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同時通訳者・橋本美穂の「英語にないなら作っちゃえ!」

橋本美穂は「じわる」をこう表現した!

2019年4月号から始まった連載『同時通訳者・橋本美穂の「英語にないなら作っちゃえ!」』は、読者参加型企画として、皆さんと一緒に「新しい英語」を作っていくコーナーです。

2021年4月号からは誌面もリニューアルし、橋本美穂さんの特別音声解説も付いて、さらにパワーアップしました!

5年目を迎えるこの企画、ぜひ皆さんもチャレンジしてみてください!

 

さて、今回のお題は…?

お題:「じわる」

Ellyさん(兵庫県)
laugh snowball
理由:笑いが少しずつ増えてくるイメージです。

ともあきさん(東京都)
IGOY
理由:It grows on you.(だんだん好きになる)の頭文字をとってスラング風にしてみました。

フリージアさん(神奈川県)
delayed LOL
理由:遅れて笑いが起こるという意味で考えました。

アレンさん(山梨県)
graduallaughing
理由:graduallyとlaughingを合わせてみました。

ハリケーンさん(福岡県)
come like Boléro
理由:有名なバレエ曲「ボレロ」がまさに「じわる」のイメージでした。

ヤスミンさん(大阪府)
laugh oozes out
理由:笑いがじわっと染み出る感覚。

halunoさん(神奈川県)
well-up giggles
理由:井戸水のように身体の奥の方から笑いがこみ上げる感じで。

青木直人さん(愛知県)
trickle up
理由:じわじわ湧き上がってくるイメージを新語であるということがわかるように表しました。


さて、橋本美穂さんは一体どのように「じわる」を表現したのでしょうか?

私ならこうしちゃいます

wwzy

出た~、若者言葉ですね! 元はネット用語ですが、今では日常会話の中でも使われています。素直に訳せばgradually funny(徐々に面白い)とか、tickles over time(時間が経つにつれてくすぐられる)になりますが、ネット用語こそimpact compactに仕上げたいところ! なぜならスマホに入力する際のサクッとしたスピード感や、SNSの文字制限に影響しないといった実用性が重要だからです。現に、英語なら「lol」が普及していますし、「草」も一文字で市民権を得ていますからね。とりま*、ネットで「じわる」と入力し、ひとしきりオモシロ動画を楽しんだのち、このじわっと込み上げてくる感じを英語でなんと表現するかなぁ...と考えました。笑いの英語は実に多くあります。smile、smirk、grin、chuckle、snicker、cackle、giggle、howl、roar、crack up...。ha-haや tee-heeなどのオノマトペも。

しかし、笑いが「染み出す」感じを表現するにはoozyだ!とひらめきました。ooze(動詞)は、チーズや血液などの半液体がとろけ出る、または感情がにじみ出るという意味です。chewyも頭をよぎりましたが、これはかめばかむほど味が出るスルメ的な感じだから、ちょっと違う。

最後に、oozyでは既存の表記のままなので、ooを日本が誇る笑いの記号、wwに置き換えました! oozyと同じ発音で読んでもらえたら嬉しいです:)


◎連載を書籍としてまとめた『英語にないなら作っちゃえ! これで伝わる。直訳できない日本語』(EE BOOKS)、小社より好評発売中です!

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著者略歴

  1. 橋本美穂

    アメリカ合衆国テキサス州ヒューストンで出生。東京都で幼少期を過ごし、6歳で再び渡米。サンフランシスコにて小学校時代を過ごし、帰国後は兵庫県神戸市で中学・高校時代を過ごす。慶應義塾大学総合政策学部卒。

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