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同時通訳者・橋本美穂の「英語にないなら作っちゃえ!」

橋本美穂は「病は気から」をこう表現した!

2019年4月号から始まった連載『同時通訳者・橋本美穂の「英語にないなら作っちゃえ!」』は、読者参加型企画として、皆さんと一緒に「新しい英語」を作っていくコーナーです。

2021年4月号からは誌面もリニューアルし、橋本美穂さんの特別音声解説も付いて、さらにパワーアップしました!

4年目を迎えたこの企画、ぜひ皆さんもチャレンジしてみてください!

 

さて、今回のお題は…?

お題:「病は気から」

スペンサー倫亜さん(埼玉県)
You heal as you feel.
理由:ポジティブなメッセージとしてとらえて、韻を踏んで軽やかに表現しました。

はるさん(千葉県)
The thermometer brings fever.
理由:体温計で測ったら、熱がなくても病気の気になってしまうイメージ。

フジコさん(神奈川県)
mood poisoning
理由:不機嫌は体にも毒です。

ともあきさん(東京都)
A smile brings you good health.
理由:Laughter is the best medicine.(笑いは最高の良薬)の慣用表現をヒントに、シンプルに表現してみました。

Danyさん(東京都)
Anxiety can cause disease. 
理由:ここでいう”気”がどういう意味か考えると、病気への恐れや不安だと思い、anxiety を使いました。

Shpookyさん(神奈川県)
Worms eat sprout and spirit.
理由:苦悩も意味するwormが元気を奪う様子を表すのに加え、sproutで虫の感じも出してみました。

いかりんぐさん(奈良県)
The ill depends on your will.
理由:illとwillの語呂がいいのと、必ずと言っていいほど面と向かって使う言葉なのでyourを使いました。

ahoudoriさん(広島県)
A sound mind knows no illness.
理由:「病は気から」から。


さて、橋本美穂さんは一体どのように「病は気から」を表現したのでしょうか?

 

私ならこうしちゃいます

 

Perception drives illness.

既存の表現にFancy may kill or cure. がありますが、かなり古めかしいですし、killがちょっと極端なので、新しいのを作っちゃいましょう!その際、医学的に間違った表現にならないよう配慮が必要です。「病気をどう捉えるか、感じるか」ということを表す illness perceptionという言葉があるように、perceptionは「捉え方、感じ方」ですから、このまま使えそうです。次に検討すべきポイントとして、日本語の方で明言されていない「病は気から」の後に来る動詞はどのように補完しましょうか。気の持ちようだけでは治らない病気もあるわけですから、間違っても illness comes from perception、perception can “cure”  illnessなどと言ってはいけません。そこで、driveというあえて医学的でも科学的でもない抽象度の高い単語を入れることで、あくまでことわざであることを明示しています。このdriveは多くの意味があり、ワイルドカードのように変幻自在の単語ですが、ここでは気の持ちようで良くも悪くも体調を「動かす」ことができるというニュアンスにしました。しかし実際、体調が悪いと思い込んでしまった日にはストレスで呼吸が浅くなったり、お腹が痛くなったりしますよね!そのような軽い症状にも使えますし、病気を抱えている方への励ましの言葉にも使っていただけたら嬉しいです。

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著者略歴

  1. 橋本美穂

    アメリカ合衆国テキサス州ヒューストンで出生。東京都で幼少期を過ごし、6歳で再び渡米。サンフランシスコにて小学校時代を過ごし、帰国後は兵庫県神戸市で中学・高校時代を過ごす。慶應義塾大学総合政策学部卒。

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