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洪道場の白黒さんぽ

福岡航太朗初段の心の一局(3)「若き勝負師」

 実戦図47

実戦図47

参考図28

参考図28

福岡先生「ここで、黒はAと打つのもあるんですが、打ち方がわからなくて実戦の黒47にいきました」

聞き手「ここはハネだけでワタれているのですか。参考図のように白からオサエたりして」

福岡先生「黒2と切って白3に黒4とサガって」

 参考図29

参考図29(黒6は8の十八)

聞き手「前図のあと、白1とヌイて、白5と逆に黒をとれそうなんですが、詰碁の手筋ですね。これがあるから黒ワタれてる」

参考図30

参考図30

福岡先生「振り返って参考図30の白5とすれば、白7までとなり、中央の黒のアジが悪いので白よかった」

実戦図49

実戦図49

福岡先生「黒は右下隅をサガリましたが、実戦図のようにAやBもあります」

 参考図31

参考図31

聞き手「できたら、参考図右下と中央の白の両方を攻めたいのですが」

福岡先生「参考図31の黒1以下の図も考えたのですが、白ツケヒキから白6と入られて、黒は右下隅の実利を減らされて右辺も入られて、黒からは白に適当な手段がありません」

 参考図32

参考図32

聞き手「実戦の右下隅星からのサガリも、カタすぎるような気がしたのですが」

聞き手「大事な一局だから、慎重にいったという感じですか。緊張はしませんでしたか」

福岡先生「緊張はしませんでしたが、今見るとちょっとカタ過ぎかなと思います。Aあたりに、もうちょっと大きくいってもよかった」

 総譜2

総譜51~100

洪先生「黒51のボウシを白52が上手くかわしました。右辺を渡りましたが少しやられた気がします。白60が失着で62が軽くて良い手でした。黒75では15の十五のキリも良かったです。白78からの切断は勝負手です。白96で97は先手ですが下辺の味が消えるので打たなかったです」

 実戦図51 

実戦図51

 参考図33

参考図33

福岡先生「黒はずっとカタく打っていたので、ここは上からいきました」

参加者「黒は怒りだしたね」

聞き手「ぜんぜん緊張してないじゃないですか。元気いっぱい」

福岡先生「参考図白1のコスミで逃げると、黒2、白3、黒4.」

聞き手「プロ入りがかかった対局でこれだけどんどんいけるのは、なかなかたいしたものです」

 参考図34

参考図34

聞き手「プロ入りがかかったような大切な対局だと、ついつい黒1のような安全な手をうち、参考図34のように無難な手をうちそうですが、これはちょっと良くないのですね」

福岡先生「これはちょっと、消極的すぎますね」

参加者「わかりやすい手だけどね」

参考図35

参考図35

福岡先生「白52で参考図35の白1のコスミで逃げるのは、白が全部生きていないので、ちょっとムリです」

 実戦図55

実戦図55

福岡先生「黒55は若干妥協しました」

 実戦図61

実戦図61

 参考図36

参考図36

福岡先生「実戦は黒59に白60とオシて黒61のハネに白もハネたのですが、結論的には白60では参考図の白1のケイマにすれば、実戦と同じようにキリにいっても、白7まで黒4と6の2子が取られてしまうので、白1にすれば黒からすぐには今のところは打たなかった」

 

総譜150

総譜101~150

洪先生「黒5から楽観していました。もっと上辺を牽制するべきでした。黒121のときに白122が良い受けで白地が大きくなり過ぎて少し悪くなりました。黒127は勝負手で白は129にハネて最強で変化するべきでした。実戦のように緩んでは黒に流れが戻りました。白144が敗着で145にヨセたら白が少し良かったです」

 

 実戦図101

実戦図

福岡先生「下辺の黒がウスイので、黒101(△)と打ちました」

 参考図37

参考図37

福岡先生「白は右下に一眼できて、ここで白から参考図白1とすると、生きるんですが」

 参考図38

参考図38

福岡先生「あとで黒から参考図38の黒1に打って白2となると、右下隅から中央の白石は一眼だけで全体は生きていませんが、白が右下に8目黒の地をとったので、少し白が得をしたかなと思いました」

104

実戦図

聞き手「104手まで、ここでの形勢は?」

福岡先生「右辺をうまくやりましたが、下辺がウスくなったのでいい勝負です」

 105

実戦図

参考図39

参考図39

聞き手「実戦図黒105では、参考図39の黒1が上辺の白を制限して大きそうに見えますが」

福岡先生「実戦ではちょっと実利に走っちゃったのですが、参考図の白2のオサエに黒3となれば、これなら黒がやれてたかなと」

福岡先生「黒105と打てば、白が左辺に行けないから大丈夫かなと思ったのですが、つぎの白106がすごく大きかったんです」

 107 

実戦図

福岡先生「実戦は黒107といってしまったのですが、これだとちょっと動きがおかしくて、参考図の白106(△)に先着していれば中央の白を攻められたのですが」

聞き手「ここで、黒107と打てるあたり、辛抱がいいね」

参加者「勝負師だね。強いね」

聞き手「普通は、黒105(□)といった手前、Aあたりからどんどん行きたくなるのですが、ここでこの落ち着きは大人の余裕ですか。何歳でしたっけ」

福岡先生「(少し照れながら)13才です」

聞き手「13才でこの手(黒107)は、将来が楽しみです」

 

次回「素晴らしい勝負根性」

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著者略歴

  1. 洪 清泉

    1981年12月30日生 韓国済州出身
    1993~1997年 韓国棋院院生として修行
    1999,2001年 アマ国手戦優勝(韓国代表決定戦)
    2004年 鳳凰杯プロアマオープン優勝
    2007年 全日本アマチュア名人戦 優勝
    2008年 全日本アマチュア本因坊戦 優勝
    2009年 関西棋院試験碁合格 関西棋院入段
    2013年 二段
    2014年 NHK杯出場
    2015年 棋聖戦Cリーグ進出
    2016年 天元戦本戦進出
    2016年 三段
    2016年 碁聖戦本戦進出
    2017年 天元戦本戦進出
    2017年 NHK杯出場
    2018年 NHK杯出場
    2019年 四段

  2. 福岡 航太朗

    生年月日 2005年12月22日
    出身地  東京
    日本棋院東京本院所属

    2014年 子ども棋聖戦 低学年優勝
    2015年 少年少女名人戦 準優勝
    2016年 子ども棋聖戦 高学年優勝
    2017年 ジュニア本因坊 優勝
    2018年 冬季採用試験2位 入段

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