は黒1子を取ってもまだ目がありませんから浮いた形になっています」
実戦図78-81
参考図46
小池先生「白80で参考図46の1と完全にとっておけば、それほど攻められることもなかったのですが、実戦の80と足を伸ばしたので黒は81としました。ここまで序盤は黒がうまく打てたと思います」
(つづく)