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洪道場の白黒さんぽ

姚智騰六段の心の一局(1)「AIに聞いてみた」

姚智騰六段(取材当時五段)から皆様へ

「白黒さんぽ」を通じ、棋士を身近に感じていただければ嬉しいです。

本日は、新人王戦で藤沢里菜女流三冠と対戦した碁を解説いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

 

洪先生から智騰へ

 智騰は7番目の道場出身棋士です。台湾から道場に来たときには、まだ日本語がうまく喋れませんでしたが、その後、智騰は毎日努力して日本語はもちろん入段もできました。特にご家族とお母様の献身的なサポートがあってこそ今の智騰がいると思います。いつも感謝する気持ちを忘れずに頑張って下さい。今は一人暮らしなので一番心配なのは食事です。体を大切にして下さい。人との交流も増やして、智騰の魅力を伝えましょう。まずは日本の頂点を目指して頑張りましょう!

 

2019年4月11日

第44期新人王戦本戦2回戦

白 藤沢里菜 女流本因坊

黒 姚 智騰 五段(対局当時)

持時間3時間 5分前から60秒5回

 

 第1譜

第1譜(1-40)

洪先生「白8のツケは最近は普通の定石のようになりましたが、まわりの状況を見て打って下さい。黒は19、31の足早三三で地を取っています。白は必然的に厚くなり地と厚みの対抗になりました。白40までは互角の進行です」

 

参考図1

参考図1

聞き手「最近は参考図1の黒△の大ゲイマシマリがよく打たれるようになりました」

姚先生「私は小ゲイマシマリは少し狭すぎるように感じたのですが、図のAでもBでも好きな方を自由に打って良いでしょう」

実戦図1

実戦図1-8

姚先生「最近は8とツケる手を当たり前に見るようになりました。藤沢先生はノータイムだったので研究済みだったのかもしれません」

実戦図8

実戦図8-17

姚先生「ここで一段落です」

実戦図17

実戦図17-22

姚先生「19の三三は最初は少し抵抗があったのですが今は慣れました」

聞き手「私は三三に入ってくれたら嬉しく思うのですが」

姚先生「三三以外の打ち方が悪いというわけではないのですが、最近あまり見かけない形を打たれると嫌です(笑)」

実戦図22

実戦図22-31

姚先生「また三三に入りました」

聞き手「三三が大好きなのですか?」

姚先生「いや、個人的には嫌なのですがみんなが打っているので打たないとおかしいかな、と思って(笑)」

聞き手「検討のときに指摘されてしまうのですか(笑)」

実戦図31

実戦図31-40

聞き手「白模様の荒らし方が難しいですね。私は厚みが好きなので、この場合どうやって荒らせば良いのか...」

実戦図40

実戦図40-41

参考図2

参考図2

姚先生「実戦では41のノゾキでしたが、参考図2の1辺りが良いといわれました」

聞き手「対局後の検討でですか」

姚先生「AIにいわれました(笑)。ですが星の周辺に目が行くので、ここはちょっと気づきにくい。ノゾキも普通です」

実戦図41

実戦図41-42

姚先生「白42と2間に跳びましたが」

参考図3

参考図3

姚先生「参考図3の1が良いということです」

聞き手「AIですか」

姚先生「はい、勝率が最も高い。ですが実戦でも勝率はほとんど変わりませんでした」

 

 

 

 第2譜

第2譜(41-78)

洪先生「黒41は様子見です。白ももちろんツイではくれませんが実に悩ましい場面です。黒43は45の切を見て援軍を作る美しい石運びです。

黒51はAに打つべきでした。白3子を圧迫しながらの戦いが実戦より良かったです。黒55のようなツケはぴかぴか光る発想です。智騰の特徴で小さいときから自分で考える能力がとても高かったのです。

白56、58は気合で一本道です。白78まで一段落で、形勢は互角です」

  

 

 実戦図42

実戦図42-44

姚先生「実戦では43の大ゲイマに対し44とされました。打たれてみると良い手です」

参考図4

参考図4

姚先生「参考図4の1と小ゲイマかAと固く一間もありました」

実戦図44

実戦図44-47

参考図5

参考図5

姚先生「実戦の47で参考図5の1とするのは、白は右下隅にコウ材があるのですぐには無理です」

実戦図47

実戦図47-51

参考図6

参考図6

姚先生「実戦では51としましたが参考図6の1が良い手で、黒2子は取られますが先手で9にまわれば左辺の白の厚みの働きが多少制限されてきます。これなら黒の勝率は59%ほどです」

参考図7

参考図7

姚先生「参考図7のように白が2子を取らずに押した場合、右下隅の白の効率が悪くなり、左辺も13で厚みを多少制限されるので、あまり良くはありません」

参考図51

実戦図51-52

参考図8

参考図8

聞き手「実戦では52に跳びましたがAに行きたくなりますが」

姚先生「将来参考図8の白△が来れば、1から3と目を奪いに行くことができるからです」

実戦図52

実戦図52-55

聞き手「実戦は55とツケましたが他にはどういう手があるでしょう」

参考図9

参考図9

姚先生「参考図9の1のマガリから11となってみれば実戦より良かったかもしれません」

参考図10

参考図10

姚先生「参考図10の白4切りには5から7で黒△とツナガってきます。実戦の白52を見て参考図6の1にしておけばよかったと後悔していました(笑)」

参考図6

参考図6 [再掲]

姚先生「実戦の51は53のノゾキを打ちたかったからです。参考図6のように黒2子を取られてからでは53とノゾイてもツイでくれません。このときは左辺の白地が大きく見えたのでノゾキは打ちたかったのです」

 

つづく

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著者略歴

  1. 洪 清泉

    1981年12月30日生 韓国済州出身
    1993~1997年 韓国棋院院生として修行
    1999,2001年 アマ国手戦優勝(韓国代表決定戦)
    2004年 鳳凰杯プロアマオープン優勝
    2007年 全日本アマチュア名人戦 優勝
    2008年 全日本アマチュア本因坊戦 優勝
    2009年 関西棋院試験碁合格 関西棋院入段
    2013年 二段
    2014年 NHK杯出場
    2015年 棋聖戦Cリーグ進出
    2016年 天元戦本戦進出
    2016年 三段
    2016年 碁聖戦本戦進出
    2017年 天元戦本戦進出
    2017年 NHK杯出場
    2018年 NHK杯出場
    2019年 四段

  2. 姚 智騰

    1998年1月31日生まれ 台湾出身

    2012年 入段
    2013年 二段昇段
    2013年 第15回農心心ラーメン杯世界囲碁最強戦 日本代表
    1014年 中国丙級リーグ参加
    2015年 新人王戦本戦進出
    2016年 天元戦本戦進出 三段昇段 イベロジャパン杯4位 若鯉戦本戦進出
    2017年 グロービズ杯世界囲碁U-20日本代表 四段昇段 竜星戦本戦進出 広島アルミ杯・若鯉戦準優勝
    2018年 新人王戦本戦進出
    2019年 新人王戦本戦進出 五段昇段
    2020年 六段昇段

    日本棋院東京本院所属

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