橋本美穂は「虎視眈々」をこう表現した!
2019年4月号から始まった連載『同時通訳者・橋本美穂の「英語にないなら作っちゃえ!」』は、読者参加型企画として、皆さんと一緒に「新しい英語」を作っていくコーナーです。
2021年4月号からは誌面もリニューアルし、橋本美穂さんの特別音声解説も付いて、さらにパワーアップしました!
5年目に入るこの企画、ぜひ皆さんもチャレンジしてみてください!
さて、今回のお題は…?
お題:「虎視眈々」
Shigeさん(徳島県)
eagle's gaze to game
理由:獲物を狙うワシのように、機会をうかがうさまを表現しました。
leechfield@市立南さん(神奈川県)
tiger eyes in the bush
理由:虎が待ち伏せするイメージをそのまま表しました。
もちさん(岐阜県)
vigilance for every chance
理由:どんな機会も見逃さない隙の無さを表しました。
Shpookyさん(神奈川県)
stealth ambush
理由:密かに狙う感じを表現してみました。
カプ・テテフDXさん(兵庫県)
hover over...like a hawk
理由:お題のイメージに合う表現がタカだったので。
ふきのとうこさん(兵庫県)
crouching-tiger like
理由:今にも飛び掛かろうとしている虎のような、という表現です。
Danyさん(東京都)
lionly bide your time
理由:好機を待つという意味のbide one’s timeにlionlyを付けて、虎を使っている原語の感覚を出しました。
れんこんさん(大阪府)
wait carnivorously
理由:肉食獣のように好機を待つ、と考えました。
さて、橋本美穂さんは一体どのように「虎視眈々」を表現したのでしょうか?
私ならこうしちゃいます
in pouncer mode
四字熟語のお題ですよ~! 最初に考慮すべきは「虎」をどうするか。「獲物を狙う」動物であれば何でも良いような気もします。獲物をにらみ、waiting intently for the opportunity(じっと機会を待つ)動物とは何でしょうか。ざっと調べたところ、falcon(ハヤブサ)が出てきました。上空からシューッと降下し、獲物を見事に捕らえるということだったので、まずin falcon modeという英語を作りました。in...modeは「~のような流儀・様式で」という意味です。
他にも無いかな?とさらに調べたところ、鳥類にはfalconのみならず他にも狩りの名人がいることがわかり、また当然、ネコ科にもライオンやヒョウなど多数いるわけで、動物の専門家ではない私は狩人ナンバーワンの選定基準がわからず、いったんチーンと思考停止してしまいました。インパクトのある動物を1つに絞れたら良いけれど、学術的な正しさも必要です。しかも、狩りが得意な動物は? と聞けば、お国柄によって人それぞれ認識が異なりそうです。このように、ぐるっと考えを巡らせた結果、動物に例えるのではなく、pounce(飛び掛かる)という動詞にしちゃいました! pounceと聞けば、自然と狩人系の動物が連想されるはずです。具体的にどの動物を想像するかは、聞き手の自由。その方がスッとイメージしてもらえるだろうという判断です。