岩田紗絵加初段の心の一局(1)ちょっと風変わりな棋風
岩田紗絵加初段から皆様へ
関西棋院初段の岩田紗絵加です。
今回は白黒さんぽにお申し込みくださいましてありがとうございます。短い時間ですが、皆様と有意義な時間を過ごしたいと思っております。そしてこの機会に是非、関西棋院の棋士にも興味を持っていただければと思います。よろしくお願いいたします。
洪から紗絵加へ
紗絵加は16番目の道場出身棋士です。プロ棋士の手合も大学での勉強も頑張っています。英語や韓国語もできるのですごいな、と感じています。親和力が高くて友達もたくさんいます。囲碁界にとって貴重な存在です。
手合のときは大阪へ向かいますが、移動が多く心配もあります。いつも健康に気をつけて欲しいです。良い健康から良い手も生まれるでしょう。
この間、香港の友達を道場に連れて来てくれて嬉しかったです。囲碁を通して世界の人々と交流ができることは素晴らしいことだと思います。紗絵加が囲碁で世界を繋げる、そういう役割を果たしてくれたら良いなと思います。
もちろんタイトルも取って下さい。いつも心いっぱい応援しています。
2019年5月14日
第10回おかげ杯本戦1回戦
白 岩田紗絵加 初段
黒 大谷 直輝 三段
持時間なし 1手30秒
1分の考慮時間10回
編集注:棋譜は岩田先生(白番)から見た図となっています
第1譜(1-50)
岩田先生「黒9から11は最新流行の定石です。昔は黒9のノゾキは悪手と言われましたが、AIの影響で今は利かしと見る人が増えています。白18は最近あまり見かけませんが、私の棋風に合っていると判断しました。白30から戦いに持ち込みました。白34は黒より速く進め左辺の黒を狙う作戦です」
実戦図1-4
岩田先生「布石は白番なら二連星とほぼ決めています」
参考図1
岩田先生「黒が参考図のように小目なら、すぐにカカリます」
実戦図4-18
参考図2
岩田先生「実戦の18では参考図2の1とツグのが普通だと思いますが白△を活かすため18としました」
参考図3
聞き手「ツケてハサむのはどうでしょう」
岩田先生「それもあるのですが黒4とされた図は白にとって右辺の発展性が望めません。私は発展性を重視する棋風なので実戦図を選びました」
参考図4
岩田先生「実戦の黒13で参考図4の1のコスミには、今度は白2とツケます。白は一間バサミの攻撃ができるので嬉しいです」
実戦図18-20
聞き手「ここまで白の思惑通りですか」
岩田先生「どちらがどうということもなくバランスが取れていて、お互いの意思を通したという感じです」
実戦図20-27
岩田先生「この場面27では相手の大谷三段もどこにシマリを打つか悩んだとおっしゃっていました。27の反対側、広い方にコゲイマジマリが普通かもしれません」
実戦図27-29
岩田先生「最近は29の三間高バサミが多いようですね。AIの影響でしょう」
参考図5
岩田先生「参考図5は一間バサミからの定石ですが、黒1が左辺の星にあった場合」
参考図6
岩田先生「参考図6のようにさらに1と一手かける値打ちがあるからです」
参考図7
岩田先生「参考図7のように、黒からハサむ石がなくてもAにツグことはなくなりました」
実戦図27-29 (再掲載)
聞き手「最近はまた一間にハサむ方が多いようです」
岩田先生「29に打たれると白としては対応する手が漠然としているからでしょうか」
参考図8
岩田先生「参考図8の1のカカリに黒がもしシチョウが良いときには黒10までの変化もあります」
参考図9
岩田先生「ちょっと手数はながくなりますが参考図9となり、黒22まで壁ができて白が少し嫌かもしれないですね」
参考図10
岩田先生「参考図9の白15では参考図10の15とツメる手もありますが、黒22まで少し黒が厚い気がします」
参考図11
岩田先生「参考図11の白13と下をハネてシンプルに渡る手もあります」
参考図12
岩田先生「黒がシチョウが不利な場合は参考図12の黒12までの変化もあります。左辺が厚くなるので黒も打てると思います」
実戦図27-29 (再掲載)
岩田先生「実戦の29の後、白からハサまれるのが嫌なら黒は29では28に近づける方が良いでしょう」
つづく