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洪道場の白黒さんぽ

岩田紗絵加初段の心の一局(4)思いがけず届いたメール

 実戦図114

実戦図112-114

参考図32

参考図32

岩田先生「実戦の114では参考図32の白1の方が厚い。対局中は地が得だと思っていました。112といい114といい勝ちを意識しはじめて少し手元が狂っています」

実戦図118

実戦図114-118

参考図33

参考図33

岩田先生「実戦の118でも参考図33の白1と手堅く打っていれば勝ちがあったのですが、突然いろいろやってみなくなるという、これは『ちょっとやりたくなってしまう病』なんです(笑)」

実戦図124

実戦図118-124

参考図34

参考図34

岩田先生「少しずつ損をしているのですが、黒を取れれば勝ちなのです。ところが私は勘違いをしていて参考図34のように黒1から3とツイで、大丈夫だと思っていた白の手数が意外に少なかったのです。120の出から切っていったのは敗着になっていてもおかしくなかったのです」

実戦図133

実戦図124-133

参考図35

参考図35

岩田先生「右辺の攻め合いなのですが両対局者ともに秒読みです。実戦の黒133で参考図35の黒1を決めていれば黒が勝っていました。この手は一見自分のダメを詰める手なので秒読みの中では怖くてなかなか打てません」

実戦図135

実戦図133-135

参考図36

参考図36

岩田先生「実戦の135でもまだ参考図36の黒1でよかったのです。白2から黒3となって見るからに白が悪い」

参考図37

参考図37

岩田先生「白は参考図36の白2とするしかないのですが、黒7まで先手をとられてAも打たれてしまいます。しかし実戦では黒は筋の良さが故にでしょう135と打たれました」

実戦図138

実戦図135-138

岩田先生「対局中は135で137を決めずに135と打ってくれるように願っていました。秒読みの中では攻め合いの勢いというものがあるので、ここまで137を決めてこなかったから135と打ってくれるのではないかと」

参考図38

参考図38

岩田先生「参考図38の黒△に打ってくれて右辺がなんとかなればAにまわって勝てそうだなと計算していました」

聞き手「そのへんで悪いのはわかっていたのですね」

岩田先生「133でもう悪いなと、なにかどこかで逃げ道がないかと計算しながら打っていましたが、その道が見つからなくて。実は134は確信犯で黒に135と打って欲しくて打ちました」

実戦図142

実戦図138-142

岩田先生「実戦の138と取ったところで残りそうだと思いました。損を続けたのですがそれ以上に優勢だったのです。局後の検討では、やはり秒読みの攻め合いの中で一手ダメを詰める気にはなれなかったそうです」

実戦図148

実戦図142-148

参考図39

参考図39

岩田先生「実戦の143は、この段階では地合いの勝負になっていますので参考図39の黒1とした方が細かかったように思います。白は144から146と紛れをなくし148と打てて左上の白が死ななければ残りそうです」

実戦図154

実戦図148-154

岩田先生「黒は153で二目を助けたのですが、149を取られたり左辺にできる地がなくなったりと、あまり得はしていません。形勢が悪いと思って白を取りにきていたのかもしれません」

 実戦図170

実戦図154-170

参考図40

参考図40

岩田先生「実戦の170で参考図40の白1といっぱいに頑張ると目が怪しい」

実戦図186

実戦図170-186

岩田先生「黒は177と目を取りにきましたが、186のノゾキが先手なので先に左辺で少し得をして186としました」

実戦図192

岩田先生「190とツナガッたところで心臓がバクバクして手が震えました(笑)。上辺の白一段が生きているとは思っていたのですが勝ちを意識して心配で心配で(笑)」

参考図41

参考図41

岩田先生「参考図41の黒1ツケに白2では黒3から5というトラップが潜んでいるのです。ここは白2で5ですね」

 

 第4譜

第4譜(151-266)

岩田先生「白190まで繋がっては白の勝ちが確定しました」

  

聞き手「おかげ杯はどのような棋戦ですか」

岩田先生「最初に出場したのが第9回でしたが、本局は第10回の記念大会で前日に100面打ちなど普段経験できないことができてよかったです。また伊勢神宮からおかげ横丁の町並みがとても美しく、30歳までは出場できるのでなんとか続けて参戦したいと思っています」

岩田先生「でも私が行くと1日は雨が降るという雨女なんです。そういえば今日も雨ですね(笑)。虎丸君も雨男らしくて虎丸君と対局した日は土砂降りでした(笑)」

岩田先生「この碁はおかげ杯の本戦一回戦でしたが、今まで関西棋院の女流がおかげ杯の一回戦を勝ったことがなかったので、ここはとっても勝ちかかったのです。この碁が終わってから師匠の石田芳夫先生からメールで『強くなったね』と褒めていただきました。直接褒めていただいたのは初めてだったので、それがとても嬉しかったです」

  

洪先生「紗絵加は小6のときから道場へ来て勉強しました。当時からとても強かったのですがプロ試験はとても難しい関門でした。次点を3回するという辛い経験もしました。私は辛いことが悪いとは思いません。辛いからこそ大きなことを学べます。紗絵加が今までの経験を活かしてまっすぐ勉強していけばきっと良いことがたくさんあるでしょう。心いっぱい応援しています」

  ハイライト

ハイライト

洪先生「紗絵加の碁は華麗で凄まじい攻撃力が見事です。思い切ったこのツケは、紗絵加の強さが感じられる一手です。強力な手を好みますが、以前より柔軟さも補強されてこれからがとても楽しみです。プロになってからいろんな経験を積んでいるので着実に強くなっています。大きな夢がある紗絵加のことをいつも応援しています。自分のスタイルを貫いて頑張りましょう」

 

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著者略歴

  1. 洪 清泉

    1981年12月30日生 韓国済州出身
    1993~1997年 韓国棋院院生として修行
    1999,2001年 アマ国手戦優勝(韓国代表決定戦)
    2004年 鳳凰杯プロアマオープン優勝
    2007年 全日本アマチュア名人戦 優勝
    2008年 全日本アマチュア本因坊戦 優勝
    2009年 関西棋院試験碁合格 関西棋院入段
    2013年 二段
    2014年 NHK杯出場
    2015年 棋聖戦Cリーグ進出
    2016年 天元戦本戦進出
    2016年 三段
    2016年 碁聖戦本戦進出
    2017年 天元戦本戦進出
    2017年 NHK杯出場
    2018年 NHK杯出場
    2019年 四段

  2. 岩田 紗絵加

    1997年1月9日生まれ 東京都出身

    2017年 入段
    2018年 おかげ杯 本戦進出
    2019年 会津中央病院・立葵杯 本戦進出
    2019年 おかげ杯 本戦進出
    2020年 女流本因坊戦 本戦進出
    2020年 会津中央病院・立葵杯 本戦進出

    関西棋院所属
    石田芳夫九段門下

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