岩田紗絵加初段の心の一局(2)秒読みは強気で
実戦図29-30
岩田先生「実戦では30としました。左下の三三や両ガカリは相手が待ち構えていそうだなと思っていました」
実戦図30-34
岩田先生「白としては、右上から右辺の厚みを利用して左辺の黒石を攻める準備です」
実戦図34-37
岩田先生「黒37のコスミツケは白を強く攻撃しようとする意志を感じます」
参考図13
岩田先生「参考図13のように、黒は白2とされても嫌ではないので黒1と中央に向かう手も考えられます。相手の方は力戦が得意な棋風なのでツケを選ばれたのでしょう」
実戦図37-42
岩田先生「実戦の42は」
参考図14
岩田先生「参考図14の白1では黒2とされたときに次の手の候補がAやBではやや窮屈に感じたからです」
参考図15
岩田先生「参考図15の黒1とされても白は2でツナガっています」
参考図16
岩田先生「実戦の白42(参考図16の△)と打ったときは後に参考図のAが狙いです」
実戦図42-46
岩田先生「実戦の黒45となったところで、白からのツギの手が難しかったです。左辺中央の黒の一団を厳しく攻められるかというとそうでもないし、右側の白の厚みに大きな地がつくかというとそれほどでもない」
参考図17
岩田先生「例えば参考図17の白1とすると、黒2と守られて左下隅が黒地になってしまいます。ここは後に三三などの手を残しておきたいし、黒から1と来てもやはり三三に手が残っています。また今三三に入るのは黒がアツくなって外側の白が弱くなってしまいます」
岩田先生「実戦の46は対局中は、迷っているうちに時間が過ぎて打ってしまいました」
実戦図46-48
岩田先生「白46では単に48としておくべきでした」
実戦図48-51
参考図19
岩田先生「実戦の黒51で参考図19の黒1なら白2と封鎖するつもりでした。実戦のようになって右側の白に余裕ができました」
第2譜(51-100)
岩田先生「白52は気合の一手で白のウスみを補強するための手筋です。白60から62は狙っていた手です。白70では、67の左に割り込みも考えましたが、この戦いは自信がなかったので実戦のように白74まで左中央の白を補強し、白76の三三入を狙いました。黒87では92のように中央に打たれる方が嫌でした。白96に切っては白が良くなったと思いました」
洪先生「白28、30は紗絵加のスタイルを感じられる積極策です。戦闘力抜群な紗絵加の碁はとても魅力的です」
実戦図51-52
岩田先生「ここでは左辺の黒はやや薄く、狙えるかもしれないと思い左上の白を厚くしようと白52とツケました。反発されるかもしれないとは思いましたが、黒も薄いので対応できると考えていました」
実戦図52-60
岩田先生「白52の強気のツケに気合い負けしたわけではないのでしょうが黒53と石が下に行ったので、白が厚くなったところで白60と様子を聞きに行きました」
実戦図60-63
参考図20
岩田先生「実戦の63で参考図20の黒1は白2が先手なので黒3はやむを得ず白4と切り離されてしまいます」
実戦図63-67
岩田先生「黒はやむなく63と二目にして捨てます」
参考図21
岩田先生「実戦の67では黒は参考図21の1としたかったのかもしれませんが、私の強気にデギリを警戒されたのでしょうか」
聞き手「実際にデギリが成立しそうですね」
岩田先生「確かに下辺が援軍になっていますので参考図のようにデギったかもしれません」
(つづく)