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洪道場の白黒さんぽ

五藤眞奈初段の心の一局(2)「20秒の攻防」

 実戦図69

実戦図64-69

五藤先生「黒69は、この対局で最も反省している手です」

聞き手「白が68にツケた手はどういう意味でしょうか」

参考図15

参考図15

五藤先生「白は黒にツケてサバクつもりだったのだと思います。黒69は参考図15の黒1とハネて白2には黒3と引く」

参考図16

参考図16

聞き手「白69で参考図16の白1はどうでしょうか」

五藤先生「参考図の黒12とされて、白はまだはっきりしないようです」

参考図17

参考図17

聞き手「白68とツケた手で参考図17の白1はどうでしょう」

五藤先生「黒2などで左辺に影響して、右側が安定してもあまり良くならないようです」

実戦図70

実戦図69-70

質問「実戦の白70では引いたほうがアツいのではないでしょうか」

参考図18

参考図18

五藤先生「参考図18の白1のヒキには、黒2から黒4とワタる手があって難しそうです」

聞き手「白は実戦では70とコスミましたが、サガる方が手厚かったでしょうか」

五藤先生「はい、そうですね」

実戦図80

実戦図70-80

五藤先生「実戦の白80となっては、白70は黒71が利いてしまったので白78にあった方がよかったでしょう。ここで黒69のミスをだいぶ取り戻せました」

聞き手「形勢はどうでしょうか」

五藤先生「地合が足りないので、右辺のウスみをついていくなど、何かしなければならないな、と思っていました」

 実戦図81

実戦図80-81

聞き手「実戦の黒81はとても迫力のある手ですね」

参考図19

参考図19

聞き手「参考図19の白1のマガリにはどうしますか」

五藤先生「黒2から白3と出られても、黒4で右辺の白がウスくなれば黒は良さそうです」

参考図20

参考図20

五藤先生「参考図19のあと白1と守っても、黒2とサガリが利いて黒6となれば、右上と右辺にそれぞれ少し地がついて黒が良くなってきます」

聞き手「ということで、参考図19の白3の出は怖くないのですね」

 参考図21

参考図21

聞き手「白が82で参考図21の白1と出ればどうしますか」

五藤先生「参考図21の黒2とオサエて以下黒12となり、かなり難しそうです。参考図の黒12でAとツケるのは白B、黒C、白Dで取られてしまいます」

参考図22

参考図22

五藤先生「参考図21から、参考図22の白1なら黒2として、白3なら黒4、白4なら黒3と見合いになります」

参考図23

参考図23

聞き手「参考図22の白1で参考図23の白1とくれば、黒4までピッタリ取れていますね」

参考図24

参考図24

聞き手「参考図24の白1では」

五藤先生「図のように進んで、黒はAとBが見合いです」

聞き手「20秒で判断するのは難しいですね。NHK杯は秒読30秒の他に1分の考慮時間が10回あるのですが、秒読20秒だけではかなり過酷です」

 実戦図85

実戦図81-85

聞き手「右辺の出がうまく行かないので、白は82、84としましたが、黒85が厳しい手でした」

参考図25

参考図25

五藤先生「実戦の白84では、参考図25の白1が良かった。例えば黒2とすれば、白5となって右辺黒の下があいてしまうので、これなら地合も良いので白が有利に進められたでしょう」

聞き手「白は下辺のウスみを軽視していたようですね。黒85のツケは厳しかったですね」

実戦図87

実戦図85-87

質問「黒85から87は狙っていたのですか」

五藤先生「はい、実戦の黒83(△)のマガったあたりから狙っていました」

実戦図97

実戦図87-97

五藤先生「黒は先手で切ることができたので、中央の白はかなり危険な状態です」

参考図26

参考図26

五藤先生「下辺の白もウスい形をしていて、参考図の黒1からコウにして黒7とする手があります」

聞き手「下辺の白はそれほど地がなくて、さらに中央も危ないので、黒はかなり良くなりましたね」

五藤先生「白の中央と下辺が切れたところから、白が少しずつ崩れてきたので、優勢を意識していました」

参考図27

参考図27

五藤先生「対局中は、実戦の黒97で参考図27の黒1とすると、白2から4として、中央の白は二眼できそうです」

実戦図101

実戦図97-101

五藤先生「実戦の黒101ブツカリでは、単に99の上にツナイだ方が良かったです」

 参考図28

参考図28

五藤先生「黒101とブツカリを打ったので、参考図の黒1とし、あとで黒△と白を咎める手がなくなってしまいました」

実戦図106

実戦図101-106

聞き手「白が生きるには、ややスペースが足りなさそうです」

五藤先生「白は生きてもかなり制限される上に、下辺のコウや左辺を黒から先手で打たれたり、黒が優勢に進めることができます」

実戦図111

実戦図106-111

参考図29

参考図29

五藤先生「実戦の黒111となって、白は参考図29の白1で確実に生きますが、黒からAやBなどの狙いがあっては劣勢になってしまいます」

実戦図113

実戦図111-113

五藤先生「白は112と頑張りましたが、黒から113とされて、目が厳しくなってきました」

参考図30

参考図30

五藤先生「白は参考図30のように黒Aから白Bと2子を捨てれば生きはありますが、これでは辛い」

聞き手「この白2子が取られてしまうと、左上の黒に対する利きもなくなってしまいますね」

実戦図115

実戦図113-115

聞き手「そこで白は114と頑張りましたが、黒115のツケが厳しかったですね」

第3譜

第3譜(80―121) 黒中押し勝ち

洪先生「白84は92に打つのが正しかった。黒85から89で分断できては黒が一気にリードした気がします。黒97で白は眼を作るのが厳しくなりました。黒97では102も考えられますが、白97に打たれてしまうのでここは急所だと思いました。黒99は100にハネて、もっと強く攻めるべきでした。少し緩くなり白104・106・108を打たれて112手になったときは、白が小さく活きる形になりました。白114はAで生きる一手でしたが、黒115に打たれては、大石が取られて黒勝ちになりました」

五藤先生「はじめての公開対局でとても緊張しました。良い結果となりとても嬉しかったです。これからも精一杯努力していきます!」

 

  ハイライト

ハイライト

洪先生「黒のこの一手(黒△)からの反撃が良かったです。眞奈はじっくり守りの碁が多いのですが、怒るときは怒ります。どんなこともそうですがやる時はとことんやるのが大事だと思います。眞奈は積極的になるのがこれからの成長のカギです。いつも積極的に自分の力と行動に自信を持てるよう、毎日の勉強が大切です。頑張りましょう!」

 

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著者略歴

  1. 洪 清泉

    1981年12月30日生 韓国済州出身
    1993~1997年 韓国棋院院生として修行
    1999,2001年 アマ国手戦優勝(韓国代表決定戦)
    2004年 鳳凰杯プロアマオープン優勝
    2007年 全日本アマチュア名人戦 優勝
    2008年 全日本アマチュア本因坊戦 優勝
    2009年 関西棋院試験碁合格 関西棋院入段
    2013年 二段
    2014年 NHK杯出場
    2015年 棋聖戦Cリーグ進出
    2016年 天元戦本戦進出
    2016年 三段
    2016年 碁聖戦本戦進出
    2017年 天元戦本戦進出
    2017年 NHK杯出場
    2018年 NHK杯出場
    2019年 四段

  2. 五藤 眞奈

    2001年12月13日生 東京都出身

    2018年 入段

    日本棋院東京本院所属

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