橋本美穂は「キレッキレ」をこう表現した!
2019年4月号から始まった連載『同時通訳者・橋本美穂の「英語にないなら作っちゃえ!」』は、読者参加型企画として、皆さんと一緒に「新しい英語」を作っていくコーナーです。
2021年4月号からは誌面もリニューアルし、橋本美穂さんの特別音声解説も付いて、さらにパワーアップしました!
4年目を迎えたこの企画、ぜひ皆さんもチャレンジしてみてください!
さて、今回のお題は…?
お題:「キレッキレ」
ナルルさん
spark a sparkle
理由:輝く印象があるから。
むっくさん(東京都)
joints-spinning
理由:関節が自由自在!という驚きをそのまま表現しました。
はるさん(千葉県)
dancing like a cheetah
理由:チーターのようなキレのある素早い動きでダンスするイメージ。
かおりんさん(青森県)
do the Michael
理由:キレッキレといったら、もうマイケル・ジャクソンしかいない!
Marco Polo blueさん(ロンドン)
lightning motion
理由:素早さを稲光で表現しました。
MMさん(熊本県)
ankle breaker
理由:バスケで相手を抜いた時に、相手が体勢を崩すくらいすごい動きをキレッキレと思ったから。
Nekoさん(愛知県)
quick, clear and jazzy
理由:動きが素早くはっきりしているがロボットっぽくないということを表現したかった。
ハム太さん(大阪府)
edgy-edgy
理由:文字通りキレッキレだから。
さて、橋本美穂さんは一体どのように「キレッキレ」を表現したのでしょうか?
私ならこうしちゃいます
oni-sharp
今月はオノマトペです! 語呂が良いのでリズム感が出て、情景がパッと伝わる便利な表現方法ですよね。繰り返すことによって強調していますが、アッツアツ(so hot)、サラッサラ(so smooth)、くったくた(so tired)、予定や予算がパッツパツ(so tight)、あるある(so classic)といった具合に、so やveryをつければ簡単に訳せます。しかし「キレッキレ」の難しさは意味が複数あることです! 私が知っているだけでも①頭が切れる、②キレのある動き、③キレの良い辛口酒、④激怒、と少なくとも4つはあり、全てに当てはまる共通語は見当たりません。①と②は sharpですが、③は dry、④は angryですよね? しばらく頭を抱えましたが、やはり正しい対応は文脈に応じてそれぞれ訳し分けることでしょう。次に、oni(鬼)をそのまま使った理由ですが、kawaii が既に英語になっているように、鬼ムズ、鬼うま、鬼カワイイといった最近の使い方を活かし、oniという日本語を輸出したいと考えました! 鬼をogreと訳したところでなじみのない外国人が多いので、oniとはa monster in fairy tales(昔話に出てくる怪物)であり、最近ではan emphasizer meaning “monstrously”「モンスター級の」という強調語でもある、と覚えてもらいましょう! 安易にsoやveryを付けるよりも日本独特の凄みが伝わるでしょう。